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死神の精度
著者 伊坂幸太郎 (著)
こんな人物が身近に現れたら、彼/彼女は死神かもしれません──(1)CDショップに入りびたり(2)苗字が町や市の名前と同じ(3)会話の受け答えが微妙にずれていて(4)素手で...
死神の精度
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死神の精度 (文春文庫)
商品説明
こんな人物が身近に現れたら、彼/彼女は死神かもしれません──(1)CDショップに入りびたり(2)苗字が町や市の名前と同じ(3)会話の受け答えが微妙にずれていて(4)素手で他人に触ろうとしない。1週間の調査の後、死神は対象者の死に「可」「否」の判断を下し、「可」ならば翌8日目に死は実行される。ただし、病死や自殺は除外。まれに死神を感じる人間がいる。──クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う、6つの人生。金城武主演で映画化された原作です!
著者紹介
伊坂幸太郎 (著)
- 略歴
- 1971年千葉県生まれ。「オーデュボンの祈り」で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。「ゴールデンスランバー」で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞を受賞。
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紙の本
高い精度と上質、洗練に充たされた方程式
2008/03/07 08:09
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねねここねねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
上手いなあ、とつくづく。そしてわかりやすい。エンタテイメントに徹したプロの作業であると思う。
「旅路を死神」が白眉。「死神と藤田」「死神対老女」もやはりいい。うるっと来るようなところも確かにあり、ミステリ仕立ての語りではそつない仕上がりのものに思う。全編を通してのものもすばらしい。精度は高く、とても上質。
しかしながら、例えば数十年持つだけの耐久力があるかと云われれば、答えに詰まる。
軽妙洒脱と云われること多い伊坂に思うが、この作も短編集という構成を置いたところで、そのものは思えど、太さ、のようなものはあまり感じられない。物語は物語として上手であるが、熱の入り方がドライである。淡白、というのも違う。別地にあるクール。ある種現代的であり、機械的、という言葉が適すだろうか。
この作と、伊坂についての印象がある。
例えば試験をしたならば、求められている範疇で90%の点を取る。ポイントを抑える。論旨も明確。そつなく巧妙、精度も高い。前から思っていたものだが、大衆性、人気が高いのも頷ける。
しかしながら、世界自体を狂わすほどの大きな力は無く感じる。数学で例えを云うならば、ゼロでその数を割ってしまうごときの力は持ちはしない。方程式の解法を見せられている快と不快。
割り切ったエンタテイメントとしては非の打ち所がないものだが…。しかし勢い、というか、一点突破、というかの…。違うな。突き抜けた、ものであること。範疇を超えているもの。暴力的なまでの。崇高な、神懸りな、というかの。…そうしたものではないということ。
慣れている、巧妙である。読後感も優れ悪くない。しかしながら、この作も妙に軽く思う。テーマは面白い。なのに不思議なことだ。
優れた才、秀才が持つもの。既に存在する世界のなかにある規定。冒険心は感じない。良かれ、悪しかれ纏まったイメージが残る。例えば『グラスホッパー』『魔王』にしてすら。『オーデュボンの祈り』『アヒルと鴨のコインロッカー』ならそれでも一考するのだが…。
伊坂は秀才のイメージがとても強くなった。
破綻すれすれの限界。未然偶然の彼岸にあり、臨界値にある気配を醸す。若しくは天上をゆらり漂う。そのような世界を書物に求めるが、伊坂は枠の内にある。遠く彼岸の極北より、近きのポップを軽やかに仕上げる。掬いし救っているのだが、そのものがどうも軽く感じる。
