紙の本
野田佳彦が、なぜ日本国の総理大臣に成れたのかが分かる本
2011/10/19 18:33
11人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書に野田総理の政治信条や政治的立ち位置、実現したい政策目標など(いわゆる野田佳彦のマニフェスト)が書いてあると思うと、完全に肩透かしを食らう。本書にはこうした具体的政治アジェンダはほとんど全く書かれていない。いうならば朝立ち演説の辻説法をまとめたもので、野田の政治にかける「熱い思い」のみが書いてある。これをもって「野田総理は中身の無い人間」「この程度の人物なんですよ、野田は」などと訳知り顔で解説する輩がいる。しかし、私は思う。こういう中身の無い本をしゃあしゃあと出したからこそ、彼は総理になれたのだと。日本では旗幟を鮮明にすることは敵を作ることと同義だ。よい例が前原誠司で、私は高坂正尭という共通の「師」をもっているせいで、前原の言うことなすこと全部腑に落ちる。理解できる。しかし、世の中には「だから前原だけは許せない」という人物が山ほど出てきた。そいつらは、あることないこと、事あるごとに前原に難癖をつけている。あげ足を取ろうとしている。その点、こうした掴みどころのない野田だと、こうはならない。ドジョウ宜しくぬるぬるとしていて掴みどころがない。しっぽを掴まれない。日本では政治の世界でも会社でも、「如何に敵を減らし、味方を増やすか」が出世する要諦である。正しいことを言う人は、日本人の間では嫌われるんである。敵を作るのである。それを寂しいというなかれ。きみの周りでも、あなたの周りでも同じことが現に起きているだろう。それを野田佳彦は痛いほど理解している。だからこうした中身の無い本を堂々と出したのだ。彼は正真正銘の政治家である。野田佳彦、なかなかの策士と見た。
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政権交代後間もない頃だったか、その少し前辺りだったかに購入した本。ずっと本棚に眠り、今更ながらやっと読んだ。当時は野田さんのことをよく知らなかったが、政権交代で具体的に何が変わるのかを知りたくて、その手がかりに勢いで買った本だったと思う。
説明が分かりやすく、とても読みやすかった。「非自民党」を貫いてきた野田さんだからこそ、自民党批判に対しては非常に説得力もある。読後、自然と民主党への期待感みたいなものが湧いてくる。でも、今更ながら読んでしまうとそれも若干拍子抜け。
政権交代で国民が民主党へと期待を託した以上、野田首相には何かそれに応えるような成果を、せめて国民を裏切ることのない政治を進めてほしい。決して「民衆の敵」にはならないように・・・。
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主張は案外正しいことを行っているように思うが,
民主党を過大評価しすぎているきらいはある.
今見ると,言うのと実際にやるのとでは雲泥の差があることが分かる本.
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自衛官の父を持ち、「反自民の保守」を一貫して標榜してきた民主党の衆議院議員(現財務大臣)の著書。自らの生い立ちや経歴を交えつつ、政治家としての意見と展望を語る。
55年体制の崩壊と共に「自民党」は消滅した、と言う。著者によると、これは与党に復帰した後の自民党は、公明党など他の政党との連立を組むなど、与党の座に執着するのに手段を選ばなくなり、何度も総裁の首を挿げ替えている点に表れている。そのため、55年体制崩壊前の自民党が持っていた「安定性」という長所が失われた。
他には国会議員を削減する代わりに、スタッフ(秘書)を充実させること、年間200兆円以上の規模を持ち、無駄遣いの宝庫とも言われる「特別会計」へのメス入れ、集団的自衛権の容認(安易に行使されないための対策を含む)などといった提案もなされている。特に真新しい内容ではありませんでしたが、気概を感じる文章だった。「中庸」という言葉を掲げている点も評価したい。
民主党議員の著書というだけあってか、「自民党の議員の中にも、『民主党の議員は優秀だ』と言う人がいる」など手前味噌という感じはした。だが民主党および野田氏の理念への賛否は別として、一つの考え方を知るという点で読んでもらいたい本だと思う。
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こちらを読了。
自分の国の首相がどんな考えを持った人なのかくらいはおおよそ知っておかないとね…と思って読んだのだけど、期待外れ。
まあ、2009年7月発行なので仕方が無いけど、内容的には、
・いかにいまの(つまり2009年当時の)自民党の賞味期限が切れているか
・いかに政権交代自体に意義があるといえるか
・いかに自分はまじめに愚直にやっているか
といった内容に終始し、肝心の、
・民主党政権になったら何をどう変え、何を目指すのか(つまり、日本をどうしたいのか?どうすべきと考えるのか?)
