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蓮丈那智シリーズの最終巻
2017/11/23 20:01
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投稿者:みとみと - この投稿者のレビュー一覧を見る
正直にいうと、浅野里沙子さんが書き継いでいるということで、前作の「邪馬台」とこの「天鬼越」は、けっこう長い間読まずにいました。
北森さん以外に、蓮丈那智が書けるのかな、と思っていましたので。
で、実際に読んだ感想。もっと早く読めばよかったです。
確かにちょっと、蓮丈さん変わった?と思う部分もあったけど、作品中での年月の経過のせいと思えばそう思える程度でした(あくまでも私にとってはですが)
それほど大きな違和感もなく。しいて言えば、シリーズ中いちばんふつうのミステリ物っぽい巻だなと思ったくらい。でもそういうのも好きなので全然オッケー。取り上げられた題材も面白いと思いました。
「鬼無里」(北森さん)、「祀人形」(浅野さん)、そして表題作「天鬼越」(北野さん/浅野さん)が特に好きです。
浅野さんに感謝。北森さんの、しかもこのシリーズを書き継ぐのは本当に大変だったろうと思います。けれど、浅野さんが書き継いでくれたことで、どこにも収録されずに残っていた北森さんの蓮丈那智シリーズの短篇が1冊にまとめられ、こうして読むことができたのだと思うと、本当にただただ感謝です。
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蓮丈那智シリーズ完結
2018/04/15 14:54
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
銭形平次は何故神田明神下に住んでいるかを解く「鬼無里」、ブラタモリ風の「奇偶論」、伝承と殺人の「祀人形」、密室トリックの「補堕落」、横溝正史的なムード漂う「天鬼越」、江戸川乱歩が登場する「偽展絵」といった6話の短篇で構成。神事や伝承等を絡め、調査先で遭遇する殺人事件の謎を解いていきます。
私は、表題の「天鬼越」も面白かったですが、ブラタモリが始まる平成20年より前に発表された「奇偶論」、意外な形で江戸川乱歩が登場した「偽展絵」が良かったです。蓮丈那智シリーズはこれで完結したと思うと寂しく残念でなりません。
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投稿者:kon - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後の作品ですね。蓮丈さん久しぶりです。連作及びTVでも上映され、楽しみでした。やや文章のテンポが昔と違うのか、すんなりと読むのでなく何回か読み直しが必要でした。4篇の作者が違いますが、違和感がなかったです。北森先生とどういう関係なのでしょうか。今後の作品はどうなるのでしょうか。
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うーん、浅野さんだと癖があまりないせいか、やっぱり違うなぁと。
邪馬台みたいに取材メモがある上の書き足しはともかく、一からは悪くはないけどすごく惹かれもしない無難なまとまり方になってる印象。
なので「暁英 贋説・鹿鳴館」の完全版が出たら買いたい(笑。
月末に出る狂乱廿四孝/双蝶闇草子も後者が未完成なんですよねぇ。
ともあれ、那智先生ともこれでお別れなんですね。さみしい。
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苦手な短編。読むと鬼無と奇偶と残りの作品との違いが顕著。北森作にくらべて浅野作はアクがなくて万人向きでかなり軽いし、登場人物の心情などにかなり重きを置いている印象、特に内藤の性格や扱いが違うのが面白い。私の個人的な好みでいうと、ドラマ性がアップして面白くなくなった感あり。合掌。
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本当のラスト。終わり方もよかったんじゃないかと。何を偉そうに、ってことですけどね。
補陀落渡海とかなぜか自分に取ってタイムリーなことでもあったので、おもしろく。
いずれにせよ、シリーズ全話、楽しみました。
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那智先生がよくしゃべる。
これが、浅野版の作品を読んだときの率直な感想です。
思考は直感に近い飛躍で、論理、理屈は、跳んだ結論をほかの人にも分かるように導くガードレールみたいなものだ、って確か森博嗣さんがおっしゃっていた(か、犀川先生あたりにしゃべらせていたか忘れました)ような気がします。
北森版の那智先生は、この思考の飛躍の見せつけ方が魅力で、後付けの説明はぎりぎりまでそぎ落としている印象を受けました。それが、異端の民俗学者としての凄み、ある種の天才であることの証。
