紙の本
就職できない博士たちの最近の実態
2012/02/04 18:48
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ホームレス博士」 というタイトルだが,著者はホームレスの博士が (どれだけ) いるのかをしらべたわけではないようだ. その意味では,この本の内容もふくめて,誇張されている面はある. しかし,基本的には就職できずに非常勤講師をいくつも兼任している博士たちの,まだあまり知られていない実態を紹介している. 読者は著者や対談相手の鈴木謙介からまなぶことはできるだろうが,現状を改善する方法が書かれているわけではない.
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博士地獄という蟻地獄から辛くも逃げ出したつもりが,司法制度改革という別の地獄に捕まっているというのは,タチの悪い冗談としか思えない。それでもこれが現実だとすれば,希望を捨て,「しぶとく」生きねばならないのだろう。くだらない枠なんかにとらわれず,少しでもましな場所を求めて。自分に何ができるのか,自分は何がしたいのか。30過ぎても結局こんなんですわ。
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大学院を出ても就職もできないでバイトをしている人がたっくさん日本にはいる。企業も大学院出た人はいらない、という雰囲気になっている。
非常勤講師、教員もある日突然解雇される。
専任教員は少なく、ほとんどが外部からバイトのような感じで講師wしてもらっている。
年収70万程度の博士もいる。
学歴ロンダリングをしたことなど、まるで悪いことをした奴のような扱いをされる。
東大卒の博士でさえも、就職率は40%程度。
日本では博士の地位が低い。
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海外留学に全く触れていません。人文系の研究職というのはよく知りませんが科学の世界では留学は当たり前です。留学をすることで例えば英語をある程度話すことができるようになり、他国の文化に触れることが出来ます。著者に留学の経験がないようなので書けなかったのかもしれませんが、後半を『だから海外へ留学しよう』とすれば良かったかもしれません。
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「東大博士が語る理系という生き方」を光とすると、こちらは博士研究者たちの現実の闇を描いたもの。内容的には同じ著者による「高学歴ワーキングプア」と同様。国の宝、活力であるはずの高度な知を生み出す人々が、構造的に冷遇されている状況がよくわかる。が、後半「学びの意味」に関する話が前半の主張と噛み合っておらず、むりやりな印象を受ける。
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水月氏がこれからどういうプランを描いているのか分からないが、一つのけじめの書となったのではないかと思う。
前半は、前著「高学歴ワーキングプア」の続編にあたる所で、後半は、この間にあった自らの心中の変化を赤裸々に語っている。
著者とほぼ同じ境遇で大学院時代以降を過ごしたため、共感できる所が多い。上の世代が大して仕事もしないのに既得権益を持ち、日々学内で振舞っていることに対し多いなる不満を持っている。
さて、本著の評価であるが、ロジックとしては前著でほぼ語り終えているので、新規に分かったことはなかった。それでも、後半部分については著者の人となりが理解できたので、前半☆3、後半☆5で、トータル☆4つとした。厳し目の評価と思うが、更なる期待を込めての☆4つと捉えていただきたい。
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「高学歴ワーキングプア」の続編。
博士号をとってもパーマネントな職を得られない博士の現状が詳しく紹介される。今のアカデミックなポストの体系が、教授・准教授が多く助教が少ない逆ピラミッド型になっていることからも、いびつな状態にあることがわかる。まあ大学に限らず、日本型企業の現状もこれと同じことが言えるのだろうが。
本書の最後の方に、次のようなことが書かれている。大学院(特に博士課程)は(アカデミックな研究者としての)トップスター養成機関になっている。トップスターになれなかったものは落ちていくだけという仕組みは問題である、と。
全くその通りだと思う。
博士号を取っても就職できない問題が「自己責任」か「制度の問題」か、というのは場合によるので一概には言えないものではあるが、簡単に「自己責任」と片付けるのはやはり短絡的すぎる。
そもそも大学院重点化は日本の技術力向上を目指していたはず。アカデミックに限らず、民間で活躍できるようなキャリアパスを大学側でも意識されるべきなのであろう。
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成功/失敗体験が人をポジティブ/ネガティブにさせるのか?