については、ほとんど書かれていない。
訪中の際に、中国側出席者に嫌な顔をされながらも、領土問題について日本側の立場を正論としてぶつけた体験談をあげ、「外交でも言うべきは言う」等と書いている辺りは、読んでいて実に危なっかしい。
外交というのは、「人間関係がおかしくなろうとも正論を吐く」ことなどでは決してない。(私自身過去に何度か失敗を経験していますが…)
あ、ここではあまり政治の話題を書くことは避けようと思っていたんだった…
野田さんがとても実直な人柄である感じは読んでいて伝わって来ましたが、民主党政権となった今では残念ながらこの本自体がやや賞味期限切れかな…(^^;
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代表選の演説をたまたまTVでみていたのですが、一番話がうまかったのが野田総理だと思いました。その野田さんが書いた本を見つけたので、彼が総理である間に読もうと思い購入し読みました。
確かに、書いてある内容は平易で読みやすかったです。ただし内容は政権交代前に書かれてある内容で、野党時代の意見が多く、彼はこの内容を今読み返す必要があるのではとおもってしまう内容でした。
首相公選性についての部分で、彼の意見(提言)として、与野党での申し合わせで、与党の代表が交代する時(総理が交代する時)には必ず、衆議院の解散総選挙を必ず実施すべきであると書かれてあります。。。。
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新総理「どじょう宰相」野田氏の著書。
民主党政権交代前夜の2009年6月に記されたものなので、当時の民主党の勢いがよく現れている。
野田氏がどのような政治思想でどのような志を持っているのかに興味があるので読んでみた。
以下、抜き書き。
政治家に求められる最低限の資質は、夢・矜持・人情。
<自民党はすでに消滅している>
「非自民」を貫いてもう一つの保守政党をつくることが矜持
政治家の原点は田中金脈であり、この国の金権風土を直したいということ
自民党は1998年8月9日に死んでいる
細川政権での教訓は、政権というのは簡単に投げ出してはダメだということ。
政治活動の原点は、23年間の早朝辻説法。
政治がやるべきことは、厚い中間層をもう一回作り直す事で、セーフティネットをどのように構築するか。
<公務員制度改革・議員定数改革・財政の完全透明化>
公務員制度を根本から見直さなくてはならない。
衆院300人に減らし、議員活動を支えるスタッフ機能を充実させるべき。
世襲の禁止
天下り・渡りの根絶
郵政民営化で一番の問題はネットワークサービスを壊してしまった事
社会主義的な統制経済やマーケット原理主義ではなく、重要なのはその中庸。
財政出動か財政規律かと言う前に、財政の完全透明化をしなければならない。
使い切らずに余る特別会計は廃止して、一般会計に統合すべき。
消費税は何パーセントが適切かといった議論は、日本の財政を完全情報公開したうえでの話。
官僚が予算を余らすことによって評価される仕組み、効率的に仕事をすることが評価される仕組みをつくるべき。
<外交・安全保障論>
日本の外交と安全保障の基軸は、日米同盟の維持・発展にある。
外務省をどう生かすかというより、もっと上のレベルで国家戦略的な政治主導の司令塔をつくるべき。
集団的自衛権は原則として認めるべき。
自衛隊を海外に派遣するときの恒久法を制定すべき。
<新日本創成論>
宇宙・海洋・ハブ化で立体的に発展の方向を考えると、日本はもっと魅力的な国になる。
新憲法制定論者
市町村に権限と財源を集中したあとに道州制を取り入れる。
些末なことを取り上げるマスコミ。揚げ足とりはもうやめて、多少のことには目をつぶるので、震災復興・財政再建という大きな問題に堂々と取り組んで欲しい。
不透明感、なにか隠しているのではという思いが不信感を呼び、積極的な賛成がしづらい。
事実をを真摯に説明すれば、議論はあるにせよ国民は納得するのではないか。
事実の徹底調査、国民を納得させる論理的説明、実行力に期待したい。
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民主党からの3人目の首相となった野田氏の著作。すこし今の現状に合っていないところが残念。野田氏の政策論などがわかるかなと思いましたが、自民党政権がすでに終わっていること、辻説法の自慢でページをとりすぎ。政治家の著作なんでこんなもんかな。
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野田総理の本。読むのが義務かなと思って買ってみた。民主党野党時代の本だから民主党の宣伝ばっかり。震災後、総理就任後に書かれた、国家のグランドデザインについての本をだしてほしいー!
