紙の本
書き下ろしの中編。びしい面も現れてきている
2011/06/04 21:17
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国には体系的な神話がない、個々の民族に固有の神話が断片的にあるだけである。といったような説を白川静が述べていたような気がする。この物語の裏にある黄帝と炎帝との闘争の神話も、漢族と苗族との古代における抗争を象徴しているのであろうか。
これまでのこの僕僕先生のシリーズは、文芸雑誌に書いた短編をまとめたものであったが、今回は書き下ろしの中編である。春風駘蕩といった多雰囲気は残っているものの、現代中国の民族間抗争にもつながるきびしい面も現れてきている。
苗族の民俗なども巧みに織り込んであるようだ。僕僕先生の正体を示唆する記述もある。表面的にはファンタジーであるにしても、その背景を描くための学習と調査はなかなか厄介であろう。本来、著者が書きたかったものが徐々に表れてきたのであろうか。
苗族の集落における、旱魃の神との関わりをめぐる話である。古代の神々の抗争において強力な力を発揮し味方を勝利に導いたにもかかわらず、勝ち戦の後にはその力を疎んじられ、忌避され、僻地に封じられた女神が、その封印の破れにより苗族の国に旱魃をもたらす。それに対応しようとする二つの苗族の国とその男女と古代の神々のなれのはてと前作までのいつもの一行。それらがどのように絡み合い行動し、どのような結末になるのか。お楽しみ。
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蚕嬢の故郷へ。旱の原因となってる女神は、力の大きさ故に多くの人の怖がられてて、でも王弁からすると寂しく見えて。憐憫から動く彼の考えを浅いと言えるかどうかはわからないけれど、ヘタれてても勇敢で、約束を違えずに立ち向かう姿がとても良かった。仙人じゃないからこそできたことだよなあ。神様たちもすごいけど、人もすごいよ。いや、でも、まあ、ちょー朴念仁ですけどね。僕僕先生もちょっぴり嫉妬してるみたいですが、いつか本当の姿を見せられるといいですね。
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助けなきゃ! たとえ誰も振り向かなくても。あの子が最凶の神だとしても――。
苗族の国を襲う謎の旱魃。どうやら原因は、峰で出会ったちょっと変わり者の女神らしい。彼女のさびしさを癒せれば、この災いも解決する? なぜか引き止める僕僕先生を振り切って、解決策を探る王弁くん。彼が見るのは神仙が争う太古の幻、そして……。シリーズ第四弾は時空を超えるメガ・スケール、さらに感動度アップの最高傑作!
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蚕嬢はあの身勝手さも含め、本当に普通の子だなあと。
茶風森が健気すぎる。
魃は本当にさびしくて哀しい女神。
本人が望んだわけではない絶対的な「負」の力を持て余し、
誰かと触れ合うことも出来ない。
王弁くんは甘っちょろいのかもしれないけど、
誰にも出来なかったことをしたんだ。
「交われないものは必ずあるのだ。
交えようとすればムリが生じ、不幸が生まれるのだ」
先生のこの台詞は魃と王弁、魃と先生、魃と世界だけじゃなく
先生と王弁との関係も指しているんだろな。
やっぱちょっぴり魃に先生嫉妬してたと思ってる。
しかし王弁くんの○○発覚にはびっくり…一途過ぎる!
先生の雷神疑惑が出て、先生の素性が気になってきた!
仙骨を手に入れた王弁のこれからも気になる。
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2010.05.24 読了
いつものように短編集かと思って読んでたらいつまでも区切りないので今回は長編なんだと半分まで読んでやっと気づきました。
まあおもしろかったので何でもいいです。
劉欣いっぱい出てきて嬉しかった!
