サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

新規会員70%OFFクーポン

アプリで立ち読み

hontoアプリの確認

立ち読みには最新の「honto」アプリ(無料)が必要です。

バージョンの確認はアプリの「設定/情報」から確認できます。

最新の「honto」アプリをご利用の方

立ち読みする

最新の「honto」アプリをダウンロードされる方

hontoビューアアプリ

  • みんなの評価 5つ星のうち 4 41件
  • あなたの評価 評価して"My本棚"に追加 評価ありがとうございます。×
  • カテゴリ:一般
  • 販売開始日: 2012/09/14
  • 出版社: PHP研究所
  • レーベル: PHP新書
  • ISBN:978-4-569-63269-8

読割 50

読割50とは?

読割50とは?

hontoネットストアおよび、丸善・ジュンク堂・文教堂の提携書店にて対象の紙書籍を購入すると、同一の電子書籍が紙書籍の購入から5年間、50%OFFで購入できるサービスです。
購入時点で電子書籍が未発売でも、紙書籍の購入時期にかかわらず、電子書籍の発売後5年間、50%OFFで購入できます。

または読割50のアイコンがついている商品が対象です。

一部、対象外の出版社・商品があります。商品ページでアイコンの有無をご確認ください。

  • ※ご利用には、honto会員登録が必要です。
  • ※書店店頭でのお買い物の際は、会計時にレジにてhontoカードをご提示ください。
  • ※hontoが提供するサービスで、販売価格の50%OFFを負担しています。

読割50について詳しく見る

一般書

電子書籍

歴史学ってなんだ?

著者 小田中直樹 (著)

歴史は何のために学ばなければならないのか? そもそも、社会や個人の役に立つのだろうか?年号ばかり羅列する歴史教科書への疑念。一方で相対主義や構造主義は、“歴史学の使命は終...

もっと見る

歴史学ってなんだ?

税込 660 6pt

ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは

ほしい本に追加(値下がりすると通知がきます)

ご利用中のデバイスが対応しているかご確認ください

  • ブラウザ
  • iOS
  • Android
  • Win
  • Mac

対応デバイスごとのコンテンツタイプやファイルサイズヘルプ

オンライン書店e-honとは

e-hon

hontoは「オンライン書店e-hon」との連携を開始しました。
「e-hon」は書籍、雑誌、CD、DVD、雑貨といった多岐に渡る商品を取り扱う総合オンライン書店です。130万点以上の取り扱い点数、100万点以上の在庫により、欲しい商品を買い逃しません。honto会員向けにお得なキャンペーンを定期的に実施しています(キャンペーンに参加するにはMy書店をhontoに設定して頂く必要があります)。
・まだe-honの会員ではない方
下記リンクからe-honへ遷移し会員登録する際に自動でhontoがMy書店に設定されます。
・既にe-honをご利用いただいている方
「マイページ」-「会員情報の変更」-「My書店の変更」に進み、検索窓に「honto」と入力し、検索結果画面で会員登録ボタンを押すことでMy書店がhontoに設定されます。

e-honで紙の本を探す

※外部サイトに移動します。

対応デバイス毎のコンテンツタイプやファイルサイズ

対応デバイス コンテンツタイプ ファイルサイズ
ブラウザ EPUB
iOS EPUB 4.9MB
Android EPUB 4.9MB
Win EPUB 4.9MB
Mac EPUB 4.9MB

歴史学ってなんだ? (PHP新書)

税込 924 8pt

予約購入とは

まだ販売されていない電子書籍の予約ができます。予約すると、販売開始日に自動的に決済されて本が読めます。

  • 商品は販売開始日にダウンロード可能となります。
  • 価格と販売開始日は変更となる可能性があります。
  • ポイント・クーポンはご利用いただけません。
  • 間違えて予約購入しても、予約一覧から簡単にキャンセルができます。
  • honto会員とクレジットカードの登録が必要です。未登録でも、ボタンを押せばスムーズにご案内します。

