紙の本
不思議な短編集
2023/01/09 19:53
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんだか玉石混交と思われる短編集である。作者は、一部の登場人物が複数の短編に登場させ連作短編集を目指したようだが、各短編の色合いがあまりにも違うので連作と言うには無理がある気がする。様々な評者から「がっかり」という評も受けている最後の短編の中のセリフ「来ちゃった」であるが、私は好意的に受け止めたいと思う。
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考えさせられる作品。超常現象や疑似科学と呼ばれるものに関わった人々の姿を記者が取材するという形式で綴る連作短編集。SFやミステリ的要素の組み込みが緻密かつ自然で、現実の事件や社会問題の取材を読んでいるかのような不思議な感覚で読める。冷静に科学的な考えができる「わたし」が語り手となりながら、何かを信じたがったり何かにすがろうとする人々の姿や心の動きに焦点を当てる。科学的に正しくはないものであってもそれを信じたい人やよりどころにしたい人たちがいる。正しくないものに救いを求める人がいるとき、私たちはどんなスタンスでそこに向かい合うべきなのか。作品の中では答えは示されない。一人一人の中で消化してバランスをとっていかなければいけないのだろうなと感じた。
一話目の「百匹目の火神」が、ノンフィクション感があって好き。表題作「彼女がエスパーだったころ」は、心に残るフレーズがいくつもあり印象に残っています。取材している「わたし」がだんだんと傍観者から当事者へと変わっていくのも面白かった。
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記者の視点で繋がる6話。
「彼女がエスパーだったころ」が1番好き。
わからないなりに悲しみも含めたこの世界の不条理がつまっているのが伝わるのに何故かすっきり感じられます。
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筆者による疑似科学へのアンサーソング的な意味合いを持つのだろうか。感情的な冷笑でなく、かといって通常あるべき理性的な批判でもない。本作で示されるのはその先の、無宗教である日本人への問いかけだ。
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語り手のわたしとは何者なのか。
「わたし」が語る、すこしふしぎな世界での短編連作である。
語られる事件や出来事も魅力的なのだが、もうこれは話芸というレベルで読むのが面白い。文体が好みなんだろうな。
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人類が現在のこの座を奪われる時が、いつか必ずやってくるのだろう。
それは、次の知性体が、今の人類と同じレヴェルまで進化した時なのか。
それとも、ただ単純に、人類が退化しただけのことなのか。
という問いを投げかけられている気がした。
望もうと望むまいと、何度でも沸点は訪れる。
望むと望まざると、必ずその時は訪れる。
科学では説明できない、けれど「似非科学だ」とは言い切れないある種の法則に、結局のところ私たちは支配されてしまっているのかも知れない。
けれどそれらの法則を捻じ曲げてしまえるのは、人間の想像力だけだ。多分、今のところは。
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超能力や疑似科学がテーマの連作短編集。
百匹目の猿、エスパー、オーギトミー、浄化する水などの事件が、取材する記者の視点から描かれている。
記者自身も渦中に巻き込まれていくのだが、あくまでもルポ風の淡々とした筆致で物語が進む。派手な盛り上がりはないが、時折心に深く刺さる言葉やシーンがあり、なんというか人間の霊性について考えさせられた。
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短編集。サイエンスフィクションであり、少し不思議でもあるSF。けど非科学的な感じもする。
動物や種の進化に興味があるので、「百匹目の火神」がベスト。
「ムイキシュンの脳髄」も面白い。
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「百匹目の火神」はドライな文体が異様な雰囲気を生んでいて、すごく面白かったけど、それ以降はミステリー寄りな印象があって、作品からミステリアスな雰囲気が無くなっていくのが物足りなかった。連作短編集とするには主人公の存在感が薄い気もする。
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僕にはもう宮内悠介を読み解く能力がないみたいだ。完敗だ。題材にも展開にも会話にも、何一つ興味を持てるものがなかった。悪口にはなったらごめんなさい。いろんなことが起きていろんな人が登場するけれど、ずっと宮内さんの独り言を聞かされている印象にしかならなかった。
信仰と科学についての物語なのですか?????
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全国大学ビブリオバトル2016地区予選(京都決戦>地区決戦>予選)のチャンプ本。市図書館にて。
どうも苦手な文章であった。語り手をどこまで信用して読むのが楽しい読み方だろうか。
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さばさばと淡々と。
冷たさを感じる程の物静かな文体。
これが苦手と思う人は全くダメな一冊だと思われる。
けれども、ワタシは宮内さんのこのクールな文体が
大好きです。
しかも短編。
長編よりもキレの良い短編の巧い人だと思うので、
猶更良い一冊でした。
ジャーナリストと思われる男性の一人称(っぽい)語り口で紡がれる短編で、最終的に何となく一つに
纏まる作りなのもよろしいです。
悲しかったり、切なかったり、ちょっと温かさを感じてみたり。
こういうのが書ける若い人は貴重だと思います。
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扱うテーマは「共時性」「超能力」「終末医療」など非常に重たいモノであるのに書き方はドキュメンタリーのようでフィクションであることすら忘れてしまう位に客観的に感じる。
書かれている内容にも共感する事が出来て面白く感じた。
共感する事が出来る作家さんと巡り会えた事が非常に嬉しい。
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アマゾンには「SFの枠を超えた」とあるが、これはそもそもSFじゃない。オカルトや疑似科学を中心にしたミステリで、それぞれ決して深入りすることはないが、社会風刺をピリッと効かせてある。社会風刺と言えば、昨今のネットでの誹謗中傷に対しても、効果的な不気味さを演出した批判がなされている。どの短編もひねりは少ないが、なかなか面白いオチが用意されていて、引き込まれた。
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途中まで連作と気づかず。
房総大学って二流にしか聞こえん。
この人は人の本読んじゃあ
つぎはぎして話作るタイプなのかな⁇
なんかホワホワして深みがない。