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脳死・クローン・遺伝子治療
著者 加藤尚武 (著)
バイオエシックス(生命倫理学)とは、1970年代以降、生命科学のめざましい発達に伴って生まれた新しい学問である。医療技術について、その安全性や許容基準を判断することを目的...
脳死・クローン・遺伝子治療
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脳死・クローン・遺伝子治療 バイオエシックスの練習問題 (PHP新書)
商品説明
バイオエシックス(生命倫理学)とは、1970年代以降、生命科学のめざましい発達に伴って生まれた新しい学問である。医療技術について、その安全性や許容基準を判断することを目的に、欧米圏を中心にして成立した。 従来のバイオエシックスの原則は、「成人で判断能力のある者は、自分の身体と生命の質について、他人に危害を加えないかぎり、自己決定の権利を持つ」ということであった。
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紙の本
「生命倫理学」のよって立つ倫理を問い直してみよう。
2001/11/24 23:57
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投稿者:ちひ - この投稿者のレビュー一覧を見る
加藤尚武氏は哲学者であり、日本のバイオエシックス(生命倫理学)研究では第一人者である。著書に『バイオエシックスとは何か』(1986年、未來社)、『生命倫理学を学ぶ人のために』(1998年、世界思想社、加茂直樹氏と共編)などがある。
著者は「あとがき」で「国民の誰もが知っておくべきバイオエシックスの知識をまとめておく、最近の傾向を鋭く突き出して日本のバイオエシックス研究にとって刺激となる、大学や高校の教科書に使えるという条件を満たす本を作ろうと思った」と書いているが、その願いはほぼ完璧に実現されている。本書は専門的な知識がそれほどない者にも非常に理解しやすく書かれており、随所に散りばめられた解りやすい例(あるいはジョーク?)の助けもあって異常なほどに読みやすい。だがそれでいて専門的な問題は一切割愛されていないのだ。非常に希有な本である。
バイオエシックス(生命倫理学)という学問は、1970年代に始まった、比較的まだ新しい学問である。それが最大の目的としているのは、医療現場で用いられるべき倫理的思考基盤の整備であり、医療技術の進展に伴って続々と提示されはじめた臨床的な諸問題、つまり「医療行為はどこまでなら許されるのか?」という疑問への解答を求め、早急に一定の線引きを行うことである。具体的には、本書のタイトルに明示されている問題の他に、不妊治療や人工妊娠中絶、性転換手術、安楽死、インフォームド・コンセント、クオリティ・オブ・ライフ、アクセス権などを扱っている。もちろん本書でもそれら難問への、現時点での解答が示されている。
本書の読者は、バイオエシックスをとりまく状況は現在も刻々と変化しつつあるという当たり前の事実を改めて知ることとなる。「ヒトゲノム(ヒト遺伝子に組み込まれた30億の塩基対)解析」という、殆どSFと見紛う研究が現在世界中で行われている事実を事実として受容せざるを得ないこと、つまり我々の医療技術は引き返せない段階に突入したこと、よって我々に最早「○○絶対反対」という選択肢は用意されていないことに思い至った読者は、愕然とするとともに、バイオエシックスへの興味をかき立てられ、著者の示す解答に、しばし満足するだろう。しかし本書は「そこで宗教がなすべきことは何か?」という問題には一切解答を示さないので、読者は自分の頭を使って考えることの重要性も知るだろう。