破綻はしないのだろうな、と思う。「都市的」「現代的」な作家だ。良かれ悪しかれ、優れた工業品のよう。この作も都市の現代に馴染むものだが、深い罅割れや抒情を永年に残すものであるかは疑問に思う。
個々人の求めるものにも依るのだろう。
『死神の精度』この作品のレヴェルも大変高い。
上手く、とても上品。優れた職人、プロだとつくづく。
ただしこの作にとって、彼は芸術家ではない。僕が言うまでもないことだが。感じるでなく、考えて構築されたものの印象。
それはそれで悪いものではないのだが…。
オーデュボンや、アヒルと鴨~のような作品を再度読んでみたく思う。
何か大きなものを感じた、当時の伊坂を再び見たく思う。
紙の本
死神はひとりではない。
2008/06/30 20:01
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
死神の精度 伊坂幸太郎 文春文庫
6作品です。
「死神の精度」読み進めるうちになんとなくオチがわかってくる。ところが、読み終えてみると自分の予想したオチとは違っていました。残念。
「死神と藤田」日本語の構造について考えた。いや日本語でなくともいい。外国語でも記号でも。この作品には表記の構造について考えさせられた。
「吹雪に死神」死神物語の背景は何だろう。作者はなぜ「死神」を選んだのか。だれかはだれかの死を望んでいる。必殺仕置き人とか仕事人みたいだ。死神は何でもできる。やはり神だ。しかもこの物語では死神が複数いる。読み終えた。わたしは、密室殺人事件を全員集合して解くという設定が好きではないのですが、この作品にある人物たちの心情交錯のありようは、心にとても重い。
「恋愛で死神」死神=疫病神で、厄病神は空中を飛んでいる。本を読んでいる自分のそばに死神がいるような気になってくる。
「旅路を死神」現実の出来事のようでもある。死神はターミネーターのようだ。容疑者青年は周囲との意思疎通に欠ける。東北の名所に強引に結びつけようとしたきらいあり。
「死神対老女」こういうシリーズはワンパターンに陥りがちだが、多様かつ機敏に変化している。作者の才能と努力を感じる。音楽へのこだわりは何を意味しているのか、最後までわからなかった。作者はどうしてこんなに老人の気持ちがわかるのだろうか。読んでいてうっすらと涙がにじんでくる。文章はどんな世界でもつくることができる。全体をとおして、十分堪能させていただきました。
紙の本
淡々とした仕事ぶりがいい
2019/07/31 21:55
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
CDショップに入り浸って試聴を繰り返す苗字が町や市の名前の人は死神の可能性が高いらしい。そんな死神の一人である「千葉」さんの仕事ぶりを綴った6篇。最後まで読んでいてなるほどなと思ったのが、この6篇は時間経過の順番にならべられているのだけれど、その時間が想像を遥かに経過していたこと。1作目の女性がどうなったのか気になっていたのだけれど、最後の作品でその答えがわかる、またその最後の作品の女性は実は他の作品に登場した女性だったとかいろんな仕掛けが盛り込まれていて楽しい。「こいつはいいやつだから、やめておこう」と考える死神ではなく、淡々と仕事をこなし「可」と判断する死神なのがいい
紙の本
面白い
2016/05/23 21:16
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しろお - この投稿者のレビュー一覧を見る
この世界では、病死、自殺以外の人の死は死神によって決められているらしい。しかもたった1週間の調査で。そんなに短い間で決めるなんて何様だ!と思うけれど、そうか、死神も神様だった。でも、神様なのに調査(仕事)をしているとは、何だか人みたいな神様だ。
そんな神様、死神と数人の男女とのそれぞれの物語。
死神は人の死に意味はないと言うし、人があれこれ悩むことを疑問に思う。そう言われると確かにそうかも、人はおかしなことに思い悩んでいるなとは思うけれど、そう簡単には割り切れない機微があるのが人生なのか?それは神様には分からない、人だからこそ分かることなのかもしれない…
