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歴史の小路を歩く
2020/04/22 07:27
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本統治下の負の遺産については、現地まで足を運んでみないと分からないことも多いようです。歴史認識の違いを乗り越えた先にある、次の世代への期待感もありました。
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駆け足で読み終わってしまったことを後悔している。歴史や人びとさまざまな方面から台湾を書いてあり、台湾のことをまだ深くわかっていない私のような人間にはちょうどいい台湾具合(?)。知っていることもあって勉強できるし、知らないこともでてきて興味深く最初から最後まで引き込まれるように読めた。
筆者には推理小説作家イメージがあり、エッセイのイメージがなかったのだが、違和感なくさらりと読めて私には読みやすい。また、どこが?と問われると難しいのだが本全体から女性的な優しい目線が感じられた。もう一度時間をかけて再読したい。
次回旅行のときにぜひ行ってみたいと思ったのは、筆者が推している台南の国立台湾歴史博物館。宋文薫夫妻のお話にはキュンとした♪
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台湾とは何か。作者が台湾各地をくまなく巡り、日本との深い関係性についてその歴史から思いを馳せる紀行。
台湾の事を美麗島と呼ぶ事を初めと知った。
台湾には親日家が多いとは聞いていたが、1895年からの50年間の植民地時代の八田さんや杉浦茂峰さんの事を台湾の人たちが今もいい事として覚えていてくれているって素晴らしい。
この本で初めと知った事が多い。
自分たちの事を知らなすぎる。反省。
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美麗島というのは台湾のことです。この本も台湾の紀行文ということで気軽に読み始めたのですが、紀行文といっても観光案内ではなく、台湾の歴史をひもとく旅の記録でした。
著者もこの本の中で書いているように、私たち日本人はかつて日本の植民地でもあった台湾のことを知らなすぎると思いました。
また、なぜ台湾に親日家が多いのかということを漠然と疑問に思っていたのですが、この本を読んで少し理解することができました。日本人が台湾に対して行ったさまざまなことや、現在台湾がおかれている状況についてももっと知るべきだと思います。
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現地の方の案内で台湾のあちこちを訪れ、日本統治時代を生きた方々へのインタビューなど歴史にも触れ、台湾入門ガイドブックのような本。行ってみたいところがまた増えた。
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去年まで集英社宣伝誌「青春と読書」で愛読していた連載が一冊にまとまったので、読んでみた。著者は日本台湾文化経済交流機構プロジェクト「まごころ日本」の協力で台湾を回っているので、言葉ができなくてもディープな場所と人に出会えるという利点がある。その辺りの台湾との距離が、台湾を知り始めた私には、ちょうど良かった。
読んでみると、著者は2014年末の台湾統一地方選挙の帰趨を見ている。3月の太陽花学運の出来事が、与野党逆転を演出し、そして2016年初めの新大統領誕生を作ったことがわかる。その始まりが見事に統制の取れた非暴力の運動だったことに、私は台湾人の成熟をみる。
台湾人は、生まれながらにバイリンガルである。北京語、みん南語、原住民の言葉、或いは日本語、英語それらの言葉が日常的に入り混じっている。そのすべてはわからないから、家族の中でも意思の疎通がはかれない。それが当たり前になる。「身内でも余計なことは聞かないし、喋らない、そういう癖がついています。(戒厳令下で)密告されることもあった。何も言っていないのに陥れられることだってあった。だから誰も本当のことは言わない」長いこと新聞人として生きてきた人はそう言った。こういう複雑さは、日本人には想像もつかない。
原住民と本省人そして外省人たちの間の軋轢、1987年まで戒厳令下にあった台湾の現実、2.28事件の未だ残る影響、そんなこんなで初めて見えてくる「親日台湾」の理由などが、今回単行本として読むとすんなり入ってくる。「台湾の人たちに親日派が多いのは、実は日本が去った後の苦難の方があまりに大きかった、その反動もある」(134p)そのように一言でいうのは乱暴だけど、一つの真実だと私は思う。
著者が台湾に興味を持ったのは、東日本大震災で特別な寄付が集まったからだという。今回の台湾の地震は、その何十分の一かの「お返し」をする機会になるだろう。台南市の飛虎将軍の祠は大丈夫たったろうか。
昨年の年末年始に台湾を旅したが、まだまだ満足できていない。この本を読んで行きたい処を羅列する。