予約購入について詳しく見る

ワンステップ購入とは

ワンステップ購入とは、ボタンを1回押すだけでカートを通らずに電子書籍を購入できる機能です。

こんな方にオススメ

  • とにかくすぐ読みたい
  • 購入までの手間を省きたい
  • ポイント・クーポンはご利用いただけません。
  • 間違えて購入しても、完了ページもしくは購入履歴詳細から簡単にキャンセルができます。
  • 初めてのご利用でボタンを押すと会員登録(無料)をご案内します。購入する場合はクレジットカード登録までご案内します。

キャンセルについて詳しく見る

商品説明

歴史は何のために学ばなければならないのか? そもそも、社会や個人の役に立つのだろうか?年号ばかり羅列する歴史教科書への疑念。一方で相対主義や構造主義は、“歴史学の使命は終わった”とばかりに批判を浴びせる。しかし歴史学には、コミュニケーション改善のツールや、常識を覆す魅力的な「知の技法」が隠されていたのだ!歴史小説と歴史書のちがいや従軍慰安婦論争などを例に、日常に根ざした存在意義を模索する。歴史家たちの仕事場を覗き「使える教養」の可能性を探る、素人のための歴史学入門講座。[序]悩める歴史学 [1]史実を明らかにできるか―歴史書と歴史小説/「大きな物語」は消滅したか/「正しい」認識は可能なのか [2]歴史学は社会の役に立つか―従軍慰安婦論争と歴史学/歴史学の社会的な有用性 [3]歴史家は何をしているか―高校世界史の教科書を読みなおす/日本の歴史学の戦後史/歴史家の営み [終]歴史学の枠組みを考える

関連キーワード

あわせて読みたい本

この商品に興味のある人は、こんな商品にも興味があります。

前へ戻る

  • 対象はありません

次に進む

この著者・アーティストの他の商品

前へ戻る

  • 対象はありません

次に進む

小分け商品

前へ戻る

  • 対象はありません

次に進む

この商品の他ラインナップ

前へ戻る

  • 対象はありません

次に進む

みんなのレビュー41件

みんなの評価4.0

評価内訳

紙の本

歴史学を考える

2004/01/28 00:46

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:メル - この投稿者のレビュー一覧を見る

 すごく面白い。久々に読んで満足感を覚えた新書である。
 本書には、3つの大きな柱がある。一つは、「史実を明らかにできるか」。次に、「歴史学は社会に役に立つか」。そして「歴史家は何をしているか」である。これらのテーマは、同じ人文系の文学を研究する私自身にとっても関心のあるテーマだ。
 というのも、最近、文学の研究においても歴史/物語を問う研究が増えている。たとえば、よく言われることだがフランス語の「histoire」は「歴史」を意味すると同時に「物語」も意味している。したがって、物語と歴史の境界は実は非常にあいまいで、それは本書でも歴史小説と歴史書のちがいを取り上げている。
 そんなわけで、歴史研究と文学研究はかなり近い位置にあると言える。したがって、私は本書読みながら「歴史」という語を「文学」と置き直して文学について考えてみたりもした。たとえば、「文学」は社会に役に立つか、というように。
さて、本書において私が特に印象的だなと思った箇所を引用してみよう。それは、歴史家は何をしているのかについて論じているところ。歴史家が史料を集めて、そこから得た知識をどう文章化するのか述べた箇所である。

《そして、歴史を論じる文章を書く際に留意しなければならないポイントは、この「読み手をわくわくさせる力を備えていなければならない」ということにあります。文章化するということは、読み手とコミュニケートするということです。読み手をわくわくさせられなければ、コミュニケートは困難です。そんな文章は、書き手の自己満足以上のものにはなりえません。》

