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娚の一生 完結新着
著者 西 炯子
東京の大手電機会社に勤める堂薗(どうぞの)つぐみは、長期休暇を田舎の祖母の家で過ごしていた。そんなある日、入院中の祖母が亡くなってしまう。つぐみは、そのまま祖母の家でしばらく暮らすことに決めるが、離れの鍵を持っているという謎の男が現れて…!? 晴耕雨読的女一匹人生物語、第1巻!!
【期間限定 無料お試し版 閲覧期限2024年5月9日】娚の一生 1
閲覧期限:2024/05/09 23:59
娚の一生 1
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2010/04/06 09:09
魔法の解けたお姫様
12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
こういう言い方はきわどいのだけれどいい意味で、人が男(女)に本気で落ちるときというのは きっと何かに「気が付いた」時だと思う。
知らなかった自分に、思い込んでいた自分に、そんな自分の作り上げた壁の中でぬくぬくと逃げていた自分に気づかされたとき、人は本物の強さに本当の意味で 魅かれるのだろう。
キャリアウーマンだったつぐみが母の死を契機に祖母の家で田舎暮らしを始めるところからこの物語は始まった。
かつて祖母を愛し続けた50代の教授・海江田が転がり込み共同生活をするが、様々なスッタモンダと海江田の静かで熱烈なアプローチの末、ようやく結婚を考えるまでになったのが、前2巻までのお話。
本書3巻は、つぐみが地元で続ける自家発電の問題(地域住民との開発問題)をサイドストーリー。
つぐみに大きな心の傷を残した元彼からの「離婚したので結婚して欲しい」という連絡、それに揺れ動くつぐみと動揺する海江田の物語がメインストーリーである。
そしてラストは・・・思いがけないアクシデントと最後の「気付き」で幕を閉じる、そう私は読む。
家を継ぐつぐみに周囲の年配者や親族はやれ「家を持つような女は男」だとか、「しょせんは女」「一人のままでもいい」とか、地元の若い人と結婚を…等等、つぐみに(女に)言わせれば「あなたたちが私の面倒を一生見てくれる訳ではないでしょう」な勝手な言い分ばかり。これは昨年の婚活ブームに疲れた多くの女性を代弁しているかのようで正直私自身女として心イタイ。
そんな中でも別の角度から「気が付かせて」くれるのはやはり海江田だ。
つぐみが何か自分の作り上げた逃げ道や言い訳を海江田の言葉に気づかされる、そのシーンを目にする時、同じ女とて私自身がこの物語に引き込まれる。彼女がそうして海江田に「恋に落ちる」たびに私はこの物語にツボをつかれたように落ちるのだ。
「しょせんは女」という言葉に一人では認められない悔しさを愚痴るつぐみに、それは一人で出来ると思い上がった傲慢だと気づかせる海江田。
トラブルから偶然救い出してくれた元彼はまさしく馬車に乗った王子様・・・けれど「よく見たらボロボロの馬車」だと気が付くシーン。
去った恋人に、「大切にしているものは、自分が「大切」と思い込んでいるものばかりだ・・・」と気が付くつぐみ。
一人でもいいと思ってた・・・違う、ひとりじゃダメだから ふたりでいることにも自信がなかっただけ、と自分の臆病に気付くつぐみ。
「一人=独り」であることが心地よくそれが自分に合っていると「思いこんで」生きてきた人間が、いつしか二人でいることをあたり前のように心地よく感じている、そんな自分に気が付いたつぐみ。
そんな数々の「気が付く」つぐみを見ていて思う。
人は「恋に落ちる」というけれど、ホントに落ちるのは恋に落ちている自分に気が付いた瞬間、じゃないかなと。
つぐみをはじめ一人立ちし、自分を知っている分をわきまえた女性は多いけれど、それでも人は弱い生き物だから自分の過去から、周囲の目から、世間の批判、世界から身を守るためのたくさんの言い訳や防御壁を貼っている。
その言い訳が正論であればあるほど、その御託が冷静であればあるほど、自分の作った慰めの言葉の中でつぐみも私も埋もれてしまう。気付かないうちに、気付かされないうちに、そうして年月だけがたってしまう。
つぐみも、私も、多くの女性が与えられるのを待っている「お姫様」だ。
自立していても、ひとりでイイと思っていても、それは現状に甘んじて満足しているだけなのかもしれない。
自分から手を伸ばさなくても与えられ、「幸せ」を運んでくれる王子様をただ待っているだけの受動的なお姫様。
けれど彼女は永い苦難を経て成長し、本当に欲しいものを自分で選び掴み取るのだ。
「王子様」にさよならをしたつぐみが最後に手にしたもの。
もう私は「幸せ」には縛られない。
その言葉に全てが詰まっているのではないだろうか。
2009/12/24 09:44
メガネ男子はもう古い。次は壮年眼鏡!
