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  • カテゴリ:一般
  • 販売開始日: 2010/09/10
  • 販売終了日:2013/04/18
  • 出版社: 河出書房新社
  • ISBN:978-4-309-01804-1

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電子書籍

夢を与える

著者 綿矢りさ (著)

幼い頃からチャイルドモデルとして活躍してきた美しくすこやかな少女・夕子。自分の夢を託す母親とともに走り続けてきた彼女は、あるCMのキャラクターを半永久的につとめるという前...

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夢を与える

税込 880 8pt
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商品説明

幼い頃からチャイルドモデルとして活躍してきた美しくすこやかな少女・夕子。自分の夢を託す母親とともに走り続けてきた彼女は、あるCMのキャラクターを半永久的につとめるという前代未聞の契約を結び、大手芸能事務所に入る。ついにブレイクの波に乗った彼女だが、ある事件が起こって……

著者紹介

綿矢りさ (著)

略歴
1984年京都府生まれ。2001年「インストール」で文藝賞を受賞しデビュー。04年「蹴りたい背中」で芥川賞を史上最年少・19歳で受賞する。

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みんなのレビュー307件

みんなの評価3.3

評価内訳

紙の本

綿矢りさの成長よりも健在ぶりを感じさせる圧巻

2007/02/24 14:25

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

『蹴りたい背中』のあまりの巧さに舌を巻き、新作が出るのをずっと心待ちにしていた。
 大きな期待を抱きながら読み始めると、いきなり出てきたのは幹子という30過ぎの女性である。当然作者と同じ若い世代が主人公であろうと踏んでいたので大いに驚いた。若い作家というものは自分より上の年代をなかなか巧く描けないものだ。果たしてうまく書けているのだろうか? いや、読み進めるとやはりぎこちない。それに話が走りすぎる。作家に走られると読者は乗り切れない。ちょっとがっくりかなと思いながらさらに読み進むと突然ギアが切り替わった。
 幹子は無理やりトーマと結婚し夕子が生まれる。幹子は夕子をモデル事務所に入れる。その辺りから主語も視点も夕子のものに変わり、幹子とトーマは「母親」「父親」と表記されることのほうが多くなってくる。そして、その辺りからが綿矢りさの真骨頂である。たとえば『蹴りたい背中』の冒頭のような、考えて考えて考え抜いた凝った表現はどこにもない。だが、着実に腕を上げた地道な表現力でじっくりと惹きつけて読ませる。最初の20〜30ページのぎこちない文章はここに繋げるためにどうしても必要だったのだ。中学から高校卒業にかけての少女が立ち上がってページの上を鮮烈に動き出す。タレントという特異な仕事に就いてしまったティーンに、ある時は無意識にある時は顕在的に重くのしかかるプレッシャーが、手心を加えることなく描かれる。この業界のこともそこそこ取材してから描いたようで、僕らが読んでいてもそんなに違和感がない。そして驚いたのは、男と女の、もっと解りやすく書けば肉欲の世界がちゃんと描かれている。
 人気を登りつめやがて落ちてゆく。作り上げられてやがて壊れてしまう。結構救いのない話である。最後は突き放したようにバサッと切り落として終わってしまう。このそっけないタイトルと、このむごいような終わり方にはかなり議論が出るかもしれない。
 だが、僕には悪い読後感はなかった。綿矢りさは健在であった。20代の作家に「健在」という表現は似つかわしくないかもしれないが、僕はこの言葉が使いたくなった。そう、成長よりも健在ぶりを感じさせる小説だった。
by yama-a賢い言葉のWeb

