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ウイスキーは日本の酒である(新潮新書)
著者 輿水精一 (著)
近年、国際的な酒類コンペの賞を総なめしているジャパニーズウイスキー。躍進の裏には、秀逸な日本人の“ものづくり精神”があった――。一時期の人気低迷にもかかわらず、研究開発を...
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ウイスキーは日本の酒である (新潮新書)
商品説明
近年、国際的な酒類コンペの賞を総なめしているジャパニーズウイスキー。躍進の裏には、秀逸な日本人の“ものづくり精神”があった――。一時期の人気低迷にもかかわらず、研究開発を重ね、ついに日本のウイスキーは、世界に類を見ない個性をもつ酒へと進化したのだ。知れば知るほど魅力的なその奥深き世界、ブレンドという魔術、バーで使える薀蓄等、「世界一のブレンダー」が自ら伝授する、“ウイスキーを10倍愉しむ方法”。
著者紹介
輿水精一 (著)
- 略歴
- 1949年生まれ。山梨大学工学部発酵生産学科卒業。サントリー山崎蒸留所勤務。チーフブレンダー。2011年、手がけた「響21年」が「世界最高のブランド」に選ばれる。
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紙の本
世界が認めたジャパニーズ・ウイスキー
2011/12/10 04:21
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆうどう - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本は、世界的にも立派なウイスキーの一大産地である。しかも、世界の五大ウイスキーの一つに数えられる。ちなみに他の4つは、言わずと知れた本場スコットランド、そしてアイルランド、アメリカ、カナダである。これらに次いで5番目に日本が加わるところが味噌だ。もしかすると、それ以前は「四大ウイスキー」と呼ばれていたのかもしれない……。
しかし、消費量ではインドが世界一で、それなりの生産量もあるらしいのだが、インドを差し置いて日本が「五大」の一角を占めているのは、それなりに世界的な評価を得ているからだ。2010年には、世界的な酒類コンペティションである「第十五回インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」において、「山崎1984」が「シュプリーム・チャンピオン・スピリット」を受賞したという。これは、ウイスキー部門のみならず、同コンペティションにエントリーした全部門、約1000点の頂点に立ったことを意味する。文字通り、世界一の蒸留酒(スピリッツ)という評価を得たということだ。しかもこれは単なるフロックではなく、2003年に「山崎12年」がISCの金賞を受賞して以来、毎年のように日本のウイスキーが最高賞トロフィーや金賞に輝いてきた成果の結晶なのである。さらにはこの年、サントリー酒類株式会社が「ディスティラー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれ、ダブル受賞となった。
本書では、そのサントリーのチーフブレンダーが、ウイスキーに関する薀蓄と、日本のウイスキー作りの特徴を余すところなく語ってくれる。
1983年をピークに、サントリーのウイスキーの売上げは下降線をたどる。著者が研究所や蒸留所の品質管理部門、貯蔵部門で過ごした後、ブレンダー室に異動になったのは1991年であるという。すでに40歳を過ぎていた。ここがサントリーという会社のすごいところだ。日本酒ブームや焼酎ブームや押されてウイスキーの人気が落ちていく中、負けずにさらに良いウイスキーを作るべく、布石を敷いているのである。それが、樽と熟成の研究に従事し、いくつもの現場を経験した輿水のブレンダーへの抜擢だったのである。
ブレンダーは、当時社内に5人しかいない、要の仕事である。それまでのメンバーは、ブレンダー一筋という職人たちであった。ここに、現場と一体となったウイスキー作りを推進するため、輿水が送り込まれたのである。将来、ウイスキーの捲土重来を期した会社の戦略だったのだと思う。そして、こうした諦めない物作りの姿勢が、前述したような世界的な評価につながっていくのである。
本書を読んで、焼酎党の私も、バーに行きたくなった。その思いが嵩じ、ジャックダニエルのストレートを舐めながら本文を書いている。残念ながら我が家にはサントリー・ウイスキーがなかったのである。なんせ、焼酎党なので……。