 そして、さらに歴史家に必要なものとして著書は「情熱」を挙げている。「情熱」があれば良い、ということではないけれど、「情熱」の込められていない歴史像は面白くないと言う。このちょっと気恥ずかしい研究に対する「情熱」という言葉を、こんなところで出会って一瞬驚いたけれど、しかし研究を続けているとつい忘れてしまいがちなのがこの「情熱」なのではないかと反省する。
 読んで面白い研究書というのは、文芸作品を読んでいるときと同じように「わくわく」するものなのだ。たとえば、ミステリー小説のように、謎を解き明かしていく、そんな研究書はたしかにある。こういう読書経験を実際私は何度か経験したことがある。というか、書評でも書いて紹介したいと思う研究書は、たいてい読んでいて「わくわく」した本だ。「わくわく」しない研究書など、紹介しようとも書評を書こうとも思わない。
 読み手をわくわくさせることによって、読み手とコミュニケートする。これこそ、開かれた研究と言えるだろう。そして、歴史の絶対正しい認識ができない以上、「よりよい認識や解釈や歴史像」を手に入れるために必要なことなのである。
 読み手に何かを喚起させる力、それをもたらす書き手の情熱。私が論文を書くときにも、このことを常に心がけておこう。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

あの山に登ろう

2007/05/21 08:05

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:半久 - この投稿者のレビュー一覧を見る

入門書のスタイルにもいろいろある。『ニーチェ入門』のような人物ものなら、その思想や人となりをまとめるのが主流だろう。
一つの学問を、丸ごとターゲットとする入門書はどうだろう。「広き門から入れ」が無難なやり方だろう。全体を浅く広くカバーし、主要なトピックをカタログ風に並べたりする。目新しさはないが、とりあえず、そんなものかと分かった気になれそうだ。

でも、「こんな手法もいいねっ」と思わせてくれるのが本書だ。なにしろ、論点をほぼ三つに絞ってしまっているから、ルートの見通しがすごくいいのだ。


小田中レキシ岳という山に、これから登ることになった。初心者のわたしは、不安を抱えながらガイド(小田中氏)と共に麓に立っている。ガイドはペン先で指しながら「この尾根を登って、あの峠とあそこに見える二つのピークを経由して山頂に行きましょう」と目標を明瞭に示してくれた。
これで俄然やる気が出る。初心者にとっては、コースのイメージが頭の中で固まった方が安心だ。しっかりついていけば、このコース歩ききれるんじゃないかと思えてきた。

さあ出発だ。歩き始めて山頂に至るまで、三つの中間目標地点以外にも見所が多い。途中何度も開けた場所に出る。お花畑もある。
ガイドは遠くに眺望できる魅力的な歴史ある山々や、太古の昔から変わることなく、めぐる季節ごとに咲き続ける草花の名前を私に教えてくれる。思わず足を止めて見入ってしまうようなエピソードを添えて。
その中には「ああ、知ってる」と、生意気にもガイドに向かって呟いてしまうような有名な山・花もあるが、教えてもらわなければまず見逃していたような隠れた名山や、希少種の草花も多い。
伊達にガイドはやっていないなあと、目を丸くしてしまうのだ。こういった見所が絶妙のタイミングで現れ、山行を飽きさせない。
こんなに道行きの途中も楽しめるとはね。早くも次はあの山この山に登ってみたいと夢がふくらむ。

ただ、森の中を歩いていると、ガイドは分岐点で立ち止まり考え込むことがある。右でも左でもこの先で合流するのだが、どちらを行けばより充実した山行になるか迷っているようだ。本当はここで「煮え切らないなあ」とじりじりしながら待っているのではなく、自分でも地図を開いて一緒に検討してみるのがいいのだろうね。
中間地点を通過する度に、確実に山頂が近づいてるなという手応えを感じる。

おっと、霧が出てきた。ガイドだって人間だから間違うことはある。道が分からなくなっちゃった。乗ずるように、四方八方から「こっちだー、こっちだ〜」と不気味な呼び声がこだまし始めた。うひゃあ、これが噂のブロッケン現象ってやつ? すぐさま「違うよ」と否定されてしまった。
でも、そんなに間をおかずに霧が晴れてくれたと同時にこだまも消え、もとのルートに復帰できた。ふう〜。
頂上直前にちょっとした難所にさしかかる。この岩場にははっきりとした踏み後はない。手がかりを捜しながら慎重に登っていこう。