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紙の本

まるで林真理子の小説を読んでいるような・・・ま、褒めてはいるんですけど綿矢でなきゃ書けないお話とは思えないんです

2007/05/14 22:14

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

あの綿矢りさの新作は、なんと芸能界が舞台、というのですから喜んでいいのやら嘆いていいのやら、複雑な気分ではあります。ちなみに、Blog:duck75の日記、のこの本の書評には、綿矢の大学卒業式の光景やこの本に関する彼女へのインタビューの様子を5分以上にわたって見ることが出来る機能がついています。
大学生になった長女に言わせると、ナンジャラカンジャラという映像を無料配信するサイトを利用している、とのことですが、著作権問題はさておき、私にとっては有難いものです。映像はテレビの早朝の番組を利用したものでしょう。インタビューの時の髪型については、不満を抱いた長女と私ですが、卒業式の髪をアップにした着物姿の美女ぶりには、ただただ圧倒。是非、ご覧下さい。duck75さんには、ただただ感謝です。
で、ついでに脱線しますが、この本の値段はいいですね。ハードカバーで、305頁、全14章で、本体価格1300円。同時期に読んでいた、集英社から出た吉川トリコ『「処女同盟」第三号』はソフトカバーで、173頁、1300円ですから、売れる本というのは最初から差がついている、といっていいでしょう。ちなみに、同じような印象を筒井康隆の新作『巨船ベラス・レトラス』にも抱きました。これはハードカバーで1200円。いわゆる戦略的商品、てやつでしょうか。
閑話休題。
モデルさん、あまり若さを感じません。最初は綿矢さんかと思ったほど。先ほど書いた早稲田大学の卒業の時の姿を拝見する限り、ご当人がモデルのほうが良かったんじゃあないか、なんて思ったりします。本当に、美しかったですよ、アップ姿・・・
主人公は阿部夕子で、彼女の誕生の経緯から話が始まります。阿部冬馬と幹子は、フランスで出会い、付き合って6年になっています。その冬馬から持ちかけられそうになった別れ話ですが、気配を察した彼女は泣き落としで逆に、彼に話を切り出させないままに、セックスに持ち込み、狙い通り身籠ることに成功します。
結果、生まれたのが夕子です。勿論、別れ話は結婚へと形を変えてしまいます。そして、子供ができたことで冬馬は、一時的にではありますがよきパパ、よき夫となります。そして父親からフランス人の血を引いた幼児は、その愛くるしい容姿から、チャイルドモデルとしての道を歩み始めます。
そして、夕子が小学一年生のとき、その後の彼女の運命を変える仕事が持ち込まれるのです。スターチーズという商品を販売している会社が、「我が社のCMに同じ女の子を幼いときから使い続け、その子がスターチーズを食べながら成長していく様を撮り続けることで、お客様にどれだけこのスターチーズが愛され続けてきたか、これからも愛され続けていくかを提示するのが狙い」と、半永久的な契約を申し出るのです。
綿矢作品は、2001年の『インストール』以来のおつきあい。あの本に載っていた彼女は、本当に美少女でした。あまりの可愛さに当時、12歳だった長女にも読ませたき置くがあります。そのとき綿矢16歳。で、今、24歳になった彼女に対し、我が家の長女は18歳、次女は17歳になったばかり。で、今回は次女にも渡して家族で読書。
長女「ばかじゃない、夕子!それに母親、ウザイ。それから冬馬、ヘタレだし浮気するし、要するに典型的なフランス野郎じゃん・・・」、次女「なんか変!」、夫「あのさ、セックスする場面をビデオで撮る、と男の友だちに言われて、OKするか、普通のタレントが」。とまあ、『インストール』の絶賛ぶりとは様変わり。
ま、これを純文学として読むことは無意味で、むしろ林真理子の本などと一緒とみたほうがいいでしょう。昔でいえば、中間小説。今でいえば、エンタメ。ま、綿矢が書いたことに意味がある本、といえばいいでしょうか。

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紙の本

「夢を与えた」ある女の子の物語

2007/02/16 13:47

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:石曽根康一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

綿矢さんの本は実は、初めて読んだ。
『インストール』も『蹴りたい背中』も読まなかった。
理由は?
自分でもよく分からないのだが、小説を書くものとして、彼女に対して、ライバル意識があったのかもしれない。
でも今回はそんなこと関係なく、読んでみた。
なんとなく伝え聞いたところによると、芸能界の中でのあるアイドルの話らしい。
読んでみて、最初の方に少し戸惑いを覚えるが、
最後まで読んで、この最初の冒頭部分がなぜなければならないのか、納得。うまく考えられています。
小説を書いているという立場から見ると、なかなか「男には書けないだろうな」と思わせる心理描写や風景描写がところどころに光っていて、そのとき、本から目を離せば、余韻に浸ることができる。
中盤あたりからは、ジェットコースターに乗っているように勢いがついてきて、どんどん読ませる。
それにしても、テレビの収録の場面などは、描写が細かくて、よくここまで書けるなと感心する。テレビ関係者に取材したのだろうか?そうでなければかけそうにないと思わせるくらい、かなりリアリティがある。
ただ、この物語のある部分はリアリティはなくて、でもそれは、この本の「欠点」ではなくて、この物語が、「フィクション」であることを際立たせるという意味で、有効に機能していると思う。
その意味で、小説を書く場合、全てのことにリアリティを持たせる必要はなく、少し、スパイスとして、リアリティのない要素を入れることによって、物語が、「仮構」として、よりはっきりと立ち上がるということを、この本は教えてくれた。