○台南市安南区大安街。撃墜されても村に堕ちるのを避けて神様になった杉浦茂峰を祀る「鎮安堂・飛虎将軍」の祠。朝は「君が代」夕は「海ゆかば」が必ず流されるという。
○台南国立台湾歴史博物館
○嘉南市の烏山頭ダムと嘉南大しゅう(大水路)、そして八田與一の墓。その前の銅像は戦時中は供出、戦後は蒋介石による破壊の危機に晒されたが、地元民により守られたという。「八田與一記念公園」もある。
○花蓮県寿豊郷の台湾寺の石燈籠と狛犬。
○基隆市・北白川宮能久親王の石碑。石碑の文字が削り取られている。写真も傷つけられている。
2016年2月8日読了
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人口減少率全国一の本県は少子化もかなりの勢いで進んでいる。今日の新聞にも141年続いた郡部の小学校が閉校する、という記事が載っていた。
私が住んでいる街、以前は「鉄砲町」「笊町」「大工町」「四十軒堀町」など、土地柄を思い浮かばせる趣のある町名が付いていたが、数十年前に革新系市長が、大町何丁目だの、中通り何丁目だのという全国どこにでもある町名にかえてしまった。
行政は「趣」には関心がないようだ。
そうやって昔を偲ばせる事柄が減っていく。
台湾にはそれが残されているようだ。
著者は旅をしながら思いがけずに「心のふるさと」に触れているのだろうか。
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台湾についての旅行記かと思った。
それだけではない。台湾の歴史がけっこう垣間見ることができる。
知らないことが多すぎる。
まず、一国家として存在していることがないこと。
次に世代で通じる言語が異なること。
1987年まで世界でも類をみないほどの厳しい戒厳令があること。
また行きたいなあ。今度は深く見ることができるかも。
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出たのを知って、文庫化されるまで待とうと思いつつ結局ハードカバー買ってしまった作品。台湾紀行だと思ってたが、中身は作者の台湾認識について、という方が正しかったかも。
作者も含めて改めて多くの日本人が台湾のことを全く理解してないことを認識。その点においては、彼女のようなそれなりに影響力ある人がこういうものを表すのは、理解を含めるのにとても良い。一方で個人的期待感から言えばハードカバー買うほどではなかった。自分の中では既に身をもって体験したことの追認だったし、作者の視点が(敢えてなのかもしれないけど)限定的過ぎる気がする。理解することは大事だけど、これもまた偏った理解のひとつに過ぎないのと思う。それでも、日台の未来のためには、広く読まれてほしいな、という一作ではある。
ちなみに乃南アサは僕は原則いまひとつ、「涙」以外はどうにも読みにくくて進まないのだが、本作も文章はあんまり得意じゃなかった感じ。相性いまいちですなあ。
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★2016年7月23日読了『美麗島(イラ・フォルモッサ)紀行』乃南アサ著 評価B+
私と同世代の作家、乃南アサが台湾へ旅した時に感じたことを綴る旅紀行。
一過性の観光旅行ではなく、深く台湾という国の現在と過去を感じる紀行になっており、私もこの本を読んで台湾を訪ねてみたくなった。ちょうど一年前に読んだ吉田修一の『路(ルウ)』という台湾新幹線を題材にした物語とシンクロする部分もあり、日本人と台湾人という関係において興味深かった。
また、日本人の大半が、時間切れと称して、全く習わない近現代史。日教組の意図的な教え方なのか、社会科教師たちの負けた国の歴史を教えたくないという心情的なものが作用しているのか?は分からないが、知らないことの罪はやはり大きい。
近隣諸国との認識のGAPが広がっている点には、この国の歴史教育の大きな問題があるという彼女の指摘は全面的に正しく、この点をよく日本人は意識して教養として身に付けるべきだと私も思う。
<備忘メモ>
P90 台灣に遺してきた『日本』がその後どのような扱いを受け、処理されたかも分からないまま年月が過ぎた。すべてがやむを得ないことだった。台湾の人たちにしても時代の波に大きく翻弄されていた。それでも日本を忘れていなかった。多くのものが壊された一方で、遺されたものをこうして守り続けてきたのだ。
P215 旅をしてことに日本から離れてみて、つくづく感じることは、何といっても教育の大切さだ。私たちの世代は、台湾がかつて日本の植民地であったことさえ学校の授業ではきちんと習っていない。そればかりでなく現在の日本に至る最も大切な近現代史全般について、学校教育の場では実に短い時間しか割かれてこなかった。そこに大きな問題がある気がしてならない。
日本人がどのような状況下で、国を開く決断を迫られたのか。二百六十年以上続いた徳川幕府の時代に区切りをつけて、政府の仕組みそのものを変え、以降西欧列強と肩を並べるべく、どのような思いで近代化に突き進み、その一方でかつての日本の姿を切り捨ててきたのか。そこまで遮二無二猛進しなければならなかった理由はどこにあったのか?その結果として何を得て、何を失ったのか?