いよいよ山頂だ。小さな失敗はあったが無事にたどり着いた。思ったよりは平凡な山頂だった。でも、眺めはいい山だ。長大なレキシ岳の山脈が眼前に横たわっていて、自分はそのはじっこの一角にしかいないんだということを思い知らされる。
山頂にはサイード種の、『知識人とは何か』草が咲いていた。ガイドはこの花が好きみたいで嬉しそうに見ている。わたしはそんなに好きな花じゃないんだけど、まあ、その話は別の機会にするね。

ゆっくり休んだら降りるとしよう。下山は一気呵成ですむのが、このタイプの山歩きのいいところだ。
ガイド料も安かったし、なかなか充実した山行だったよ。

さ〜て、次の休日にはどの山に登ろうかな。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

それでも「客観的な歴史」は存在する

2004/02/03 02:39

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:梶谷懐 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 僕が小田中さんのことを知ったのは何を隠そうこのBK1の書評を通じてである。専門の分野で立派な業績を上げながら、驚くほど読書幅が広くて、しかも文章がとても明晰で、僕にとっては憧れの人だ。実はこの書評の文章を書くとき、意識的に小田中さんの文体をマネしているくらいである。
 そんな小田中さんらしく、この本では「史実を明らかにするなんて可能なのか?」「歴史学って社会の役にたつのか?」といったラジカルな問題が、現代社会のアクチュアルな課題ともからませて誰にでもわかりやすい形で語られている。

 たとえば、小田中さんは、小林よしのりが『ゴー宣』で取り上げたことで社会現象にもなった「従軍慰安婦論争」について、単に「保守と革新」という対立には解消されない、「三つ巴の構造」があったことに注目する。つまり、そこでは吉見義明さんのような「実証史学」の人は、「国民の物語としての歴史」を掲げる「新しい歴史教科書を作る会」の人たちだけではなくて、「史実の客観性なんて存在しない」というポストモダン派サヨクからの攻撃も受けなければならない、とても厳しい状況にさらされていたというわけだ。 
 僕も東アジア諸国に対する戦争責任の問題には関心があるのでこの「論争」には興味を持っていたけれど、そうやって左右両陣営から自分たちの学問的基盤を批判されているはずの実証史学の人たちが、そのことに関しての正面切った批判をほとんどしていない(『世界』2001年9月号の古厩忠夫さんによる論考はその例外だろう)ことには不満を持っていた。その点で、構造主義・ポスト構造主義への一定の教養を持ち、「歴史家は何をしているのか」といった舞台裏の紹介もしながら、実証史学の立場からそれをきちんと批判する小田中さんのような人は大変貴重だと思う。

 そういったアクチュアルな問題の考察を通じて、小田中さんは「社会の役に立つもの」としてではなく、「個人のコミュニケーションを通じた相互理解」のための方法として歴史学を捉えなおそうという結論にたどりつく。この結論に基本的には僕も共感するけど、ただそのたどりつき方がちょっとあっさりしすぎている、という印象は持った。いかに歴史が本来「個人」のためにあるのだとしても、「社会」「集団」の利益のために「歴史」を用いようという試みが後を絶たないのはなぜだろうか。それは「集団のための歴史」という考えが一種の「魔力」を持つからじゃないだろうか。それを内在的に批判するのにはいったんその「魔力」に寄り添う必要があると思うんだけど、どうもこの本にはそれが足りない気がする。 
 特に日本の状況について考えたときに、小田中さんの結論は楽観的過ぎるんじゃないかと思えるところがある。この点、例えば同じ時期に出た阿部謹也さんによる『日本人の歴史意識』(岩波書店)が「西洋人と日本人の、歴史意識に関する絶望的な違い」を強調しているのとは対照的だ。

