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宇宙に外側はあるか
著者 松原隆彦 (著)
21世紀の現代、人類は観測技術の発達などによって宇宙を見る目が大きく開かれつつある。いま、宇宙の何がわかっていて、何がわかっていないのか? 宇宙の全体像とは? 宇宙の「外...
宇宙に外側はあるか
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宇宙に外側はあるか (光文社新書)
商品説明
21世紀の現代、人類は観測技術の発達などによって宇宙を見る目が大きく開かれつつある。いま、宇宙の何がわかっていて、何がわかっていないのか? 宇宙の全体像とは? 宇宙の「外側」とは? 「奇妙な謎」に包まれた人宇宙を人類はどこまで知ることができるのか? 気鋭の研究者が、誰もが一度は考えたことがある「究極の問い」に真正面から迫る、宇宙論のフロンティアへと旅立つ一冊。
著者紹介
松原隆彦 (著)
- 略歴
- 1966年長野県生まれ。広島大学大学院理学研究科博士課程修了。博士(理学)。名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構准教授。著書に「現代宇宙論」など。
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紙の本
知っている事と知らない事
2012/10/20 22:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Tucker - この投稿者のレビュー一覧を見る
研究を進めれば進めるほど新たな謎が出てくるのが学問の世界。
が、宇宙論の分野では、新たな謎が出てくると同時にSF(本来の意味でのSF)とみまごうばかりの理論が展開される。
その最たるものが
「宇宙は一つではないのでは?」
というもの。
量子論の観測問題。
ビックバンの後のインフレーションが人間にとって、あまりに都合よく止まったこと。
物理の様々な定数が人間が存在しうるように調整されたと思えるほど、あまりに絶妙な値であること。
これらを考えると、他にも「宇宙」があるのでは、という考えもよぎるが、今の段階でそれを証明する方法はない。
本書は、これらの事やその前提となる事について、平易に解説している。
宇宙に存在するはずのエネルギー量のうち、人間に見えているのは、そのうち4%だという。
観測可能な物質だけでは、この宇宙の形を説明するために必要なエネルギーが圧倒的に足りない。
が、宇宙は、こうして存在する。
今の物理の理論がどこかで致命的に間違っているか、観測できていない「何か」が存在するのか。
理論が間違っている、とするにはあまりに観測結果に適合する。
「何か」の候補として「ダークマター(暗黒物質)」が挙げられるが、これも全体の23%しかない。
残りの73%は?
この「何か」は「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」と呼ばれるが、その正体は皆目見当もつかない。
観測機器は、天文学が生まれた頃より格段に進歩しているが、その結果、分かったのは絶望的なまでに何も分かっていない、ということだった。
本書のプロローグで、孔子の次の言葉が紹介されている。
「知っている事を知っているとし、知らない事は知らないとする。
その区別を明確にできることが本当に知るという事である」
その通り、とは思うが、一方で
「知らない事の重さに耐えられるのか?」
という気もしてしまう。