電子書籍
暗闇商人(下)
著者 深田祐介 (著)
息子と引き離され、平壌に拉致された浩美。浩美の義父と恋人は、北朝鮮へ救援に向かう。一方、テロ集団・日本赤衛軍は新たな人物に狙いを定め、フィリピン・マニラへ。ターゲットは商...
暗闇商人(下)
暗闇商人 下 (文春文庫)
商品説明
息子と引き離され、平壌に拉致された浩美。浩美の義父と恋人は、北朝鮮へ救援に向かう。一方、テロ集団・日本赤衛軍は新たな人物に狙いを定め、フィリピン・マニラへ。ターゲットは商社支店長。誘拐集団にも、被害者側にも、隠された思惑があり、事件はいよいよ混迷してゆく。現実の誘拐事件「若王子事件」をモチーフに、ソウル・オリンピック直前の北朝鮮とテロ組織の謀略を、恐ろしいほどリアルに、壮大に描き出す「今だから理解できる真実の断片」に満ちたストーリー。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
日本人拉致問題の実体?
2002/11/10 22:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さがみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在盛んに報道されている「日本人拉致問題」と、かつて事件発生時には大々的に報道されたにもかかわらずその解決報道はあいまいのままであった「日本企業駐在員誘拐事件」の2つの問題の解決を山場に、息つく暇も与えずに一気に読ませてしまう。 小説という手法を使って「拉致・誘拐」の実体を告発するという捉えかたも出来る。 それは「拉致」、「誘拐」問題の双方にについて言えることだが憶測ではものを書けない新聞などと違い、「小説」という手法」による「あくまでフィクション」が前提という逃げ場のあるメディアを上手く使っているとも考えられる。
登場する日本企業に勤務する人々が、やたらと有能で正義漢であることは、その実体を知る読者には白々しいものもに感じられるのではないかと思う。 むしろ刑務所内での待遇改善運動を日本赤衛軍に認められて超法規的措置の釈放をされ、挙句の果てに本人の意志に反して成り行き任せでテロリスト組織に取り込まれてしまった、人は良いけれども自分の意志では自分の人生さえも思うにまかせない「水田」こそが、著者の思惑にはかかわらず私には「日本人そのものの実体」に思えて仕方がない。
描かれている世界の視点や認識が日本人の枠を一歩も出るもので無いことは著者の他作品と同様で、この点が著者の作品を読む時にいつも私が感じる著者の限界ではあるが、あくまでフィクションという前提ではあっても、「日本人拉致問題」の実体を知りたい人にはお薦めです。