紙の本
読者には著者のいうことをそのまま信じず自分でかんがえてほしい
2011/08/08 23:39
14人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本のジャーナリストにありがちなことは,予断をもって取材にのぞみ,相手がなにを言ってもおかまいなしに予断に合っている部分だけを記事にしてしまうことだ. そういう態度が典型的にあらわれているのがこの本だろう. 著者は記者が記事に自分の主観をいれてよいと書いているが,「デマ野郎」 とよばれているという著者は,もしかしたらジャーナリストが 「主観」 だけでなくハナシを勝手につくってもよいとかんがえているのではないだろうか. それでいて,ツイッターやソーシャルメディアの一部の利用者が物事をきめつけるのに疲れたといっている.
記者クラブに問題があるのはたしかだし,それに対抗して著者らがつくった自由報道協会 (この本の 2 章でとりあげられている) はしかるべきやくわりをはたしているとおもう. しかし,すくなくともこの本では,マスコミ,官邸,東電,評論家など,この本でヤリダマにあげられているひとたちは,著者のいろめがねの被害者だ. 読者には,こういう著者のいうことをそのまま信じないで,自分のあたまでかんがえてもらいたいものだ.
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軽い対談形式だけど、とても重い内容。
数年、上杉隆さんの著書を拝読していたから、そんな「デマ男」には思えませんが、世間は厳しく偏っていた!
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これまでの報道は一体なんだったんだ、と思わずにいられない衝撃を受けました。今回の「大本営発表」についての記載は、これからの新聞の読み方を変えるだろう。
一方、後半は繰り返す箇所も多く、ここまでの章は要らないなと思い、星の数を減らしました。第1章、2章で二人の言いたいことはよくわかります。
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一読して、悔しくて、口惜しくて、本当に情けなくて、涙が出た。
震災後の政府、東京電力の対応や、マスメディアの姿勢に対する憤り、それについて、多くを知らず深く考えることもしなかった自分への驚き、怒り、いろいろな感情が渦巻いた。
小説以外の本を読んで、こんな気持ちになったのは久しぶり。
日本のジャーナリズムの現状、問題点を、対談形式で詳らかにした内容。
著者らの経験、見方から「日本の報道機関」を知ることができ、貴重。
インターネットも利用して情報収集すると、最近のテレビや新聞などのマスメディアによる情報は、どこまで信用していいのか、なにを信用すればいいのか分からない、と感じていたので、この本に出会えてよかった。
この本を読んで、新しい視点を得ることができた。
そもそも、「なにを信用すればいいのか」という感覚が、何か与えられた情報を鵜呑みにしたい、という、楽をしたい願望であり、怖ろしい思考停止であることに気付かされた。
目からは、涙と一緒に鱗も落ちた。
いろいろな立場で活躍している方たちに、ぜひ読んでいただきたい内容だと感じた。
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原発報道の話しから始まっているが、日本の報道そのものに対する問題点を提起している。記者クラブなど報道業界を批判する発言ばかりなので、ちょっと不平不満を綴った本という印象。だが、これは今の日本のジャーナリズムの実態を表しているのだろう。正しいことが報道されてないのであれば、日本のジャーナリストは存在意義が無い。
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今度の3・11が起きた後、我が家では、新聞やNHKの報道がどうもおかしいと思うようになった。そんなとき、妻の友人から送ってきたメールを通じて、ユーストリームや、新聞、テレビではわからない報道というものを知った。本書の著者の一人、上杉隆さんもその中で知った一人で、会見でのするどい質問を聞いて、こんな面白い人が日本のジャーナリストの中にいるのだとうれしくなった。上杉さんやもう一人の著者烏賀陽(うがや)さんは、アメリカで記者をしたり、朝日の記者、編集者等をしてきた人で、日本の記者の異常さ、それは「記者クラブ」に対する批判になるのだが、それが二人の対談を通じて明らかにされる。上杉さんは自由報道協会の暫定代表をしているが、この協会というのが記者クラブから目の敵にされ、のけものにされていたのが、今は記者クラブから近づいてくるまでの存在になったようだ。上杉さんは、ユーストリームの質問を聞いていると硬派で近寄りがたくみえるのだが、アメリカでのゴルフツアーの取材をしたり、AKBのメンバーと『週刊プレーボーイ』に出たりで、とても楽しい人である。
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ブグログのランキングとレビューを見て、読んだ。
新聞は、知りたいこと伝わってこないし、記者が追究しましたって感じがないし、テレビはどのチャンネルも同じこと言ってるいるし、なんか変やなあと思っていたけど、こんなにひどいとはと思った。記者クラブってみんな同じで安心感あるんだろうな。
新聞もテレビも広報なんだと言われたらそうだったのかという感じ。テレビは、リビングで座ってもらえるただの情報なんだから価値がない、ただにはただの理由があると言われればそれもそうだと納得した。
