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性遍歴
著者 松本侑子 (著)
中学三年の冬、麻美子は初めての口づけをかわした。性の目覚めと好奇心、体の変化、初恋、セックス、別れ、結婚、妊娠……一人の女の性にまつわる心身の成長、ヰタ・セクスアリスの「...
性遍歴
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性遍歴 (幻冬舎文庫)
商品説明
中学三年の冬、麻美子は初めての口づけをかわした。性の目覚めと好奇心、体の変化、初恋、セックス、別れ、結婚、妊娠……一人の女の性にまつわる心身の成長、ヰタ・セクスアリスの「性遍歴」。誰もが経験する、恥ずかしくて、この上なく愛しい季節……。みずからの欲望に忠実であろうともがく人々の切ない恋を描いた、極上の性愛小説集。
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紙の本
「性遍歴」の中の短編「性遍歴」について
2006/10/26 13:21
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:レム - この投稿者のレビュー一覧を見る
性遍歴というタイトルから、男性であれば淫乱な女性像をつい想像しがちであるが、この本は決してそのような内容ではない。性というひとつの視点からみた、ごく普通の女性が経験する人生の一部分が綴られている。
セックスに関して、あるいは端的に性交に関して、とかく男性は、外性器に執着しがちだ。しかし、女性は常に内面から性全体を見ている。それは時として性的な外部の皮膚感覚であったり、見えない内部の感覚であったり、あるいは月経を通じで内側から出て行くものもであり、また愛する男性を受け入れ、胎児として出て行くものでもある。つまり、女性にとっての性は、外部や内部に限定されず、感覚の往来とでもいうような様相を常に呈しており、またそれが女性の生き方でもある。この感覚は、女性にはよくわかり、往々にして男性
には一生理解されないものかもしれない。実はこの本は、とある女性の友人に紹介された一冊である。そもそもその友人と私とは性に関しても忌憚なく広く話題を共有できる間柄なのだが、その彼女が心底読みやすいと表現した。それは、文体が読みやすい、ということだけではなく、描かれている世界が女性の感覚にすんなりと溶け込むからなのであろう。
女性が過去の男性達との思い出を一生静かに胸にしまいながら、夫と愛し合う姿も、性交を通じて確実に妊娠したいという願望も、これもまたひとりの女にとって大事な性なのだ。女性にとっての性は、そこまで気高く、そして寛容だ。
短編であり、出来事は淡々と描かれているが、過ぎ去った男性達との性遍歴を通して彫刻されていく女性の立場からの「性」は、真髄をついている。
砂浜で清楚な貝殻を拾ったような読後感だ。