 まあ、小田中さんほどの人ならそれは百も承知だろうけど、この本はなにぶん少ない分量で高度な内容を語ろうとしているため、ちょっと結論を急いでいるという気がしないでもない。欲を言えば、小田中さん自身がこの本の結論にたどり着くまでに経験した「葛藤」をもう少し語ってほしかったところだ。でも、その辺は先に出ている『歴史学のアポリア』ですでに展開されているのかもしれない。読んでみなくちゃ。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

記述の仕方が著者自身の主張を裏切っている

2004/05/12 18:48

10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:越知 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ポストモダニズムが文系学問の世界に浸透して以来、歴史学の王道と見られた史料に基づく実証主義も、その大波をまともにかぶらないではいなかった。
例えばA・カーナン(編)『人文科学に何が起きたか——アメリカの体験』(玉川大学出版部)は、「ポストモダニストにとって過去から導き出される真実などは何もない。過去は歴史学者がつくりだす〈社会的構築物〉にすぎない」(150ページ)とする見解にどれほどアメリカの大学が揺さぶられたかを伝えている。
著者はそうした傾向を批判し、あくまで実証主義的な立場から歴史学を擁護しようとする。そうした基本的な姿勢自体は悪くないと思う。しかし、この本の著述の仕方自体が、著者の主張を裏切っているとしたらどうか?
著者は本書の第2章で従軍慰安婦論争を例として持ち出し、ポストモダニズム的な論客として一方にフェミニストの上野千鶴子を、他方に「新しい歴史教科書をつくる会」の坂本多加雄を挙げ、双方を批判する。そしてそれと対蹠的な歴史学者として吉見義明を挙げ、称揚するのだが、ここの議論の進め方にはいささか疑問がある。
第一に、著者が引用している坂本多加雄の本は、『歴史教育を考える』(PHP新書)である。歴史研究や歴史学のあり方自体が主題になった本ではないのだ。事実、坂本はこの本の中で「歴史教育について論じる際、まず指摘しなければならないのは、政治の世界、歴史研究の世界、さらに歴史教育の世界は、それぞれあくまで別の原理に立つべきだということである」(36ページ)と断っている。
こうした坂本の言い分は分かりやすかろう。教育と学問が同じ原理に立脚しないことは、例えば学校で教えられる数学を見れば明らかだ。正解が出るような領域や問題に限定して学校教育がなされるのであり、それ故に中学・高校で数学が得意だった生徒が学問としての数学に有能であるとは限らないのである。
著者がこの点を無視して坂本の本を引用し批判しているのは、したがってアンフェアだと言うしかない。
第二に、従軍慰安婦問題については、吉見の本だけでなく他にも文献が多い。その中で秦郁彦『慰安婦と戦場の性』(新潮社)は、「強制連行」という概念を吉見が拡大解釈したことに対する明瞭な批判を打ち出している。そもそも秦はかつて、従軍慰安婦を強制連行したと「告白」した日本人がペテン師であることを証明し、この「告白」を鵜呑みにした吉見も自分のうかつさを認めざるを得なかったという経緯がある。
著者は何故その吉見の本だけを頼りに、慰安婦の強制連行があったとする彼の説を「模範的な歴史家の営み」(89ページ)と評することができるのだろうか。少なくとも秦などの従軍慰安婦強制連行否定説を学問的に吟味し批判した上でなければ吉見の本を評価することは不可能なはずだが、そうした「学問的手続き」を著者はまるでとろうとはしないのである。
こうした著者の、自分自身の主張を裏切るような姿勢こそが、この本の価値を大きく損なう要因になっている。一見学問的なようでありながら、実はイデオロギーが透けて見えるのでは、著者が批判するポストモダニズム的な歴史学の方法と大同小異ではなかろうか。その意味で、芳しからざる出来の本であると評さざるを得ないのである。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2007/08/24 14:36

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2006/12/06 01:33

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/01/09 01:25

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/04/23 20:14

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2009/09/15 08:51

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/04/09 22:51

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/05/29 07:26

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/10/07 16:59

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/12/20 11:55

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/03/20 03:32

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/07/01 22:27

投稿元:ブクログ

レビューを見る

×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。