浅野版は、もちろん、那智先生の相変わらずのクールビューティな人物像は壊れていないのですが、特に終盤、きっちり理屈で「説明」をしているのが、北森版と比べると明らか。
もちろん、その方が安定感があるし、なにより、すっきりするわけだから、決して悪いわけではありません。ミステリとしてしっかり落ちてるので、気持ちがいい。
現に、過去の北森版の作品の中には、ぶっ飛びすぎて、凡人には「事故」じゃないかって思わせるような作品もあったような…なので(汗)。
ただ、やっぱり、その思いっきりぶっ飛んだ、北森版の那智先生に、もう一度会いたかったなあと思ってしまうのです。合掌。
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これが、本当のお別れなんだろうな、と。
まだたくさん、モチーフとして取り上げてほしいことはあったのになぁ、と残念に思います。
でも、やはり作者がなくなった以上、これ以上を求められないわけで、今回刊行してもらっただけでも、ありがたいこと。
ドラマ化、そう。しましたねぇ。
木村多江が那智で・・・。
いや、木村多江はともかく、那智はギリシャ彫刻のように彫りの深い顔立ち設定なのだから、ちょっとちがうかなーと思ったのでした。ミクニはちびのりだーで正解。
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浅野里沙子さんが引き継いた蓮丈那智はこれまでの蓮丈那智と確かに違うけれど、それでもこうして私たち読者の前に現れてくれたことが心底嬉しい。心からの感謝を。
日本で最も美しく、凛々しく、聡明な民俗学者の最後のフィールドワークの記録。これを読み終えたら本当に最後になってしまう。そう思うとなかなか読み進められなかった。個人的にダン・ブラウンのロバート・ラングドンシリーズを日本で作るなら絶対にこの「蓮丈那智フィールドファイル」だと思っている。いつかまた何かの形で蓮丈那智に、三國君に会えるかもしれないけれど、少なくとも今この本のなかに、愛すべき人物たちが確かに生きている。それだけで十分だ。北森氏が遺したこの作品世界をしっかりと抱きしめて大切にしたい本です。
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本当に最後の蓮丈那智シリーズ。やっぱり短編の方が個人的には好きだな、と。特に最後の『偽蜃絵』がパッと読めてそんなに暗くなく好きでした。
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蓮杖那智シリーズの短編集。
浅野氏との共著になります。
話の流れというか、オチにいたる、ところはわかりやすい。
まぁ、これが短編だからなのか、結局のところ北森氏ではないからなのか、曖昧。
が、なんとういうか…。
前の長編の共著の時はミクニの立ち位置が微妙だと思ったのだけど、今回は那智が微妙。
うむ。
メイクや服装で那智にしても、立ち振る舞いで、あれ、って思う、そんな感じの違和感。
まあ仕方ないんだろう。
つか、一番の悪因はあのドラマだったと思うのだ。
あの女優さんでは、残念ながら凍てつくような美貌は出ない。
が、百聞は一見に如かずってよくいったもので、一旦映像化されるとそのイメージがどうしてもついてくる。
むずかしいもんだ。
「偽蜃絵」が面白かった。
も、ありえないでしょ、って思うけど、強引に納得させられる。
うん、この那智による強引さが、このシリーズの醍醐味だったのだなと、しみじみさせられたのである。
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民俗学者・蓮丈那智を主人公とするミステリの5作目です。今回は1~3作と同じく短編になっています。北森鴻氏と浅野里沙子氏の共著となっております。全6編のうち2編が北森氏、4編は浅野氏が書かれています。民俗学上の謎と調査過程で起こった事件の二重の謎が解かれていく様子は、ハラハラします。また、浅野氏が執筆された短編「祀人形(まつりひんな)」「偽蜃絵」は子供が事件にかかわる話や戦前に描かれた一枚の絵から謎を解き明かすなど、若干違うテイストが入っていて面白かったです。
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前回の歴史民俗ミステリーに気を良くして。
疑問に思うことを調べて明らかにしようとする気持ちはわかる。そううまくは解決できないだろうけど。
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とうとうシリーズ最終巻。好きなんだけど、そもそも民族学と殺人事件は相性がいま一つ。無理している感が拭えない。フィールドワークや蘊蓄だけでも個人的に面白い気がする。せめて毎回変事に遭遇しなくても。ピエロ役、しもべ役の出来る三國に比べて、由美子のキャラクターが立たないのも気になる。まあ好きなシリーズなんだけどね。銭形平次の謎を解く「鬼里奈」、意外な人物が浮上し人が死なない「」が好み。