王弁もかなりの活躍ぶりで好きになったよ。
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僕僕先生も既に第4弾。仙人の僕僕先生と仙骨のない王弁の旅は続くのであった。王弁は時空を超えて古の神仙を探す。なんせ、「神仙にも旬というもの」があるらしい。さてはて、王弁の出会った女神は何故にさびしいのか。また、王弁が辿り着くものとは何か。
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やっぱこの人はこれだよねぇ。終盤、あまりの切なさに泣きそうになりました。ファンタジーのシリーズものといえば「しゃばけ」を思い出しますが、ややマンネリ気味のあちらとは違っていつも新鮮に感じるのは著者の力量の差なのでしょうか。
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魃、彼女には、タイトルはさびしい女神だが哀しいが一番似合うだろうか。
僕僕の過去の一部等がが判明したりと今まででもっとも面白かった。
私が一気に読みあげたのがそれを証明しているように思う。
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面白くてあっという間に読み終わっちゃった。いつもとは違う長編の物語。あんまり僕僕先生は活躍しないけど、王弁ががんばってるね~。劉欣も人間らしくなってきてるし。毎度ながらこの先どうなっていくのか、本当に楽しみな作品。
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僕僕先生シリーズの4。天地創造の戦いにテーマを選んだのは良かったが,壮大すぎて~蚕嬢の故地・峰麓苗を訪れた一行は旱に襲われていて,その原因が巫女に選ばれた碧水晶が逃げ出して結界を破っからであるらしいが,故に芋虫に姿を変えられてもいた。王弁は頂上でさびしげな姿の女神に会い,その名が魃だとしり,古の戦いで功績を残したのにも拘わらず,この地に封じられたものの,力を抑えきれていないと云う。安住の地を求めて吉良と西方の古の神の星に燭陰を訪ねるが,戦友の耕父を訪ねる方が良いと助言され,それを頼りに耕夫の古の戦いの記憶を覗き見る。人を率いる黄帝と異形の者を率いる炎帝の戦いは,炎帝の圧勝かと誰もが予測していたが,黄帝の怒りを体現した娘神である魃のあらゆるものから水分を奪う魃の力の前に大逆転が演じられ,負けを知った炎帝は魃の前に進み出て,その身を四散させたのであったが,一番の功であった魃は三角錐の山に黄帝の宰相により封じられたのであった。その宰相こそが僕僕であり,再び力を封じるため,帝江こと黄帝を担ぎ出してきた。王弁は仙骨の欠片を手に入れて喜ぶが,魃が封じられたのが悲しい~難しすぎるテーマではないだろうか。苗族が何か解らない。炎帝に黄帝? 雨をもたらす耕父はなんとなく解るけど,竜のような燭陰は解らない。ましてや甲虫の官吏とは何。旱魃は恐ろしい災厄だろうが,苗族がそこに留まる理由はあるのか? そもそも僕僕先生の出自はどこだろう。蚕に姿を変えた翠水晶は元に戻らず旅を続けるだろうが,ふくろうに姿を変えた茶風森が供に加わる特技はあるのか。引飛虎は何もなさそうだから,話に出てくるだけで,登場の場面はありそうもない。ぼちぼち話を纏めて貰いたいのだが,人気シリーズだから,そう簡単に終われないでしょう。それは理解できるけど,ちょっと冗長になっています
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読む前に前編を復習しておけば、ことの経緯を思い出すのに苦労しずに済んだだろうなあ、とプチ後悔。
壮大なスケールの設定の中でも、間延びせず個性と魅力を持った登場人物たちが素敵です。
僕僕先生よりも王弁くんの頑張りがメインな気もしましたが、やっぱり先生が登場すると安心感がありますね。過去も垣間見えたようなので、次にも期待です。
魃というキャラクターの両面を見せてくれたおかげで、より最後の場面で切なさが増しました。王弁くんの鈍感さにはデコピンのひとつでもくらわせてやりたくなります。だから生贄に捧げられそうになるんだ。
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魃との最後のやり取りは切ないものがあるけれど、王弁には鈍いにもほどがあるだと突っ込みたい。僕僕の過去がちらりと垣間見え、これから先も期待できそうな感じ。
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僕僕先生4作目(あいかわらず1作目は未読。。。)。
今回は、3作目からの続きで、
旱の女神「魃」にまつわる物語。
かなり早い段階で先生がいったんフェードアウトしちゃったので、
僕僕先生好きの私としては寂しかったのですが、
王弁くんがそのぶん頑張ってたのでまぁいいか。
それにしても、人間であろうと古の神様であろうと
己の利益を優先させた者の身勝手さは目に余る。
世間に「悪」として流布しているものの中には、
最初から自らの意思で「悪」として存在しているものの他に、
周囲の身勝手さによって引きずりだされたものもあるのだわ。
その中で、王弁くんの存在はまさにオアシス。
にぶちんでいいよ。にぶちんだから王弁くんなんだよ。
そのままの王弁くんで、
これからの僕僕先生を受けとめてあげてくださいな。
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大好きな僕僕先生シリーズ。
しかし、萌え仙人、僕僕先生の出番が少な過ぎる!
僕僕先生が、王弁を邪険に扱うところが好きなのに。
それと、図書館にあるからと手に取ったら
シリーズ一冊飛ばしてたらしく、新しい登場人物が加わってた。
それと、薄妃が元気なくなってるし。
自分が最善と思う方法を選ぶけれど、
それが本当に最善とは限らない。
僕僕先生は、王弁を未熟だとばかにするけれど
そういう王弁だから好きなんだと思う。
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珍しく1冊まるまる1エピソード。
醜いはずの魃が魅力的に感じる。
クライマックスでは、先生にチョイと嫉妬が入ってる気がw
先生の過去チラ見せアリ。今回は積読にしてたのを後悔。