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死にゆく人のための医療 生活人新書セレクション
著者 森岡恭彦 (著)
患者の延命をはかる医療から、患者の死に方を考える医療へいのちは誰のものか。死に方は選べるか。家族は何を望むか。そのとき医師に何ができるか。誰もが迎える「死」を一人ひとりが...
死にゆく人のための医療 生活人新書セレクション
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死にゆく人のための医療 (生活人新書)
商品説明
患者の延命をはかる医療から、患者の死に方を考える医療へ
いのちは誰のものか。死に方は選べるか。家族は何を望むか。そのとき医師に何ができるか。誰もが迎える「死」を一人ひとりが設計できる医療を考える。
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紙の本
納得いかない啓蒙書。
2003/11/25 18:19
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投稿者:ちひ - この投稿者のレビュー一覧を見る
死の周辺のさまざまな問題について、医療関係者(著者)が一般の人に解説する書。たとえば
「「脳死患者」と、いわゆる「植物状態」とが混同されがちである」(一九頁)
と太ゴシックで書かれ、どう違うかが解説されている(常識以前だと思うが知らない人も多いのだろうか?)。そのあたり啓蒙的である。
「まえがき」でも断られるように、本書では、安楽死・脳死・自殺など死をめぐる大きな問題に「結論めいた答え」は示されない。しかし「答え」を出す前に解決すべき問題については、一般の人が疑問に思うことや、著者と立場を異にしている者がまさに問題だと考えているところをかわし、まるで著者の考えが唯一の決定事項ででもあるかのように進んでいく。つまりある種の結論は示されている。だが困ったことに根拠や前提が事実誤認である場合があったし、少し無神経と思える記述も少なくなかった。野暮だし、少し悲しいので一々についてこまかくは言わないが、少し挙げれば以下のような感じである。
「脳死の問題は、本来は移植とは関係のないものです」(30頁)
「もちろん仏教にもさまざまな宗派がありますが、霊魂は不滅で死後、六道を輪廻すること、そして生きている時は人生の無常を知り、あらゆる欲望、煩悩を捨てることで安心立命の境地、悟りの境地に達すれば死も怖くないという考え方が広まっている」(80頁)
「オランダは安楽死を望む人々の天国」(156頁)等々。
‥‥「医者は患者のことを第一に考えるべき」という基本コンセプトには賛成だ。だがそれを実現させるための具体的方策や小さな結論群にはなかなか首肯できないものが含まれている。いわゆる「町野案」への賛成理由が“すっきりしている”ですむのか、どうか。
死にまつわる問題は、専門家が非専門家に説明してそれで終わる種類のものではない。啓蒙書のような体裁の本であっても全面的には信頼せず、一々の主張を可能な限り検証しなければならないと思う。いずれにせよ、死の問題を著者のような医療関係者だけに任せきりにしたり押しつけ続けたりしていてはいけないだろう。