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民主の政権になってから、安定しないままに現在(2011年9月)に
至る。
はたして、現在の自国の総理大臣はどのようなことを考える人
なのか。どんな人なのか。過去に書かれたものでもいいから、
本人が書いた文章が気になって手に取った一冊。
きれいごとばかりでも、実際に行動が伴っていなかったとしても
「何を書いていて、今何をしているのか。それらがどのような繋がりを
持つのか」の推測にはなると思っています。
文章からだけではなく、構成も加味したうえで、読むのも面白いかも。
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野田首相による民主党が与党になる前の著書。自民党が長期政権であるから、一部の既得権集団の利害ばかりを優先するシステムが政官業あらゆる分野で強固な汚れのようにこびりついている。だから、政権交代をして、今の政権のしてきたことを総ざらいし、国の資源配分を変える。というのが大きなテーマ。
民主党が与党になってもいないときの著書なので、政権さえとった今の状況と比較するとなかなか興味深い。首相になって、本来、変革したいと思っていた方向性や内容をどこまで通せるか、これからが注目。
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平易な内容にデータも含まれていて、おもしろかった。
まだ政権政党になる前の本なので、今起こっていることや、首相になってしばらくして、また読み返してみたい。
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野田総理が民主政権になる直前の2009年に書いた本。政治に対して、国防に対してなど自分の基本的な方針が書いてあり、野田総理がどういう人物かを知るには良い本だと思う。
書いてあることは自民卑下・民主賛美が過ぎるきらいはあるけれど、「中庸」をうたい至極まっとうな常識論が書いてある。もし発売当時にこの本を読んでいたら、共感して民主に投票することも考えたかもしれなかった。
しかし、民主政権の体たらくを見てしまった以上、この本の内容を手放しで信じる気にはなれない。今の野田総理にこの本を読ませて、「ねえ、今どんな気持ち?」と聞いてみたいくらいだ。
今の野田総理がこの本を書いた頃の思いを今でも胸に抱きつつ職務に励んでいるのだと信じたいものだ。
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この本をはじめて読んだ頃は、民主党の中にもまともな政治家がいるもんだと読んだけど。
首相になられてからの「国民に説明しないで勝手に対外公約等を決めてくる」「取材には応じない」といういつもの民主党な行動パターンにうんざり。
いまや「民主主義の敵」である彼にとり、この「民主の敵」という書名が皮肉といえよう。
そういう意味で、現在進行形で言動不一致のさまを見ることができる点で
はお勧めできる本。
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この本は、実家に帰る電車の読み物として買ってみましたが、数時間で読めます。野田現総理の唯一の出版物という触れ込みでしたが、もしそうならば、改めて一冊ちゃんと本を書いて頂いてもよさそうです。
主張のポイントは、「2009年時点で自民党は金属疲労を起こしているから、とりあえず政権交代してみましょう、任せてください」というもので、この国をこうしたい、ああしたいという明確なビジョンや確固とした政治信念を感じ取ることはできませんでした。
辻説法を毎朝続けていました、喋るのが上手になりましたというエピソードがありましたが、政治家になってみたいという若い人に向けてのメッセージとしては良い気がしますが、大多数の国民は、回数よりも訴えてきた中身、すなわち、具体的な政策提案の内容や目指すべき将来の姿を示すリーダーシップを望まれることでしょう。(しっかり)頑張れ、野田総理!