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
婚活がもてはやされる昨今だが、それでも恋愛下手な女の子や仕事が好きでそっちのけのキャリアウーマン、結婚に臆病になっている淑女は数多い。
多分私もそのどれかの一人。
だからこれを全て満たしている困ったさん・つぐみはもしかしたら、様々な場面・意味で
「リミット」を迎えつつある女性たちを代弁しているかもしれない。
東京で大手電機メーカーに勤める30代半ば一人暮らしの女・つぐみは、仕事からの解放を求めてど田舎にある祖母の家で長期休暇を決め込んでいた。祖母の他界でそのままの家を継ぐことを決意、田舎暮らしでの在宅勤務に切り替えたつぐみだが、次の日目覚めると・・・
家の離れにはかつての師である祖母を愛し続けたというクールビューティー?な50代男性・海江田が住みつき、奇妙で微妙な共同生活が始まった。
と、そんな感じでこのつぐみと海江田の微妙な関係が一つ屋根の下で描かれていく。
ストーリー自体は何か大きな事件があるわけでも謎や暗いものがあるわけでもない。
なのに二人にはたまらない、読者をひきつけてやまない魅力がある。
西先生の絵が柔らかで繊細に美しいため水彩画のような優しさを感じてしまう二人だが、その表情にそぐわず?つぐみは可愛げのないほど一人だちしたしっかり者だ。いわゆる頼れるひと(男)を必要とせず、その上過去の傷から恋愛&結婚に極端なほど臆病。いわゆる恋愛下手のアラサーだ。これを解きほぐすのは至難の業に思われる。
前巻で海江田がつぐみに恋愛感情を告白したところで終わっていたが、二人は30と50といういい大人。静かでクールな関係が続くかと思いきやこの2巻ではなんともいじらしいほどのアタックを海江田が見せてくれる。
メガネ男子などもてはやしているのはもう古い!今こそ壮年男子、熟男熟女の不器用でいじらしくももどかしい恋愛をじっくり味わってみてはいかがだろうか。
そして恋愛モノとしてだけでなく「一人=独り」であることに慣れてしまった大人な人に是非読んで欲しい。
二人でいること、それは一人では背負いきれない痛みや悲しさを半分に分かつ人がいるということ。それを怖がっているつぐみとそれをひたすら待つと言い切る海江田の懸命さが哀しくも優しく心に響くこと受けあいだ。
なんにしてもようやく「二人」という幸せの入り口に立った第二巻。次巻が非常に楽しみだ。
2017/07/04 21:05
おもしろい
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
言葉がストレートで、生活態度がずぼらで、恋に一途な海江田先生が愛らしい。好きな人を前にしても浮かれた感じが全然なくて、確信めいた落ち着きぶりが妙に頼もしい。
電子書籍娚の一生 3
2012/06/29 12:07
大人の女性に読んで欲しい作品
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Milchkaffee - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京の電機メーカーで総合職として働いていた30代独身の堂薗つぐみは、田舎の祖母の家で過ごす長期休暇中に祖母が亡くなり、葬儀の席で田舎の家屋を持て余す親戚に、自分が買い取ると宣言し、総合職から在宅勤務に切り替え、そのままそこで暮らすことになる。
そこへ、祖母の家の合鍵を持っている謎の初老の男性・海江田が現れる。
海江田はそこそこ名の通る大学教授で、昔大学に教えに来ていた祖母と知り合ったと言い、近くの大学で教授の代行をすることになったと、強引に離れで暮らし始める。
初老の海江田がつぐみにアプローチしてくるのだが、これがなかなかイイのである。
時折強引に、でもたまに起こす行動にクラっとさせられ、そして色気がある。
で、気づいたのだが、これは昔の少女漫画を愛読していた世代が今読むべき、王道の作品なのだ。
主人公は、平凡な少女ではなく、ちょっと色々疲れ、結婚も逃した仕事に生きる30代。
相手は、10代後半や20代のテニス選手や王子ではなく、初老のおっさんだが、大学教授として成功しており、インテリジェンスもお金もある。
そして、お嬢様育ちの美貌の秘書は海江田に恋しており、二人の間にやたらと割り込もうと邪魔をする。
平凡な少女と憧れの青年が行き着くところは、すれ違いの果てに甘いくちづけだっただろうが、そこは大人になった読者側も口づけに憧れる世代からは卒業したはずだ。
しかし、最近の少女漫画にありがちな、エロすぎるラブシーンはなく、しかしとても満足させてくれる。
海江田がつぐみにくれる言葉は、昔の漫画に共通する、まさに女性が欲しい言葉や行動。
アラフォー以上の、昔の王道少女漫画を愛していた方にぜひぜひお薦めする。
絵に癖があり、受け付けない方も多いかも知れないし、登場人物の職業の専門分野への掘り下げについてはちょっと物足りなく感じるが、私は挿絵時代から彼女の絵が大好きで、最近の作品も愛読している。
特に最近の作品は秀作が多く、楽しみな漫画家さんである。
電子書籍娚の一生 4 結婚
2021/01/16 01:52
素敵な話でした
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Droco - この投稿者のレビュー一覧を見る
年の差婚までの長ーい道のり。一途な気持ちがとてもほっこりし、羨ましく思いながら読みました。何度も読み返してます!!あんなふうに愛されたい!!