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紙の本

感じたことの素直な発露

2009/12/31 19:36

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

 約三年放置していた本を読んだので、今更の感はあるけれど感想を書いておく。同じ様に放置していた桜庭一樹「ファミリー・ポートレート」も最近読んだのだけれど、突然大きな文学賞を取って有名になった人は、受賞後第一作としてそのときに感じたことを題材に選びやすいのかな、と感じた。本作はチャイルドモデルから芸能界に入りブレイクした高校生夕子の物語だ。
 フランス人の父親と日本人の母親を持つ夕子は、幼い頃にあるメーカーと半永久的なCM契約を結ぶ。彼女の成長を追う様に製作されるCMは、彼女に視聴者が求める姿を保ち続けることを要請する。どこにでもいる様で、いつまでもかわいい少女。
 生まれた時から愛をつなぎとめる役割を負わされ、視聴者に夢を与える役割を淡々とこなしてきた彼女は、17歳で初めて恋をする。誰かが求める姿を演じるのではなく、自分が求める愛のために、これまで切り捨ててきたものを慌てて回収する様に行動する彼女だが…。
 ドキュメンタリーではなくドラマ、夢を与える側は夢を見ることは出来ない、かしこく簡単に笑わなくなった女の子をテレビで見たいとは思わない。物語の随所随所にちりばめられたセリフが、おそらくは作者の感じたことを伝えてくれている気がした。

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紙の本

チャイルドモデルのブレイク

2022/09/04 03:28

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

浮き沈みの激しい芸能界と、期待の新人が現れては消えていく文壇はそれほど変わりないのかも。早々と幸運を使い果たした夕子と、18歳で芥川賞に輝きながら未だに創作意欲が衰えない綿矢りさとを比べてしまいました。

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紙の本

成功をおさめたとは言えない小説

2007/05/23 22:37

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちかげ - この投稿者のレビュー一覧を見る

綿矢りささんの久々の小説です。
ぼくは綿矢りささんの前二作(「インストール」「蹴りたい背中」)を読んでから、次回作をそれなりに期待して待っていたので(そのくせ発売から三ヶ月も経ってからようやく読み始めたのですが)、前二作との比較を中心にこの作品についての感想を述べさせて頂きたいと思います。
まず、前二作に比べると情景描写等が精緻になっていて、作者が努力してこの作品を書き上げたことがうかがわれます。ただ、その反面、前二作の特徴であった瑞々しい心理描写は影を潜めてしまっています。そして、読み終わった後に読者に例えようもない疲労感を与える作品になってしまっているように思います(主人公の人生を時系列で、まるで取扱説明書のように懇切丁寧に解説しているため、小説というよりも伝記を読んでいるような錯覚に陥ってしまいました)。また、前二作より幾分は改善されていますが、相変わらず文章が洗練されておらず、句読点の用法にも疑問を感じるところが多いです。例えば、「コンビニで母親が買ってきたデザートを食べている夕子の口元についたクリームをぬぐいながら母は、もちろんよ、と言った」という文章があります。確かに注意深く読めば作者の言わんとしていることは理解できるし、文法的に誤りとは言えないかもしれない。しかし、作者の言わんとしている状況が一読して脳裏に浮かぶような明瞭とした文章とはお世辞にも言えないし、「難解だけれど美しい文章」というほどの文章とも思えません。
また、前二作との比較ではなく、この作品自体の設定についても疑問を感じるところがあります。例えば、主人公が父親の浮気を知らされて深い衝撃を受ける場面があるのですが、この物語のなかで主人公は「大人びた感性を持つ中学生(この場面の当時)」という設定のはずなのですが、大人びた感性を持つ中学生であれば、それ以前の両親のやり取り等から、当然に父親の浮気について予測しているはずで、いまさら「深い衝撃」を受けるというのはどう考えても不自然だし、また何か衝撃的・印象的な出来事があると、決まって主人公にその出来事を象徴するような内容の夢を見させる設定も安易だと思います。
ぼくは小説というのは、予想外の物語展開や登場人物に感情移入・共感させることによって読者を楽しませるものだと思っています。しかし、この物語のストーリー展開は読者の予想の範囲内のものだし、この物語の主人公はあまりにも世間知らずで、芸能界で没落して当然というような生活を送っているため、読者の共感を得ることも難しいと思います。少し厳しい評価かも知れないけれど、前二作に比べて描写が精緻になったという点を除いて、この作品が小説として何らかの成功をおさめたと評価するのは難しいのではないでしょうか。
綿矢りささんがこの作品を書ききることで身につけた精緻な描写に、前二作のような瑞々しい感性をのせることができるような、そんな素晴らしい次回作を強く希望します。

