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日曜日の万年筆
著者 池波正太郎 (著)
池波正太郎のエッセイには――男の本音がある、人生がある、生きる楽しみを享受する男のリズムがある。作家への道を拓いた幼き日の観劇の一日、手と躰で物を造る感覚を養った旋盤工時...
日曜日の万年筆
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日曜日の万年筆 改版 (新潮文庫)
商品説明
池波正太郎のエッセイには――男の本音がある、人生がある、生きる楽しみを享受する男のリズムがある。作家への道を拓いた幼き日の観劇の一日、手と躰で物を造る感覚を養った旋盤工時代、行きづまった小説の結末を見いだしてくれた飼い猫ネネの話、映画のこと、衣食住について、現代人の見失ったもの、仕事の裏ばなしなど……。手練の切れ味を見せる“とっておきの51話”。
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紙の本
幼少期、戦時中、劇作家時代、小説家時代など、池波氏の思い出や経験がたくさん語られている51のエッセイ
2010/01/04 19:32
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説がいくら面白くても、エッセイとなると途端につまらなくなってしまうものが時々あるが、本書は池波氏の作品と変わらず面白く興味深い。
収録されているエッセイは小説同様、語られている状況が目に浮かんでくるので、とても読みやすい。
一通り通して読むと、すべての時代に体験したことが、池波氏の血肉となって、小説に影響を与えていることが分かる。
そして劇作家時代に、舞台装置の図面を自ら考え、舞台の上で演じる役者の動きを想像しながら書いた脚本、そしてその脚本によって演じられた舞台を生で見ることができたからこそ、池波氏の小説は映像的に感じられるのではないかと思った。
『私の仕事 (上)(下)』
旋盤工時代、図面から製品を作るのにとても苦労したが、あるときパッと図面が読めるようになった、小説でもこれと同じような感覚があるといい、その体験が小説を書く仕事に引き継がれていると語っている。
『私の一日』
「あくまでも初心で映画を観ているのだ。それでないと私の場合、映画が自分の血肉になってくれないような気がする」と語り、
『野球』でも、「小林投手(元阪神)とラジオ解説者の言葉をいろいろと考え、その考える事によって得られた一連の想念が、自分の潜在意識となって躰の奥深くに仕舞いこまれ、いつの日か別の形となって小説の中にあらわれてくるにちがいない」と語っており、体験や感じたこと思ったことが、池波氏の作品づくりに欠かせない材料になっていることがうかがえる。
『猫』
小説で五、六日も壁を突き破れなかったものが、猫のふとした仕草により、壁に穴が開いた瞬間が描かれており、壁に苦しみ飼っている猫に壁を突き抜けるヒントを見いだした池波氏に、人間くささと親近感を覚えた。
ところでエッセイの所々に、昔の日本の状況を語っている部分が出てくる。
これらを読むと敗戦後の貧しいなか、急速に復興したパワーの一端が感じられる。
これらは今の苦しい状況を乗り越えるヒントが隠されているように思うと同時に、今日の状況では、敗戦後の復興のようなパワーは生まれないのではないかという不安も湧き起こる。
他にも読みごたえがあり、ためになる部分がたくさんあった。
これらについて感想を書くと、かなり長くなってしまいそうなので、特に印象に残っている部分のみにした。
紙の本
昭和の粋
2020/02/28 19:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
野暮な田舎者なので、粋ということに大変憧れがあります。食べ物から映画、着るもの、振る舞いにいたるまで昭和の男性の粋を感じました。
紙の本
『日曜日の万年筆』感想
2019/03/09 21:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:扇町みつる - この投稿者のレビュー一覧を見る
池波正太郎は小説の他に数多くのエッセイも書いていますが、その中から食に関するエッセイを集めたのが本書です。「食の歳時記」と称して1月から12月までの各月の美味しいものや、東京の下町で過ごした子供時代のエピソード、はたまた小説における食事シーンについてなどが書かれています。
本書に登場する食べ物は、活字にも関わらず本当においしそうで、一編一編が短いので、夜のリラックスタイムに読むことが多いのですが、お腹がすいてしまうこともしばしば。
料理屋で食べるのもそうですが、自身で料理して食べることもあり、食へのこだわりが強く感じられました。
>人間は、生まれると同時に、確実に[死]へ向かって歩みはじめる。その[死]への道程をつつがなく歩みきるために、動物は食べねばならぬ。
これほどの矛盾があるだろうか。
戦前には旬のものを食べ、戦中戦後は食べることが困難だった時代を経たからこそ、言い切れるのだと思いました。