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虜 ―とりこ―
著者 秀香穂里 (著)
藍原(あいはら)はクールな美貌の凄腕麻薬取締官。現在追っているのは、危険度Aの新種ドラッグと、その密売に関わる“ゼロ”と呼ばれる男だ。捜査中のある日、藍原は聞き込みに訪れ...
虜 ―とりこ―
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虜−とりこ− (キャラ文庫)
商品説明
藍原(あいはら)はクールな美貌の凄腕麻薬取締官。現在追っているのは、危険度Aの新種ドラッグと、その密売に関わる“ゼロ”と呼ばれる男だ。捜査中のある日、藍原は聞き込みに訪れた喫茶店で一人の男と出会う。精悍な容貌が目を惹く年下の男・神堂(しんどう)――単なる店番のはずが、どうやら裏世界にも顔が利くらしい。怪しいと思いつつ、惹かれていく藍原だが!? 死線で交わす愛とSEX--ハード・アダルトラブ!! ※電子版には、紙版に収録されている挿絵は収録されていません。
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紙の本
ヒトのクズにも五分の魂…
2007/10/24 08:52
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
このジャンルで、麻薬取締官が主人公の物語というのを、いくつか読みましたが、麻薬にからんだ人の弱さや醜さが浮き彫りになるような、シビアな事件がメインになるだけに、どれも苦みの多いお話になるようです。
この作品も、麻取である主人公の藍原が、大切に思っている弟を新型麻薬の餌食にされるという、取り返しのつかない痛ましい事件が立て続けに語られます。それだけでもしんどいのですが、中毒患者になってしまった親たちが我が子を虐待し、結果的に破滅させ、死に追いやっているということが、事件の背景となっていることが、物語が進むにつれて分かってきて、なんともやりきれない気持ちになります。
主人公の藍原も、彼と出会う神堂も、健やかであるべき子ども時代を、親の麻薬使用によって踏みにじられ、心の一部を失ってしまった人間です。こういう二人が、傷のなめあいや病的依存ではなく、建設的な愛情を築いて共に生きていくというのは、ほんとうに難しいことだと思うのですが、作者は、決して不自然には感じさせない経緯を紡いで、最終的に二人まとめて救う結末に持って行っています。そこがすごいなと思いました。
以下は蛇足。秀作品には、どうにもならないようなクズ人間が出てきて主人公を苦しめることがよくありますが、今回のクズは、ちょっと程度がひどすぎました。ある意味、諸悪の根源であった神堂にさえ「こいつが更正すると思うか?」と言われてしまう、そのクズは、親から受けた虐待で心を壊された子どもたちより、よほど破滅的な人格でしたが、そういう人間になってしまった背後事情については全く語られることなく、結果的には法の裁きを受けることなく粛正されて消えていきました。おそらくは作者に全く愛されていないキャラであるから、あっさりとこの世から切り捨てられたのでしょうけれども、こんな化け物にも、親もいれば幼少期もあったわけで、一体どんな過去を秘めてクズになってしまったのか、ちょっとぐらい、知りたいような気がしました。