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前作「物の怪」のテーマが"妖怪”ならば、こちらもタイトル通り"憑きもの"がメインテーマ。となればサイコ・ホラー的な色合いが濃くなるのかと予想はしていたが、犯罪の動機が人間の私利私欲や隠蔽された罪、妄執が絡んでくるところは、むしろ正調ミステリに近くなったような気も。
前作にも増して"観察者(ウォッチャー)"鳶山が探偵役となって、事件につながる陰惨な過去を暴き立ててしまう、それも前作より積極的に首を突っ込んでいるような。
もちろん真相解明のために必要ではあるだろうし、彼なりの倫理観を持ってやっていることではあるだろうが、そこまでやっていいものかしらと思わないでもない……。名探偵というものはえてしてそういう―KYというか非情というかところはあるのものなのだろうけれど。
詳細はこちらに。
http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30
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「観察者」シリーズ連作短編ミステリ。ややホラー的な雰囲気もあって、謎はきっちり解かれてもなんだかどんよりとした余韻が残ります。それがまた、ホラー好きにはたまらないなあ。
お気に入りは「憑き物」。いったん解かれたかに思えた事件が、ラストでまた繋がって新たな真相が浮かび上がるところが何ともいえません。あまりに残酷な真相には絶句。
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『冥き森』が面白かったです。『呻き淵』もよかった。
▼「バッタ大発生」「文化財になってる巨木を枯らすための薬剤を注入」「なりすましでお家乗っ取り」「HIVを感染させるための性行為」などの話、そういえば、ちょっと前にニュースやネットで話題になっていたような・・・。
▼また虫の話、出てきたなぁ〜。虫が出てくる話が最近多かったので、虫について、少し詳しくなっちゃった。それに姿を見なければ、虫、イヤじゃなくなってきたみたい。
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著者の本を読むこと自体が初めてだったのですが、楽しめました。最後に収録されてる短編で、沙姫が事件の真相を打ち明け、それに猫田が反応して手を上げるシーンがありますが、あそこだけ違和感。
猫田の心の動きが「これ、書いてるの、男性かな。男性視点っぽいな」と。女性小説家なら、もう少し違った対応で、沙姫に対する心情も違うのではないかと思ったのでした。
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観察者鳶山&自然写真家猫田シリーズ、短篇集。
来春に新作発刊との鳥飼氏の発言が嬉しくて読み返す。
狭い集落の民族宗教などは「今どき・・・」と思えなくもないですが、怪奇ともとれる現象と鳶山氏の自然科学視点からの説明は楽しく胸のすく思いで読めました。
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出版直後に本屋で見かけたのに前作の『物の怪』と勘違いして「うん、これは読んだ」とスルーしてしまっていた。
妖怪というものを、理解不能な現象を体験した者に、とりあえずの説明として納得させ不安を取り除くための装置と考えると、真相がこれだけエグいのも頷ける。
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観察者(ウォッチャー)シリーズらしい。
3冊目?
植物写真家の猫田さんと観察者、鳶山さんが岩手の寒村で、鳥取の山村で、奄美大島の村で事件に遭遇する。
猫田さんが巻き込まれ、鳶山さんが謎を解く。
過疎化した山村の薄暗い森の中、廃墟というロケーションに心を躍らせ、イズナサマやユタの神儀にドキドキ。
なのだけど、なんだろ。イマイチ盛り上がりに欠ける。暴かれた真相が後味のよくないっていうのもあるのかな。
うーん。もっと面白くできたんじゃ?という気持ちが拭えない。
共感できる登場人物が不在なのかな。この世界に入りこめなかった。
それこそ鵺を相手にしているよう。