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学歴ロンダリング
鳩山元首相の息子だって海外で研究
決意で自分の道を選べるほど「人間ができている人」はいない
権力に迎合する学者たち
知識人が爆発したら
「覚悟」とは、自分で「する」ものではなく、「させられる」ものなのかもしれない
幸せに代わる納得
travel の語源、苦労
博士課程がトップスター養成講座、あとシラネ。
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2010/12/07
from T.F.
後半の精神論みたいなの、僕は嫌いでないのだが、これだったらもうちょっとタイトルのつけ方ないのかなあってそういうことは考えました。まあインパクトあるからいいのかな。文系M1の学生より。
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社会科学系、文系の大学院生の就職難はよく言われているし、よく知っている。修士や博士を活かす職がないのも問題だが、大学の教員が自分自身のことで精一杯になってしまい、学生に夢のある社会を提示できないのは残念。研究者は教育者としての立場ももっと自覚すべき。
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大学の先生(教授その他)の収入がこんなに少なく、また身分が不安定だなんて想像していませんでした。これでは国際競争力のある社会人を養成することなんて無理です。まずは先生の地位を高めなければ。
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実はこの本を書いている作者も2011年の4月以降の身分は未定なのだそうです。ここに書かれているのは『高学歴ワーキングプア』から3年後の世界です。
最初に僕が読んだのは彼の前作である『高学歴ワーキングプア』よりも先にこっちを読んでしまいました。僕は大学時代に作者と似たような経歴の持ち主にあったことがあるのですが、読んでいて彼のことを思い出してしまいました。彼とはもうおそらく会うことはない、もしくはあっても挨拶すらすることはないであろうということが明白ですが、無事に生きていることを願っています。
昔よく親戚に『末は博士か大臣か』なんでおだてられて僕もアカデミズムの世界を一度は志したことがありますが彼らは彼らで大変なものだということをこの本でうかがい知ることができました。
日本の社会では文系理系問わず、博士号までとっても、大学の研究職以外彼らを生かす土壌がないために研究職につけなかったいわゆる「ノラ博士」たちはコンビニや現場仕事、果ては作者のようにパチプロで糊口を凌いで生計を立てなければならないという現実を見ると非常に暗澹たる思いがいたします。
彼らにリスペクトがない社会というものは必ず衰退のほうへ向かっていくと僕は個人的に思っているのですが…。
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少子化なのに大学院が増えて,博士号とっても正規雇用がない人がもうずっと増えている。著者もその一人で,三年前にも『高学歴ワーキングプア』を書いて,かなり売れたらしい。著者は仏教家,名前は法名?
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博士号を取得しても大多数の人が正規の就職を得ることができない。それは、大学教育機関の仕組みそのものにゆがみがあるからである、という主張の本。日本という国の国益を考える際、技術や知識に優れる博士号取得者を量産し、彼らに適切な仕事をしてもらう、というのはとても合理的なことだと思う。しかし、量産するだけして、生活を保証するようなまともな仕事はないといういびつな構造になっていることにはっとさせられる。そのことに気づけたのは本書を読んでよかった点である。第一部は上記のような感じなのだが、第二部からちょっと語り口が変わってしまったような気がする。まるでお坊さんが説法するかのようだ。「ご縁」という言葉が多用されており、違和感があふれる。
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大学の博士課程に籍を置きながら研究所で研究生として研究(理系)してますが、博士号取り立ての若い人が任期付のポスドクなのは、当たり前だと思ってました。
大学の現状を目の当たりにしてないので、何とも言えませんが。
むしろ、研究所なんかではパーマネント制度は廃止されてる所も多い気がします。
とはいえ、更新ありだから、パーマネントとそこまで変わりないのかもしれませんが。
といいつつ、博士課程修了しても、運良く博士号とれても、アカデミックな世界に残るつもりは断じてない。
就活厳しいだろうな。
この著者の本は、絶対アカデミックな世界には残らない、という意志のモチベーション維持に非常に有効です。
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態勢が整うかもしれないもう50年後に生まれればよかったが、今これを知れたということはもっとよかったことかもしれない