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電子書籍
時価会計不況(新潮新書)
著者 田中弘 (著)
グローバル・スタンダードにあわせるということを錦の御旗に、導入された「時価会計」。益出しや損失隠しができなくなり、企業の「真の実力」がわかるようになると期待されたが、本当...
時価会計不況(新潮新書)
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時価会計不況 (新潮新書)
商品説明
グローバル・スタンダードにあわせるということを錦の御旗に、導入された「時価会計」。益出しや損失隠しができなくなり、企業の「真の実力」がわかるようになると期待されたが、本当は、いくつもの企業を破滅に追い込むだけでなく、日本経済を滅ぼしかねない「時限爆弾」だった。本書では、株安、デフレ、失業率増加……、現今の不況の元凶である「時価会計」の正体を一つ一つわかりやすく暴いていく。
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紙の本
この分野では珍しいトンデモ
2009/08/19 22:59
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:それ行け!!残飯マン - この投稿者のレビュー一覧を見る
有価証券評価益が未実現である事について、
やはり著者の言い分は私には納得できません。
理論上企業のファンダメンタルに株価は収束するはずです。
ですから売り注文が吹き荒れたとしても企業の実質価値以下の値段で長期に渡って株価が売買される事はないはずです。また短期的に売りの殺到し株価が大幅な値下げをする場合評価益計上の妥当性について事前の見通しに無理や恣意性があったということでしょう。時価評価をなした弊害ではなくやはりこれは経営者不正の部類であり内部と外部の監査で対処すべきです。短期に、それほどの売りで暴落するほどの株はそもそも評価益なんて計上できないはずでしょう。発行元の会社からおかしな話が膾炙しているはずですから。
田中先生の意見には、企業を内外の悪意や不利な状況を会計での処理と表示で何とかしようという発想が感じられました。会計に政策を持ち込んでいます。会計はそういう意図が存在するのか否か環境にどう対処しているかの指標です。たまさか不正に手出しできないよう経営者を縛ったり助けたりする道具になったとしてもそれは結果論でそうなれば良いのであって果たさなければいけない一義的な命題ではないはずです。スピードメーターを究極的にまで改造したとして果たして危険運転がこの世からなくなるのでしょうか。指標としての働きを追求している真っ最中に更に危機の芽を摘む実質的な効果まで織り込むのは事態を複雑化させる一方でしょう。スピードメーターがある危険水域に達すると猛烈に発光でもしてドライバーの視力を奪い取る、計測器であると同時に危険を抑止する装置でもある、田中先生は会計をそういう風にとらえているのが印象的でした。抑止は自動ブレーキであったり駆動系に施せばいいでしょう。それは会社の監査部門や証取委のモニタリングにあたります。監視のためには会計に政策を持ち込むよりも良き指標としての側面を徹底する方が役割分担できて実効性あります。
なぜか連結会計についての論考もありますが
まったく読むに値しません。まじめに弊害と利益を考量しているような誠実さは感じられませんでした。
紙の本
『みぞの鏡』
2003/06/04 00:28
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハリー・ポッターが大好きな人なら『みぞの鏡』がどんな鏡なのか、よく知っているだろう。シリーズの第一巻「ハリー・ポッターと賢者の石」に出てくる魔法の鏡で、ハリーはそこに映し出された両親の姿にすっかり魅入らされてしまう。つまり、この鏡は心の奥底にある一番強い望みを見せる鏡で、家族を知らないハリーが知らぬ間に虜になってしまうのも無理はない。そんなハリーに向かって、ダンブルドア校長は優しく、こう戒める。「この鏡は知識や真実を示してくれるものではない。…夢に耽ったり、生きることを忘れてしまうのはよくない。それをよく覚えておきなさい」。(「ハリー・ポッターと賢者の石」・311頁)
「原価会計の研究者であり、その支持者」である田中弘氏が書いた「時価会計不況」の中に、この『みぞの鏡』と同じような話が出てくる(こういった会計の本の中にハリー・ポッターのような児童書との共通点を見つけ出すのも、読書の愉しみのひとつである)。それは、会計の役割・会計情報の意義を鏡に喩えて説明している箇所(141頁)で、田中氏は会計の役割を自社の状態を映す「(正直な)鏡としての会計」とその状態を正しく伝える「メディアとしての会計」と書いている。そして、時価会計は「売りもしない株を売ったことにして含み益を計上する」といったように、「願望」を映す鏡だという。まさに『みぞの鏡』だ。グローバル・スタンダードという魔法の呪文で、私たちは普通の鏡と信じ込んでいるが、実は時価会計は私たちに実現しない夢を見させる鏡のようなものだと、田中氏は説明しているのだ。
さらに田中氏は「時価会計をやめること」(176頁)とはっきり書いている。「経済や企業を崩壊させておいて、会計基準だけ守っても、何の意味もありません」ともいう。でも、時価会計が導入された時は、どうもこのような過激な? 発言は聞かなかったように思う。どうして今更、という気はしないでもないが、わずか189頁の新書本ながら、この本は重要な問題提起がなされた一冊だといえる。
「ハリー・ポッターと賢者の石」では、ダンブルドア校長は『みぞの鏡』についてこうもいう。「この世で一番幸せな人には、この鏡は普通の鏡になる」。もし、時価会計がその会社のそのままの姿を映すとすれば、そこに映るのは「この世で一番幸せな」会社なのかもしれない。
紙の本
買ってもよい
2003/08/07 01:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:評判の本の評判 - この投稿者のレビュー一覧を見る
◆会計学者である著者が、デフレ不況を克服するために、時価会計基準を凍結・撤回すべきであると説く本。
◆グローバル・スタンダードであることを理由に導入される会計制度改革に、いまいち納得できない方や、逆に、会計ビッグバンの有効性を素直に信じておられる方にお薦め。
◆時価会計を実施すれば、含み益を顕在化させ、企業の実力が公開される筈であった。ところが、時価会計は、逆に企業の含み損も顕在化させてしまう。現在のデフレ局面では、株価の下落による時価評価損の拡大に耐えられなくなった企業が保有株を売却することによって、株価がさらに下落し、時価評価損を拡大してしまうという悪循環に陥ってしまうという指摘である。
◆また、含み損の顕在化によって窮地に陥る経営者が、時価評価方法の抜け穴を利用して含み損を「隠し損」に粉飾することも可能であり、かえって企業の真の実力がわからなくなるとも主張している。
◆有価証券の時価評価そのものが実はその資産価値の実態を表していないということや、国際会計基準第39号など、どこの国も使わないことを想定して作られたもので、これをまともに国内基準にしてしまった日本が特殊なのだということなど、なかなか面白い。
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