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今年(2014年)4月に亡くなられた医師、渡辺 淳一先生の書。
内容は1971〜1973に雑誌などに出されたもので、単行本化されていない。
今回、いきなり文庫化で出版された。
大学病院から下町での医療に転身された円乗寺先生の物語『仁術先生』
若かりし頃の患者との失敗を綴った『腰抜けの二人』
エッセイとしての『「医は仁術」といっても』
どことなく下ネタを挿入されている。
けども、ちょっとした下ネタも、ちょっとした下ネタで終わらせない展開に心を打たれる場面もあって、これが、渡辺節なんだろうな。
医師の立派で強い面ではなく、弱い部分を吐露させたかのような物語でおもしろかった。
また、書かれた時代と現代とは40年も離れて入るんだけども、今でも変わらない医療現場の構図も見て取れた。
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【内容(「BOOK」データベースより)】
東京・向島の個人病院に勤める円乗寺先生。下町の人情が残る街を舞台に、わけありの患者たちとの交流を描く、ユーモアにとんだ心温まる医療短編集。幻の未刊行作品がいきなり文庫で登場!
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【著者略歴 (amazonより)】
渡辺/淳一
1933年北海道生まれ。医学博士。58年札幌医科大学医学部卒業後、母校の整形外科講師を務めるかたわら小説を執筆。作品は初期の医学を題材としたものから、歴史、伝記的小説、男と女の本質に迫る恋愛小説と多彩で、医学的な人間認識をもとに、華麗な現代ロマンを描く作家として、常に文壇の第一線で活躍。70年「光と影」で直木賞受賞。80年に「遠き落日」「長崎ロシア遊女館」で吉川英治文学賞を、2003年には菊池寛賞を受賞
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【目次】
仁術先生
・その一:梅寿司の夫婦
・その二:特効薬
・その三:健保ききません
・その四:不定愁訴
腰抜けの二人
「医は仁術」といっても
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人に勧められて読んだ本。
普段読まない作家さんなので読まずに1ヶ月近く放置していたのだが、ようやく読みました。
これがとても面白かった、、!
クスっと笑えてほのぼのしてて、下町人情に溢れるといいますか、、
とにかく読みやすかった!!
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久しぶりに渡辺淳一さんの本を読みました。自分の知らない医学の世界に入っていけるこの種の題材は大好きです。
地位や名声よりも目の前の患者さんにどれだけ素直に向き合うかをそのまま表現したような内容でした。
自分の仕事に照らして、こうありたいと思える話に心が洗われました。また渡辺さんの本を読んでみたくなりました。
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狭い路の左右に家が密集し、それらはせいぜい2階建てで、夕暮れどきなど開け放たれた窓から三味の音が流れてきたりする。大学病院の地位も肩書きも捨て、下町の風情が色濃く残る小さな診療所に赴任した仁術先生。権威一点張りの大学病院にはない人情の機微に触れながら人として生きていくことの意味を考えさせられる。下町の小さな小さな出来事。どの物語にも思いやりがあり人肌の温もりがある。心がほんのり暖まった。
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大学病院を辞め東京下町に移ってきた円城寺先生と、下町の患者たちの人情味溢れる日々の往診の話。
浅田次郎とか好きな人なら気にいるだろうな、な世界観を背景に、「エロ」と医学の知識を絶妙なバランスで絡めて話が展開するあたりがこの作者の技術力なんだろうなあ。男女の性がテーマの話ばかりなのに、変ないやらしさがなく読めるのが凄い。
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時代背景が古いが面白い。大学病院のDrが小さな町の開業医となった。いろいろな病気で悩んでいる人に、病気を看るだけでなく、その人の人間的な部分を基本に診療やアドバイスしているので、温かみがあって読んでいても心が温まる話が多かったです。短編なので、サクサク読めました。
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2015年 59冊目
この物語の舞台は72年後頃
昭和の時代ではあるが、大学病院での勤務から下町の潰れそうな病院に勤務することになった医師の物語。
システム化された大学病院より人間との会話がある下町での勤務を楽しむ主人公。
医学部を出た渡辺淳一らしい医師を主人公とした短編集であるが、結局ネタが男女の関係にいくのも渡辺淳一か。
羽田から福岡での飛行機の中で読んでしまいましたが、楽しい娯楽小説でした。
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渡辺淳一(1933~2014)著「仁術先生」、2014.9発行。1972~1973年発表の短編が収録されています。著者40歳前後の作品です。梅毒の男性と女性患者、ヒステリーの美人患者、不能男性の治療などの話です。軽い読み物、可もなし不可もなしといったところでしょうか。失礼しました。
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ほっこりする短編集。単行本化されていなかったものを、おそらく渡辺さんが亡くなったことなども影響して文庫にしたのだろう。
渡辺さんでなくても書けそうな話ではあるが、とはいえ渡辺さんが書くからこそ単なるいい話では終わらずリアルさも出てくるわけで、あらためて、偉大な作家さんだったなあ、と思うのです。