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闇の太守
著者 山田正紀 (著)
おれはいったい何者? 出雲黄泉の国を司る闇の太守か。はたまた須佐之男命の末と……。贄塔九郎は己れの<宿星>を求め、幻術師や乱波に導かれ、八岐の大蛇の首から生まれた物怪退治...
闇の太守
闇の太守 (講談社文庫)
商品説明
おれはいったい何者? 出雲黄泉の国を司る闇の太守か。はたまた須佐之男命の末と……。贄塔九郎は己れの<宿星>を求め、幻術師や乱波に導かれ、八岐の大蛇の首から生まれた物怪退治に旅立つ……魑魅魍魎、異形のものが塔九郎を待っていた。戦国の根の国に飛翔する、剣と魔法の物語。出色の伝奇時代ロマン。
目次
- 第一話 出雲人外宮
- 第二話 飛騨桃源郷
- 第三話 氷見痩面堂
- 第四話 甲州陽炎城
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続きが気になるのですが・・・
2007/01/02 23:12
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この世界は、人々の住む顕国(うつしくに)と魑魅魍魎の住む黄泉国(よみのくに)に分かれているという。この顕国の太守が覇権を争っている戦国時代、須佐之男命の血を引き、黄泉国を統べる「闇の太守」となることを運命づけられた男、贄塔九郎(にえ・とうくろう)。おのれの運命を切り開き、その宿星を探すため、八俣の大蛇の眷属の八匹の妖怪を退治する旅に出る。
ミステリやSFに健筆を揮う、鬼才にして奇才、山田正紀の伝奇時代小説です。
主人公の贄塔九郎の人物設定がすばらしい。母の顔を知らずに、ワケあって牢獄の中で育ち、すさまじい運命が待ち受けている陰の部分を持ちながら、どこか飄々とサッパリ明るい。もうこの人物造形だけで、贄塔九郎に感情移入でき、手に汗握って読み進めることができます。伊賀忍者で舞の名手の幻阿弥や夢遣いの巫女の馬酔木(あしび)ら、主人公に次ぐ登場人物たちも特徴的で、一読、忘れがたい印象を残します。
本作で、贄塔九郎は出雲、飛騨、氷見、甲斐と巡り、八匹中四匹の妖怪と戦うことになるのですが、残り四匹との戦いは?闇の太守の使命とは?と、続きがとても気になります。が、ここで注意を一つ。この『闇の太守』シリーズ、第一作の本書を含め四作が刊行されていますが、次作『闇の太守 御贄衆の巻』から設定が変わっています。主人公は贄塔九郎に変わりありませんが、舞台を越前に移し、黄泉国の掟を破った者を、闇の太守たる贄塔九郎とその仲間たちが追うといった内容になっていて、全然別の作品として読んだほうがいいくらい、これはこれでおもしろいのですが、本作の続きが読めないのは残念です。残り四匹の妖怪との戦いの結果はもとより、馬酔木の妖艶さにすっかり魅了されてしまった私としては、特に残念に思います。