なんて考えさせられたり、させられなかったりする一冊。
とにかく、一つ一つの物語が面白い。面白くて温かい。
紙の本
ミュージックを愛す死神の物語
2008/02/23 21:07
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:久我忍 - この投稿者のレビュー一覧を見る
伊坂幸太郎の作品はどれもとても好きなのだが、いつもいつもどのジャンルにカテゴリすべきか悩むものが多い。そして今回読んだ『死神の精度』もまたそんな印象だ。
短編という形で雑誌掲載された『死神の精度』『死神と藤田』『吹雪に死神』『恋愛で死神』『旅路を死神』『死神対老女』の六編を収録した一冊。短編それぞれも出来はいいが、やはり一気に全部を読んでこそ、だと改めて実感した。
主人公は『死神』である。とはいえその単語から連想されるファンタジックなイメージと主人公が重なることもないし、作品がファンタジーなのかといえば少し悩む。本作品に登場する死神は、『職業』といった意味合いの方が強いようにも思える。とはいえ人間なのかといえば、殴られても痛みは感じない、味覚はない、そして死神の中でもこれは主人公だけの特徴だが──彼が仕事をするときはいつも雨が降る。
彼ら死神の仕事は、死を予定されている人物の調査だ。死神は対象が何故選ばれたのかなど知らない。ただ与えられた仕事を──調査対象の死期一週間前に当人に接触し、その人物が本当に死ぬべきなのか否かを調査し、『可』か『見送り』という報告を行う。そして『可』という報告をした場合のみその死が実行されるのを見届ける。
そして人の生死を左右する調査もかなりいい加減なものだ。彼らは調査期間ギリギリまで地上のCDショップの視聴器にかじりついて愛すべきミュージックに触れるために、たいていは『可』という報告を行う。
「死んじゃいたい」と呟くクレーム処理係の女性。
「弱気をたすけ、強気をくじく」という言葉を信じ続けるやくざ。
「俺は人殺しなんだっての」とあっけらかんと告げる逃亡者。
そして主人公を『人』ではないと見抜く美容師の老女。
さまざまな調査対象や、さまざまな人物との出会い──それを見つめる主人公の視点は冷めているようにも見える。人の生死を決定するという仕事に従事する主人公は他の死神と同じく調査結果はほとんどが『可』だ。
「人の死には意味もなく、価値もない」
そう独白する冷めた印象の死神は、出会う人々や調査対象に人や死についての質問を繰り返す。もしかしたら死というものの中に意味や価値を見出したいのは主人公なのかもしれない。
そして、私が仕事をするといつも雨が降る──そうぼやく死神はこれからも、淡々と降り続く雨の中でじっと愛すべきミュージックに耳を傾け、対極にある渋滞を毛嫌いし、そして淡々と死を間際にした人々のありようをその目に留めてゆくのだろう。
紙の本
やさしい死神
2011/07/05 17:49
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:arayotto - この投稿者のレビュー一覧を見る
死を前にした人物に接触して、その人物が死を実行するに相応しいかどうかを調査する死神を主人公とした連作短編集「死神の精度」
1週間後に死を控えた人物として、
電機メーカーの苦情処理係の女性、ヤクザ、殺人犯、床屋の女主人などが登場しますが、なかでもラストの2編、
殺人犯と旅をする「旅路を死神」と、
床屋の女主人と1週間を過ごす「死神対老女」がお気に入りです。
「旅路を死神」は、
東京から青森まで殺人犯と車で移動するロード・ノベル。
その旅路で出会う人々との、ささやかなやりとりのひとつひとつが、けっこう心に染み入ってきます。
そのひとつ、仙台で出会った青年がこんな風なことを語っています。
「人間独自のつらいことのひとつに、裏切りや幻滅がある。でも奥入瀬渓流(旅路の目的地)は幻滅させない、安心させてくれる」と。
この幻滅、というキーワードが全編を貫いています。
期待していた、頼りにしていた人が、実際はそうでもなかったら幻滅してしまう。でも幻滅させないために装うこともある。その装いに気づかないために敵意を抱いてしまうこともある。
だったらどうすれば?