そうして歩んできた道筋での台湾、中国、朝鮮半島、他のアジア諸国との関わりは何だったのか?それらのすべてが現代につながっていることについて私はあまりに無知だ。
台湾はそのまま日本を知る重要な手がかりになる。。戦争を知らない世代が大半となった。現代の日本人がまともに教えられてこなかった日本の歴史を私たちは台湾で見ることになる。
台南市安南区大安街 鎮安堂 飛虎将軍:杉浦茂峰
台南担仔麺 度小月
彰化県 鹿港 牛舌餅 蚵仔酥(クーザイシュク)蝦丸(シャーワン)蝦猴酥(シアホウショウ)
鹿港文武廟 北白川宮能久親王
美濃 バンティアオ シャオティアオ シエンダンクーグア
米粉、肉圓(バーワン)貢丸湯(ゴンワンタン)
台北市 紅毛城
宣蘭 八田與一(土木技術者) 嘉南大圳 烏山頭ダム 珊瑚潭
喜隆(キールン)
台南市 国立台湾歴史博物館 安平古堡 赤崁楼 台南孔子廟
台湾総督
後藤新平
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歴史を知り、今を知ることが台湾という複雑な社会を理解するには必須であることを著者の乃南氏は2011年の東日本大震災に伴う台湾からの義援金の多さをきっかけに気づいていく。自分と乃南氏とは同世代だが、確かに学校教育の中で台湾のことをきちんと教わった記憶はない。その辺はよくわかる。台湾に興味関心をもつことによって日本とは何かも見えてくるという視点も大事なことはその通り。しかし、実際に著者が見聞きし、ここで書いていることはちょっと勉強すればすぐにわかること。その意味で、今後もっとテーマを絞って深く掘り下げて欲しいな、と上から目線ながら思った次第。
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【私が出会った八十代になる男性は,植民地の子として暮らさなければならなかった少年時代を振り返って,「懐かしくて懐かしくて,悔しくて悔しくて」と遠くを見る表情で瞳を潤ませた】(文中より引用)
その美しさから,美麗島とも称された台湾。その島と人々,そして歴史の魅力に惹かれた筆者による紀行文です。著者は,『幸福な朝食』や『凍える牙』等で知られる作家の乃南アサ。
ほとんど何も知らないところから台湾を訪れ,そこで筆者が受けた衝撃や気づきを記録しているため,台湾を考える上での第一歩としても特にオススメできる作品。作家による紀行文ということも影響してでしょうか,流麗な文体とあいまって台湾にまつわる魅力が一層引き立てられていた気がしました。
また訪れたいものです☆5つ
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司馬遼が偉人たちから見た上からの台湾の紀行文というのなら、これは庶民目線の紀行文だ。また台南に行きたくなった。
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台湾の風土や人々を語るにはどうしてもその歴史に触れざるを得ない。
30年近く前の司馬遼太郎の「街道をゆく」もそうだし、本書も。
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人気作家・乃南アサが台湾各地をくまなく巡り、台湾と日本の深い関係性についてその歴史から思いを馳せる異色の台湾紀行。著者自らが撮影した、台湾各地の情緒あふれる写真とともに構成する。(e-honより)