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今回の災害で問題視されている「報道」について,上杉さんと鳥賀陽さんが対談形式で語る本。
冗談交じりに,笑えない現実をつきつけられる。
僕らが情報を知るのは「報道」を仲介してからだから,「報道」は真実を中立的に(時にはどちらかの立場で)伝えなければいけないのだが,記者クラブ制度がそれを邪魔しているらしい。報道記者の認識にも問題があるようだが。。
最近の日本はホントにおかしい。
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恐らくこれが真実。これがデマだというならそうとうなシナリオライターだが、時系列に起こった事象を論理的に判断すればこういう結論になる。どうせ数年後にこの醜事も「検証」の名の下、まるで我が手柄のように日本の広報機関によって報じられる事になるのだろうが、時既に遅し、検証もしないし今後にも生かさない。残念だね、日本。
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大震災によって、日本社会での最大の問題が露呈したのを理解できる真実の対談。FBで烏賀陽大学に入れていただきましたが、いっそう総長にお会いしたくなりました。
この二人と比べると、今夜の席でFBでは自分の思いは明かせないと言い訳しに来た地元紙記者は、本当にジャーナリストじゃないと思います。
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3.11報道を見ながら感じていた違和感がこういうことだったのか思わされる一冊です。どのチャンネルをつけても同じ内容でしか報道していなかった。肝心の被曝についてこれではなにもわからないじゃないかと感じたヒトは数多くいたはずですし、いて欲しいものです。被曝に対する不安感が強まるなか、どの大手メディアも国民が被曝している可能性を否定できないという事実すら報道しようとしなかったのです。せめて子供やこれから妊娠する可能性のある女性を優先的に避難させる対応はとるべき行動であったのではないかとその当時考え、憤りを感じていました。3.11を通して本来あるべき、社会の監視機能(互いを健全に疑う機能)が完全に破綻していることを再認識させられた一冊です。
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日本が犯してしまった罪。放射能を海洋放出してしまったことの意味。日本が犯罪国家になるだけでなく、日本産の野菜や果物が中国産より安くなる。海産物はまったく売れない。海外で日本から食材を運んで経営してた高級店は潰れてしまう。
報道じゃなくてもはや広報だと。情報を隠蔽し嘘をつく政府。フリーライターが必死に訴えても逆にそれを悪者にしたてあげる政府、大手メディア。
「原発のウソ」以来に原発系の本を読んで再び震える。関西にいるとちょっと意識をなくすだけであっという間に震災の影響なんて気にならなくなってしまうのはほんと危険。日本が大ピンチになってることなんてなんも実感しない生活。危険すぎる。でもまだ実感しない
☆放射能汚染が外国へうえつけてしまった日本のイメージは日本人が思っているよりも深刻。
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今年の三月から六月くらいにかけて、本屋の棚は活気がなかった。読みたい本が並んでいなかった。何の本かというと、言うまでもなく原発関連の本である。
3.11から約一ヶ月、すべての国民が情報を欲していたと思う。もちろん、テレビは24時間震災と原発の番組をしていた。けれども、テレビは、そして新聞も、政府と東電の広告塔となっていたかのごとく、記者会見発表を鸚鵡返しのごとく、繰返していた。その後、後出しジャンケンのように、次々と前の発表が覆されていく。そのことを批判しながら報道した大手テレビと新聞はほとんどなかった。
だからまとまった原発の情報が欲しかった。そしてメディアの嘘を暴く本も欲しかった。
いま、本屋の棚を見ると、原発関連の本が所狭しと並んでいる。そういう状態になるのに約3-4ヶ月かかった。今までと比べると早かっただろう。しかし、ほんとうに必要な時にはなかったことを考えると、遅かったともいえる。
この本はそういう種類の本である。とくに、3.11直後のマスコミのどうしようもない病根、記者クラブ制度について、徹底的に批判した本である。
日本報道協会を立ち上げて、記者クラブを通さずに独自に記者会見を行う道を初めて作った上杉隆さんと元朝日記者の鳥賀陽弘道さんの対談形式で急遽作られた本である。
対談なので、マスコミの嘘が一つ一つ精査されて時系列的に分析されて出てきているわけではない。特に上杉さんは、当初クラブ記者から「デマ」呼ばわりされていて、相当怒りながら話しているので、ずいぶんと話が飛んでいる。それでもその怒りながら話した前半のほうが、とっても面白いという種類の本である。
新書は最近特にそうなのだが、特に今回は雑誌的な価値があると思う。けれども、この特別な時期に書かれた雑誌なので、資料的価値は高い。
彼らの発言で記憶に残したい発言要旨を以下に羅列する。
●震災当日の官房長官会見にフリーの記者は入れなかった。週一回金曜にはフリーも入れるようになっていたにも拘らず。そして入れるようになったのは、3月18日から、一週間に一回。
●工程表をだせ、と質問する記者は一人もいなかった。フリーの我々がしつこいくらいに言ってやっと出た。そして新聞は一面トップで、何の疑問もなく載せる。一面に批判はぜんぜんしていない。たぶんニューヨークタイムズだったら、「こんな工程表は実現不可能だ」と書いているはずです。
