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会社に人生を預けるな~リスク・リテラシーを磨く~
著者 勝間和代 (著)
さまざまなリスクに、これまで以上にさらされている日本の現状――政治の停滞、経済の停滞、労働問題――の解決策を探れば探るほど、その最大の原因は「終身雇用制度」――ここに問題...
会社に人生を預けるな~リスク・リテラシーを磨く~
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会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く (光文社新書)
商品説明
さまざまなリスクに、これまで以上にさらされている日本の現状――政治の停滞、経済の停滞、労働問題――の解決策を探れば探るほど、その最大の原因は「終身雇用制度」――ここに問題の核心がある。このままでは、袋小路の状況が続くと考えられる日本において、個々人は、企業は、国は、何を考えなければならないのか。将来に向けた新しい意識を得るための、具体的提案の一冊。
著者紹介
勝間和代 (著)
- 略歴
- 1968年東京都生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。JPモルガン等を経て独立。経済評論家、公認会計士。著書に「お金は銀行に預けるな」など。
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紙の本
勝間本・リテラシー
2009/05/08 08:19
8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は「リスク」について「終身雇用制」という大きなキーワードを核に縷縷論じられているのだが、副題にある「リスク・リテラシー」の後ろ半分の、「リテラシー」という言葉にも「リスク」に劣らない重要な意味がある。
もともと「リテラシー」(Literacy)というのは、「読み書き能力」という意味だが、他の言葉と組み合わさって「使いこなす能力」というふうに解釈される言葉である。例えば「メディアリテラシー」などはインターネットが普及して、しばしば耳にするようになった言葉だ。
ちなみに「メディアリテラシー」とは「メディアが発信する大量の情報に対して、その真偽を見抜き、正しい情報を活用する能力」ということになろうか。ここでいう能力とは、この言葉の意味する文脈をみればわかるとおり、情報の受け手である側に求められる能力である。このことはきちんとおさえておく必要がある。
本書では「呼吸をするようにリスクを計量し、判断する習慣をつけること」(126頁)が「リスク・リテラシー」である、と勝間氏は書いている。「呼吸をするように」という修飾語がいい。それほどに重要で、自然と身につけておかなければならない能力ということだろう。
では、先の文脈にそえば、「リスク」、すなわち「なんらかの損失の可能性」にさらされている受け手は誰であろうか。例えば、「食品の安全性」についていえば、危険のある食品を口にする「リスク」は消費者側にあるし、それを提供してしまいかねない「リスク」は供給側にある。
つまり、ここでは提供者である側にも「リスク・リテラシー」が必要であることがわかる。
そして、この「リテラシー」は「勝間本」を読むにあたっても忘れてはいけない。特に若い人たちにむけて書くのだが、勝間和代氏の本が正しいかどうかは、自身がよく考えた上で判断してもらいたい。
本書で勝間氏は「終身雇用制」について否定しているが、それを丸抱えするのではなく、自身が勝間氏の提案をどう評価するかということである。(ちなみに私自身は「終身雇用制」を、「成長期」を過ぎた経済活動において、企業側で持ちこたえられない制度だと考えているが、働く側からすれば全否定できない制度だと思っている)
このように「勝間本」にも「リテラシー」が必要だし、勝間氏がさまざまな著作で書いているのは、実は「リテラシー」をどのように磨くかということでもあることを見落としてはいけないだろう。
◆この書評のこぼれ話はblog「ほん☆たす」で。
紙の本
個人向けの話題にしぼればよかってのでは?
2009/07/30 22:25
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本では個人も組織もリスクをとろうとしない. しかし,著者は,もっと積極的にリスクをとったほうが停滞をぬけだして,よりよい方向にむかうことができると主張する. そのこと自体にはまったく賛成する.
しかし,タイトルからわかるように本書はおもに個人にリスクをとることをすすめる本である. 組織のことにページをさけばさくだけ,個人としてはどうしてよいのやら,わからなくなる. 十分な情報があたえられていないので,「本書をきっかけに,[中略] ちょっとだけリスクを意識し,リスクを分析し,リスクを取ってみてください」 といわれても,とまどってしまうだろう.
紙の本
人は常にリスクの中に生きている
2023/07/01 00:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぶんてつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
リスクリテラシーを高めるために国レベルで行う勝間さんの3つの提言は以下のとおり。
1.源泉徴収・年末調整制度の見直し
2.道州制の導入
3.終身雇用制の緩和
中でも、勝間さんは、さまざまなリスクの根底にあるのが、「終身雇用制度」であると主張している。
これまで以上にリスクにさられている日本の現状、特に政治の停滞・経済の停滞・労働問題の解決策を探れば探るほど、その最大の原因は「終身雇用制度」に問題の核心があるとする。
どうしてかという部分は、この本の中心をなしているので各自で読んでいただきたいと思う。
私は、この勝間さんの主張には勝間さんの経歴への嫉妬から来る反発が強烈な批判を形成してしまっているように感じてきたが、問題は実は別のところにあったようだ。
世間では非正規社員の雇用問題をどうするか、どうしたら貧困から抜け出せるか、ということが話題になっているのである。
勝間さんの『無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法』が売れたのも、年収を10倍にするためというよりは、いかにすればリストラされない優秀な社員になれるのかという涙ぐましい努力の1つの指針であったはずなのだ。
確かに『金持ち父さん』シリーズでもサラリーマンのままでは金持ちにはなれないので、起業することが薦められている。
勝間さん自身も起業して雇われない生き方を選択できているので「終身雇用制度」に諸問題の原因があると考えているのだろうが、事実そうだとしても、サラリーマンにとっての最大のリスクはやはり目先のリストラなのだ。
社会が良くなる前に自身の生活が改善しなければやっていけないというサラリーマンは多いはずだ。
ましてや能力の高くない人間にとって終身雇用制の緩和は明らかに劇薬だ。
しかも、リストラは能力の高低とは関係なく、誰にでも訪れる可能性のあるものである。
新自由主義・市場原理主義の下では、効率が優先され、利益の最大化が図られ、人材は固定費であり、常に削減しなければならないものなのだ。
リスクから逃げたつもりが、実はリスクを取らされていたというようなことがないように、常に注意が必要なのだ。
勝間さんはエピローグで次のように書いている。
『「リスクは一生の友」、そして「リスクはチャンス」』だと。
その考えが新自由主義の資本の側から刷り込まれたものでないことを祈るばかりである。