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紙の本

新しい現代小説へ

2007/06/24 19:45

4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る

待望されていたと言ってよい綿矢りさの新作『夢を与える』は、きわめて凡庸な現代小説である。そのことは、現時点から振り返れば『インストール』にも『蹴りたい背中』にも見いだせるものには違いないが、そのことがかつてはわかりにくく、『夢を与える』を読了した今、はっきりといえるように思う。ただし、そのことは、『夢を与える』を否定的に評価することとは一線を画す。なぜなら、凡庸な現代小説が誰にでも書けるわけではないし、むしろ様々な「得意な芸風」ばかりが蔓延しつつある現代小説界において、凡庸であることそれ自体は、きわめて非凡なことであるからだ。そのことは、例えば同時に芥川賞を受賞した作家のその後の動向と小説とに明らかだろう。
さて、『夢を与える』とは、セルフ・コンシャイスな主人公の内面の成長物語と要約できる。正確に言い直せば、モデルとして「夢を与える」立場にありながら、仕事と生活の葛藤、さらにはその発展型としての恋愛とスキャンダル(なんという凡庸さ)とによって、主人公が挫折するまでの物語である。いうならば、中学生になって「部活と勉強の両立ができるか」という、たいへん古典的な思春期の葛藤を、いささか現代的な舞台に移し替えた現代小説が『夢を与える』なのだ。こうしたプロットが古典的なのはいうまでもない、もはや、多くの中学生は、「部活と勉強の両立ができるか」と問う前に「学校と塾の両立」を余儀なくされているからで、その意味からいえば『夢を与える』の読みどころは、ていねいに描き出されたと評し得る細部にしかない。つまり、ここには新しい物語はなく、にもかかわらず/それゆえ、新しい現代小説、とまではいえなくとも、その可能性はある。それは、どういうことか。
『夢を与える』は、上に述べてきたような主人公を中心に据えた物語であると同時に、小説の外延を縁取っているのは両親であり、その一般的とはいえない関係のあり方である。そこには、外国の文化が入り込んでいるし、その点を除いても、現代日本の規範的な夫婦のあり方を逸脱した様相が描かれている。それが、主人公に陰に陽に影響を与えるとともに、小説全体を、「1人の少女の物語」から「新しい現代小説(の可能性)」へと押し広げている。それは、『インストール』で登場した作者らしく、現代の、何とは定かに捉え切れない現代的な風俗を書き込むことへの意志に支えられている。もちろん、現代風俗を書いた小説なら、他にいくらでもあるだろうし、それらの中には『夢を与える』より面白いものも少なくないだろう。それでも『夢を与える』に一抹の可能性を見るのは、他でもない、そのていねいといえばそれだけが取り柄のような筆致の確かさと、凡庸な物語にとどまり続ける愚鈍さとを、綿矢りさが併せ持っているからに他ならない。こうした相反する諸要素の奇妙な同居は、あるいは現代小説に「新しさ」をもたらす可能性がある。というのも、単純にいって、これまでこうした要素を兼ね備えつつ、「書く条件」を保証されている作家など、ほとんどいなかったのだから。

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紙の本

悲しい余韻が残る

2007/05/30 21:12

9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:koha - この投稿者のレビュー一覧を見る

読んだ後の感想を言えば、「疲れた」である。芸能界をわざわざ説明するかのようなつまらない文章が長々と続いた。途中であの人物が死んだ意味もわからない。綿矢りさは、あんなかわいいのに生々しい性欲等を書くから、いつも驚かされる。やはり、性描写の文章が頭に焼きついた。あんなに純粋だった夕子が、下品な顔をしながら性の快楽に溺れる。しだいに化け物に代わって行くようにもみえた。やはり欲というものはこわい。お金を払って購入したことを後悔。図書館で借りて読むか、あるいは本屋で立ち読み程度で良い本だと思う。この本を自分の本棚に納めたいとは一切思わない。この本の登場人物、全員に嫌悪感を覚えた。どいつもこいつも浅かった。というか、綿矢りさのこの本に対する情熱自体浅いのではないだろうか。やはり、句読点を執拗に使用した読みにくい文章。大御所作家のすごさを実感させられる。
やはり、作者自身、若すぎではないだろうか。芥川賞をとったことで、余裕をこいてしまったのだろうか。

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2008/12/04 12:56

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2007/02/18 14:17

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2007/02/11 20:55

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2007/03/13 18:10

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2007/02/19 03:31

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2007/02/23 19:04

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2007/02/26 23:45

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