●今後20-30年間、日本の漁業は絶望的です。海洋投棄は、海は広いから放射性物質は薄まるというバカな事をメディアは言っていますが、小学生でも習う食物連鎖を知らないのでしょうか。アメリカで日本から食材を運んでいた高級店は潰れています。半導体産業も潰してしまった。半導体は放射能汚染されるとダメですから、すでに輸入停止になっている。
●原発事故が遭った直後に調べたら、朝日新聞は50キロ圏外、時事通信は60キロ圏外に逃げているのです。この原稿は原発から50キロはなれた支局から書いています、とか正直に書いてくれればいい。自分たちは安全圏にいながら、「安全です」と書き続け���のは罪ですよ。南相馬市の市役所の皆さんは激怒していました。
●大げさでなく、ほんとうに全部なんですよ。今ニュースになっている原発事故の案件、ほとんど全部フリーランスの記者たちの質問がキッカケなんですよ。二号機の格納容器の漏れ、ベントの遅れ。それからゴムが溶けたという案件、メルトダウン、炉心溶融、プルトニウム、海洋汚染、住民被爆、しかし、それはだれか政府高官や東電が積極的に発表したということにしちゃう。
●日経の記者が実際に「勝俣会長様」とちゃんとマイクを通して会見の場で呼びかけています。日本インターネット新聞社の田中龍作さんが勝俣会長のマスコミ同伴の中国旅行について追及していたんです。マスコミ側が払ったのは、たった五万円です。そのとき、うしろから日経の記者が叫ぶんです。「独りよがりの質問をしてんじゃねぇーよ!」
●今回の震災報道、日本の報道だけ見ていると、読者は「安全だなあ」としか思えない。
●「情報を出さなかったおかげでパニックにならずにすんだ」なんていう人までいる。正しい情報が出されなかったために、正しい対策がとられなかった。とられた対策が適切なものかどうかも判断できなかった。そのために被爆してしまった人がいる。そんな事実よりも、「パニックにならずにすんだ」ことを喜ぶのはおかしい。
●普通の国なら原子力災害時には最悪の事態を想定して国民の生命を守ることを第一優先にしますよ。そしてメディアのほうも東電や政府が隠そうとする情報があったら「なぜ隠すんだ」と追求するのが仕事なんですね。ところが、日本の場合は東電が嘘をつけば官邸も騙され、そしてそれをチェックする機関であるはずのテレビ・新聞も一緒になって騙される。
●ぎりぎりだった自由報道協会の設立。立ち上げたのは、2011年1月26日。オープンな記者会見の場を作ることができた。これが2ヶ月遅れていたならば、震災後、権力側から何の情報も出てこなかったかもしれない。でもホントは、政府の記者会見が解放されそうだった、後もう少しだった。
●いまはiPhoneとかアンドロイド携帯が一台あれば、簡単に生放送ができてしまう時代なので、時代が味方をしている。
●小沢一郎が自由報道協会の記者会見に出てきた段階で、記者クラブの敗北になっていた。桂敬一さんが「ネットの強さですよ。だいたい勝負あったと思います」と言った。
●記者クラブでは各社でメモを共有する。そしてそのメモがデマだったら、間違えて各社でデマを流してしまう。
→これの最たるものが、9月の厚生労働相辞任のときに起こった。
●4-5年前、朝日新聞の本社前の食堂で衝撃を受けた。労働組合のチラシに「今期マイナス1%を要求」と書いてあった。要するに労組が賃下げを要求した。1999年に会社に強硬な要求をした給与担当部長が突然組合自身によって解任されたのは、有名です。朝日は、原発がなくても電力が間に合いそうだということは言わない。その同じ論理で、今の購読料が適正料金なのか説明責任を感じていない。社員の平均年収が1300万円であることが適正なコストなのかってことも説明しない。株も公開されていないから、全く外部に説明しない。
●具体的な原発報道災害の例は、先ずメルトダウン、情報を二ヶ月隠蔽したことでそこから推測される健康被害、人的被害を食い止められなかった。格納容器損傷についても同じ。汚染水も海に漏れている。そして放射性物質の飛散、3月15日の放射線量を発表しませんでしたけど、定点観測では毎時40マイクロシーベルトという強い数値が出ている。飯館村、福島、二本松、郡山、白河、伊達、全部15日までに急激に数値が上がって、今すこしづつ下がっている。、
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日本の報道終わってるとは思ってたけたどこんなに終わっていたとは…というのが、その実情と何故そうなったのかその理由をフリージャーナリストの二人の対談形式で明らかにしています。
内容的には、日本のジャーナリズムの問題の根本は記者クラブ制度にあること、大手メディアは政府・東電など権力者の「広報」と化しており、この「報道(広報)」を通じて国民の生命や財産に危機が及ぶいわゆる「報道災害」が今もなおリアルタイムで起きていることを、今回の原発問題を通じて厳しく糾弾しています。
対談形式なので同じ話の繰り返しがやたらと多いものの、メディアリテラシーをつけ報道災害にあわないよう、日本人必読の書だと思われます。また、今後の自由報道協会の活動に期待したいと思います。
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震災以前からメディアについて、疑問は持っていたが東日本大震災における報道によって普段マスコミに対し疑問に思っていなかった人も少しずつ気がつき始めたのではないかと思う。でもまだまだ洗脳されてる人もいるけどね。