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鬼平犯科帳(六)
著者 池波正太郎
「つくづくとばかばかしく思うのだよ」なれど「このお役目が、おれの性にぴたりとはまっている」のである。清廉な心意気だけで悪行を取り締まることなどできない。俗を知り、人の本性...
鬼平犯科帳(六)
鬼平犯科帳 新装版 6 (文春文庫)
商品説明
「つくづくとばかばかしく思うのだよ」なれど「このお役目が、おれの性にぴたりとはまっている」のである。清廉な心意気だけで悪行を取り締まることなどできない。俗を知り、人の本性を見据え、火盗改方の長官・長谷川平蔵は疲れをものともせず、また出動する。シリーズ中読者からの人気が高い、粋狂な鬼の平蔵の一面を描いた「大川の隠居」ほか「礼金二百両」「猫じゃらしの女」「剣客」「狐火」「盗賊人相書」「のっそり医者」の七篇収録。
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紙の本
だから平蔵は火盗改方をやめられない
2005/04/16 14:28
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
『鬼平』第6巻に収録されている話はどれも、これまでとやや趣を異にして、やや内輪話めいたものばかりであった。それは冒頭の「礼金二百両」にも表れている。話の始め辺りで平蔵が自らの仕事について、過去の仕事と比べて話をするところがある。そこで平蔵は言う。
「それにくらべると、いまおれがしていることは、日に日に新しい。いろいろな人間たちの、いろいろな心とふれあい、憎みながらあわれみ、あわれみつつ闘わねばならぬ。四十をこえて長谷川平蔵、人の世がまことにおもしろくなってきて、な・・・・・・」
好きとか嫌いとかでなく、火付盗賊改方という仕事にどっぷりとはまりこんでしまった、しかしなお人の世がおもしろくなってきた、ということを妻に吐露しているのだ。『鬼平』のおもしろさは、いくつも数えあがることができるのだろうけれども、何よりも鬼平がこのように感じながら活躍しているところが、一番趣きつけられるところなのではないだろうか。
先にも述べたように、この第6巻は内輪話というか、馴染みの登場人物たちの隠れた話が多く出てくる1冊である。その中でもとりわけ、「狐火」は読み応えある話であった。
実は、どれも捨てがたい話ばかりなのだけれども。