紙の本
分からないけど面白い
2017/02/11 21:18
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投稿者:十楽水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
壮大そうな世界観は、文系頭にはよく理解できませんでしたが、キャラ立ちした登場人物たちの、悲哀(ほぼ僕限定)と笑い満ちたやり取りに引き込まれました。なんせテンポが良かったです。
遠い未来の話であっても、描かれているのはとっても泥臭くて人間臭い。人間って、これから何年経っても、そうたいして変わらないのかななんて思えてしまう。もっと言えば、アンドロイドも人間も同じに思える不思議さ。お互い姿形や成り立ちは違うけど、似通っているところの方が目についてきて、異質な者同士でも共存しましょうみたいなメッセージが投げかけられているのではと妄想してしまいました。
それにしても、企業理念の「期日を守ってニコニコ返済…」。続きはなんだったんだろう。
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楽しい可笑しい笑える話である。ただし、万人受けするものではないかもしれない。正確には、万人は楽しめるが、理解の深さについて読者の経験や教養に左右される、といったところ。そんなわけで、私は心底楽しめたとはいえないかもしれない。サイバーパンクの「ニューロマンサー」や「アンドロイドは電気羊の夢をみるか」や映画「ブレードランナー」の世界観がちらつき、少なくともこれらの作品の概要を知っておかないと、最低限の楽しさに触れられないのではないかと思う。軽く読める作品ではあるが、私はSFとしては高度な作品だと感じた。
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宇宙をまたにかける金を借りて返済する能力があればどんなモノや人にも貸すという金貸し屋。
粒子金融工学という訳のわからない投資方法を確立したがアンドロイドにより破綻させられた。
宇宙を題材にした痛快コメディが面白かった。
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系外惑星・二番街を舞台に主人公・ケイジと横暴な上司・ユーセフがアンドロイド、異星人、植物果てはコンピュータ内の人工生命から取り立てを行う中で起きるトラブルを知恵と運と諸々で乗り越えていく様が痛快な連作短編集。
舞台設定の面白さもさることながら、各短編で起こる世界滅亡レベルのトラブルをめぐるドタバタと主人公とユーセフのやりとりが楽しい。やりこめられてばかりの主人公も一筋縄ではない経歴と能力を持っており、彼の奇策の顛末の楽しいスペース蜃気楼がお気に入りです。
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最新のIT・科学知見に世相も取り入れた奇想の世界観。もの悲しくも洒脱な文体。いわゆる固定概念的なSFの枠を脱しようとしている著者は、個人的には筒井康隆の後継と言っていいと思っている。シリーズ化しても面白そうだが、区切りはついているな。
恒星系をまたいだ企業グループについての思考実験って、ものすごく刺激的だな。
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人類が最初に移住に成功した太陽系外の惑星を舞台に貸した金は何が何でも取り立てる凸凹コンビの債権回収物語、短編5編。どたばたスラップスティックでありながらSF要素祖も満載。ただ、作品中で語られる量子金融工学はとても難解で全く理解できませんでした。
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なんと説明すればいいのか分からない世界のSF。
世界がダメな感じのディストピアで、誰にでも金を貸す金融業者が取り立てをする短編連作集だ。
人類は地球から飛び立ち数百光年の距離を置きつつ、それぞれの星で生活をしている。
主人公の所属する金融業者も、本社は遠くにあり、流される最新の社長の訓示も300年前のものだ。
そんな世界でアンドロイドや星や雲にお金を貸したらどうなる?