2020/04/01 20:40
大人だからこそ。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
勢いに任せるほど若くもなく、分別と人生経験がちょっと邪魔をするお年頃の大人の男女が、それなりに情熱的に求めあいながらも、
一般論で攻撃されたり、昔の人間関係から思わむ障害が現れたりイロイロです。
でも、常に前に進もうとする二人にワクワクします。
2020/04/01 20:33
だんだんと・・・
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
奇妙な同居人から気になる人へ、徐々に惹かれ合う50男と30女。
微妙に社会からはみ出た二人の気持ちの変化に戸惑う様子が面白い。
2020/04/01 20:29
謎の紳士と。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
仕事に疲れた女性と、謎の紳士の奇妙な関係がイイ感じでだらっとしてて面白い。
海江田先生の何となくくたびれた様子に色気を感じてしまう。魔性のオトコ(笑)
2017/07/04 11:58
おとこの一生
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にそにそ - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初は話の流れを掴むのに時間がかかったけど、どんどん引き込まれていきました。キャラクターの描かれ方も素敵でした。
電子書籍娚の一生 4 結婚
2016/11/21 09:08
恋愛ではなく、一生
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しまうまとくじら - この投稿者のレビュー一覧を見る
余韻たっぷりの読後感、あらためてなるほどと思う。登場人物の生き方、ふしぶしの言葉づかいや態度、じんわり深い。以前、年の差婚の義妹がハマっていたが、大納得。
2015/03/23 23:38
大人の恋
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:れお - この投稿者のレビュー一覧を見る
いままでろくな恋愛をした事が無い35歳の女とその女の人のおばあちゃんのことを好きだった男の話。
大人の恋ということもあって、少し官能的なところもある(全4巻をとおして)
2010/03/30 18:44
おとこのいっしょう
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:蛸ペヤング - この投稿者のレビュー一覧を見る
これ、ネタとしては使い倒されているんだけど、上手に見せてくれる。女の一生の半分とまではいかないが、結婚適齢期は過ぎた主人公(20代前半に見える絵柄だが)と、オッサンがひょんな事から知り合う。こんなオッサン嫌いだし通報したいくらいだが、一巻読み終わる頃にはちょっと可愛いかもと思ってしまう。ちかごろ作品は不愉快か快かで判断するのだが、不愉快な所の無い作品。
2021/04/06 00:01
ひとつ屋根の下に見知らぬ男女
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
都会でバリバリに働くキャリアウーマンと、転がり込んできたナイスミドルとの組み合わせが絶妙です。田舎の一軒家での不思議な共同生活と、少しずつ心通わせていくふたりに癒されます。
電子書籍娚の一生 4 結婚
2020/10/04 20:35
二人のその後、番外編
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たら - この投稿者のレビュー一覧を見る
1〜3巻を経て結ばれた二人のその後のストーリー!三巻までに比べて甘々な二人が見れてにやにやしてしまいました(о´∀`о)西園寺さんと哲志くんのその後のお話もとても好き
電子書籍娚の一生 2
2020/10/04 20:33
切ないエピソード
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たら - この投稿者のレビュー一覧を見る
まこと君のエピソードがとても好きです。正直最初は海江田さんの"捻くれた"キャラクターを掴み所なく感じたまま読み進めてしまいましたが、この話はいつ読んでも胸がキュ〜となります……