- カテゴリ:一般
- 販売開始日: 2011/10/01
- 出版社: 講談社
- ISBN:978-4-06-372575-9
電子書籍
へうげもの TEA FOR UNIVERSE,TEA FOR LIFE. Hyouge Mono(4)
著者 山田芳裕 (著)
信長から秀吉へチェンジ・ザ・ワールド。主役の名前も左介改め織部だ!! 茶の湯と物欲に魂を奪われた戦国武将・古田左介。天才・信長から壮大な世界性を、茶聖・千宗易(利休)から...
へうげもの TEA FOR UNIVERSE,TEA FOR LIFE. Hyouge Mono(4)
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へうげもの 4服 TEA FOR UNIVERSE,TEA FOR LIFE (モーニングKC)
商品説明
信長から秀吉へチェンジ・ザ・ワールド。主役の名前も左介改め織部だ!! 茶の湯と物欲に魂を奪われた戦国武将・古田左介。天才・信長から壮大な世界性を、茶聖・千宗易(利休)から深遠な精神性を学び、「へうげもの」への道をひた走る。信長、光秀、秀吉、天下人の座は移りゆく。左介の運命もまた激動のときを迎えた。生か死か、武か数奇か、それがますます問題だ!!
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紙の本
火星からの土蜘蛛:遅延回路としての数寄
2008/06/12 19:15
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Living Yellow - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ヤングサンデー』(小学館)の休刊が決まった。感慨深いものがある。当誌を読んでいて、ストーリーマンガで一番印象に残っていたのは『Bバージン』(山田怜司先生)、『ムジナ』(相原コージ先生)、そして「おぎゃあ」の山田芳裕先生の手になる『デカスロン』だ。
しかし、これらの先生方、メジャー・デビューは、『週刊モーニング』(講談社)<『17番街の情景』山田怜司先生>、<『大正野郎』山田芳裕先生>、『週刊アクション』(双葉社)<『文化人類ぎゃぐ』相原コージ先生>などを舞台にしている。青年マンガに限って言えば、小学館はゼロからの新人発掘力においては少し劣っていたように思われる。しかし、休刊はただただ残念である。
本作の主人公、古田織部について、「織部焼」の立役者、大茶人にして武者という以上の知識は私にはない。
数寄の道に古田織部と本作品で、袖すりあう人々、はそうそうたるものだ。信長、秀吉、家康を筆頭に、千利休、滝川長益、そして明智光秀。それぞれの武人、茶人が、物理的、心理的な抗争を繰り広げる。
その中で共通言語として、ある時は、降伏を勧める道具として、あるときは間接的な、しかし決定的な意思表示のシンボルとして、「土蜘蛛の茶釜」をはじめとする、茶器の数々が、古田織部の前に現れ、そして消え失せたり、隠れたり。
そのたびに、古田氏の口からは異音ともつかない、「はにゃあ」などの、あの擬音語が飛び出す。この擬音がまず楽しい。
数十石の貧乏侍、古田氏は、その数寄者としての止みがたい情熱とともに、不思議な因縁にまとわりつかれ、下克上の世の中をずんずん、もちろん命がけの戦場を経巡りつつ、「出世」していく。
そのような「成功」物語としても、本作は十二分に楽しめること、請け合いである。多分に故山田風太郎先生の『妖説太閤記』との共通点が感じられる切り口で、あの歴史に迫っていく。
しかし、本作においては、「モノ」にこだわり「人の目」を徹底的に気にする、まさに「玩物喪志」を絵に描いたような、この男と、この男が接する名品の数々が実は、周囲の英傑たちを動かしているように思えるのだ。そして、共通言語としての数寄=美が、数々の局面で、コミュニケーションの断絶を寸前で食い止め、血まみれの武人たちをかろうじて人間の領域に踏みとどまらせる。たとえそれが、辞世を詠む、数分間であれ。末期の二言、三言であれ。
数寄=美は流血を防ぐのには、決定的に無力ではある。しかし、流血の中で、武人の内面に、反射神経のみが支配する世界から、もっと「はにゃあ」とした、「別の、美しい世界のありかた」を夢見させる遅延回路として、数寄は機能していたのではなかろうか。数寄=美は、そんな時間を稼ぐ遅延回路としての役割を果たすのでは、と本作を久々に読んで考えさせられた。
本巻で、いよいよ。古田織部は古田織部の名を得て、織部焼のプロデューサーとして、活動を開始する。
「モノは壊れる。ヒトは死ぬ。」(ムーンライダーズ、アルバム『The Best of Luck !』より)
取り扱いに注意すれば。残る。