そう、酷いことにしかならない。
主人公は常に酷い目に遭うし、主人公を含めろくな奴はいない。
けれども、ひどく優しい眼差しというか、読んでいてきつい感じはまるでない。現実から離れ過ぎているからかもしれないが。
何はともあれ、面白かった。
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盛大にアホをやるSFだった。洪水のように溢れ出るSF的アイディアの果てに、なぜか起こる馬鹿馬鹿しい出来事。そして大体世界が滅びかける。しかし、難しくて何言ってるかわかんない、というギャグをSFでやられると、そういうギャグなのか自分の頭が悪いだけなのかわからなくなるので困る。
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難しいしわかりにくい。たぶんわかりやすく書こうとも思っていないだろう。コミカルなやり取りは面白げではあるけれど、なんというか、閉じた世界の中で理屈をこねくりまわしているという印象。きっとものすごく頭が良いのだろう。会話のやり取りとか、ストーリー展開の因果関係とか、ふつうA→B→CといくところがA→C、もしくはA→Dとしか書かれていないことがあまりに多く、僕にはまったく理解できなかった。
こちらの能力不足であるのは否めないが、小説家としての著者の説明不足でもあると思う。もしかしたらそれが自分の流儀だと思っているのかもしれないが、読者からしたらこの特徴は単なる不親切でしかない。この作品に限らず。
宇宙的舞台設定とアナログな取り立てのミスマッチは単純に面白かったのにな。
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宮内さんの作品で初めて読んだのが「スペース金融道」でした。なんて面白いんだろう!!と感動したはずです。
ガッチガチのSFで広い宇宙を舞台に取り立てと云う
ミニマムな生活感。たまりませんです。
「スペース珊瑚礁」も別に読んだ事が有りましたが
(このオチも大好きです。)
改めて纏まったと聞いた時「キター!!」と
叫んだはずです。
描きおろしも含め、
ちょっとこぎれいにまとまってしまったので、
今後続きはもう出ないかな…出ませんかね?
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SF話。コメディタッチで記されるも、以前のシリアスタッチなものに比べるといまいち入り込めなかったかな。
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色んな突拍子もない発想が出てきてSFのアイディア集としては面白いと思います。
ストーリーはよくあるコメディで、軽いノリが好きであれば、悪くは無いんじゃないでしょうか。
コテコテ感を求めると、ちょっと違う気がします。
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宮内悠介著。
金融商品に関するワードが随所に出てくるので、金融に馴染みのない人は難しく感じるかも。多少知ってても呪文のように感じる箇所は多く難しかったけど。
でも宇宙や仮想世界を舞台に必ず貸した金は取り立てるという設定は面白く登場人物も個性的で引き込まれました。
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ちょっと気持ちが凹んでる時は荒唐無稽な小説が実に味わい深く思えるもので。
B級Vシネマみたいなタイトルだが、内容は半分はその予想通りだし半分は予想の上を言っているという感じ。人工知能・金融工学・アンドロイドがみる電気羊の夢…やたらサイバーかつ高尚な理論(俺の頭では理解しきれてない設定)を土台に置いた、街金取り立て小説なのである。
そんな世界、成り立つのか?成り立つのである。しかもオモロいのである。主人公の不幸っぷり、上司の無茶っぷり。苦労を重ねるサラリーマンの哀愁、借金取りから逃げまくる債権者のアウトローっぷりや悲劇…人情や任侠をSF界に持ち込む手法はオモロい。これまでもコブラ(寺沢さんのコミック)等ないわけではないが、ハードSF小説とするのは珍しいのではないだろうか?
凄くニッチなとこを狙ってるのかもしれないが、理系音痴の俺でも楽しめたのだから、かなり広い小説読みが楽しめると思う。萬田銀次郎やフィリップ・ディックが好きな人はお試しあれ(笑
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初の太陽系外惑星(通称二番街)に移住した人類。その星で、アンドロイドから人工生命や知能植物カスミアオイにまで資金を融通するサラ金の回収担当の僕と非情の上司のユーセフ。上司からの理不尽な要求の連発に耐える社員は、遥か未来でも変わらない。いかなる手段をもってしても、貸金を回収する金融屋も同様だ。アンドロイドに対する人種差別問題などもあり、社会性も含んでいる。
しっかりとしたSFと、(それらしく作られた)量子金融理論などが出てきて面白く読んだ。