死神がそんな無駄多き人間の行為に対して、答えらしきものを放り投げています。
「そういう下らないすれ違いは、人間の得意とするところじゃないか」
まさにそのくり返しが、人生(川の流れ)なのかもしれません。
「死神対老女」もまた、じんわりと心を、眩しく照らしてくれる作品でした。
老女が1人でまかなっている海の見える散髪屋があります。それほど繁盛はしていません。
ある日、老女は死神に頼みます。
「明後日、10代後半の若者男女を4人くらい客として呼んできて」と。
その理由が、
泣けます。
死神などというキワモノが主人公なので、伊坂幸太郎ファン以外は食指が伸びないかもしれませんが、じっくりと、何度も嚼むように味わいたい短編集です。
紙の本
いい小説だなあ
2024/02/29 18:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栄本勇人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
伊坂幸太郎さんの小説で一番好きかもしれない。派手さはないが、しみじみといい読書だったなと思えるような作品。どんな人にもおすすめ出来る。
紙の本
おもしろい
2022/06/12 17:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:北澤サン - この投稿者のレビュー一覧を見る
おもしろいおもしろいオモアロイ面白い面白いおもしろい面白いおもしろい面白いあ面白いし面白いすぎるおもしろーーーー
紙の本
千葉さんの虜
2021/04/29 14:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なっとう - この投稿者のレビュー一覧を見る
★面白い設定と魅力的なキャラクター!
対象者の死の可否を判断する死神という面白い設定と、ものすごく音楽好きでCDショップの視聴機に入り浸るという特徴が愛らしくって魅力的。
対象者となる人間たちとのやりとりもユニークで、どんどん読み進めてしまいます。
★死神という仕事
なんだかんだで人間の死を先送りにする…そんな死神なのかと思いきやでした。「死ぬことは特別じゃない」なんだかグッときてしまいました…。
伊坂さんの作品は随分前に「オーデュボンの祈り」を読んだきりだったのですが、また少しずつ作品に触れていきたいなと思いました!
紙の本
ラストに感動!!
2015/11/21 12:38
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:むーみん - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画が好きで、原作も読みたくなり、購入。どちらもとても面白かったです。人間からみるとどこか世間知らずな印象を持つ、こちらの死神ですが、時としてとても人間くさく、彼のキャラクターに引き込まれていきます。短編小説のようですが、最後に1つの話として繋がった時、本当に感動しました。
紙の本
精度
2014/07/07 09:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:航也 - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めてこの本を手に取った時は『死神の“制度”』の誤字でないかと思ったが、いざ読み終えるとそうでないことがすぐに分かり、これ以上ないほど“精度”という単語が適切な内容だった。主人公の視点が変わらぬ短編仕立てで、これがこの手法故の読みやすさと面白さの両方を兼ねている。気軽に読み返せる作品。
紙の本
死神
2020/08/24 20:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
どうやったらこんなこと思いつくのかと感心してしまいます。主人公が死神、しかも妙に音楽好きなのが可笑しいです。相変わらずの完成度!
紙の本
読ませる才能
2020/07/05 00:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:beni - この投稿者のレビュー一覧を見る
伊坂幸太郎の本は、どうしてこうも読ませるのだろう。
奇想天外な着想でも、この人が書くととてもリアル。
デビュー作からそうだったけど、凄い才能だと思う。
この小説も、あっという間に読んでしまった。
頁をめくらせる才能は大変なものだと感ずる。
紙の本
助けてくれるわけじゃないところが死神
2017/05/10 20:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
淡々と仕事していく死神さんがいい味出しています。対象人物と行動をともにしようと情に流されない。そんな彼の音楽に対するこだわりが物語を鮮やかにしていますね。気持ち良いラストにニヤリ。
紙の本
なんていい本なんだ
2017/03/19 13:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Mr.天才バブッコ様 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本の区切りになる写真がいい
内容も、短編的でいい
本当にいい
雨にまつあるお話で、とてもいいです
雨が好きな人はぜひ
この本を読むと、世界が変わりますよ
【死神の精度】に続いて
【死神の浮力】も、おすすめです
最後のシーンが一番大好き
ダムの端にある道を、豪雨の中死神の超すごい力で、駆け上っていくシーン
車を追いかけるんです
ビショビショになりながら
死に神の、千葉さんは どこかずれています
でも、そこが魅力的です。
死神の精度、ぜひ読んでくださいな