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投稿者:甘栗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一次世界大戦が始まり、翻弄される人々の話が中心の最終巻。
戦争の悲惨さを感じ、読んでいてとてもつらかったです。
そんななか、アンの末娘であるリラの成長が頼もしく、救われる思いがしました。
紙の本
戦争と人々の暮らし
2023/08/28 23:39
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投稿者:kisuke - この投稿者のレビュー一覧を見る
赤毛のアンシリーズ最終巻。第一次世界大戦を背景に、銃後を守る普通の人々の暮らしが描かれています。
主役はアンの末娘リラで、楽しいはずの青春時代を苦悩と苦難の中で過ごしていきます。最初はあまりものを考えない、浮ついた女の子なのですか、様々な経験と深い悲しみによって徐々に大人の女性に成長していきます、その姿が美しい。
あのスーザンがやっとプロポーズされたエピソードは、気の毒と同時に笑えます。辛い中でもおかしな事は起こるもの。
赤毛のアンを夢見がちな少女小説と見なして読んでない人にも、できたらこの巻は読んで頂きたいなと思います。
紙の本
戦争がアンの家族にも影響を…
2022/10/21 17:27
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投稿者:やっち - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一次世界大戦が始まり、アンの家族にも暗い影を落とします。アンの息子も戦争の犠牲者に…。戦争を知らない私達が戦争を知るきっかけになる作品です。戦争は遠い場所で行われていますが、それでも世の中は暗い空気になり、家族も犠牲になり…。戦争のことばかりの話ではなく、アンの娘リラを主人公にした話ですが、戦争の重い空気感が伝わってきます。
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
あの赤毛のアンが、第一次世界大戦で悲しみに打ちひしがれる母親になるとは何とも言えないです。モンゴメリは続きは書きたくなかったと後に知り、悲しくなりました。
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最初は四苦八苦しつつでしたが、途中からは楽しく読むことが出来ました。
リラの精神的成長と、それを見守りながら一喜一憂する家族の姿がしっかり描かれていて、とてもよかったです。
さらにすごかったのが、風景描写。 単なる描写に留まらず、モンゴメリならではの表現がちりばめられ、主人公の心理ともきちんとリンクさせているところは、さすがです。
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アンブックスのよさは「何気ない日常の中に含まれる人間たちの豊かなペーソス」だと思う。
起きる事件といえばせいぜい自分ちの牛がお隣のキャベツ畑を荒らしてしまったとか、ケーキを持って歩いているところを見られるのは恥ずかしいことだと思い込んで、思わずケーキを川に投げ込んでしまったとか、その程度のこと。
そんなささいな出来事に潜む小さなおかしみや悲しみなどの感情を豊かに描きだしているところが、アンブックスの一番の特色だと思う。
でもそんなアンブックスの中で、この『アンの娘リラ』だけは「世界大戦」という大きな史実が下敷きにあるので、他のアンブックスと比べて登場人物の喜びや悲しみの質がまるで違う。
作中でアン自身が言っている通り、同じ10代の頃のアンとリラの経験を比べると、なんという大きな差があるのかと愕然とする。
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末娘のリラが、アンとは対照的な環境の中で大人になっていくのが切なかったです。この後、アンの青春時代のものを読み返すと、平和でほっとします。
個人的にはマシュウの次にウォルターが大好きだったので、悲しかったです。
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赤毛のアンシリーズ最終巻。最初の巻を読みはじめてから1年くらいかかったかな。ゆっくり読んできました。
この最終巻だけは、のんびり平和な今までとは違い、戦争のせいで全体の雰囲気が暗め。でもリラの成長とともに書かれたこの巻は私は結構好き。
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2010.4
アンがアンではなく「ブライス夫人」になってしまい、ちょっとさびしい。WWⅡほどWWⅠの記憶(知識)がなかったので、世界史の本を久しぶりにひっくり返してみる。戦争の政治的な話が多くて、少しつまらない。カナダが参戦していたことを、昔歴史で勉強した時は知らなかったっけ。
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これまでのアンのシリーズとは一線を画したお話です。
一冊すべてが戦争で彩られている。
その中で青春時代を過ごさなくてはならなくなったリラちゃんのお話。
「リラ・マイ・リラ」という愛称がマリラと通じていてどうにも切なくなりました。
アンの物語全編にわたって言えることなんですが、生活習慣とかとらえ方とかの違いをすごく身近に感じられる物語です。
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赤毛のアンシリーズで一番好きな巻です。
20歳のころ読んだのが最後だから、もう一度読みたいな。
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最初は生意気な印象だった末娘のリラの成長がすばらしい。
シリーズの中で異色に感じる程人生のシビアな面が描かれているが、それはモンゴメリ自身が第一次世界大戦を経験したからに他ならない。それでも、アンから引き継がれた想像の世界や、希望を失わない人々に勇気づけられ、読者はシリーズを終えることになる。
最後にこの1冊があることで、シリーズの読後感が引き締まる。
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赤毛のアンシリーズの最終巻。この10冊を読むのに、三年近くかかったように思う。
赤毛のアンの物語なのに、最後はアンの娘であるリラの物語になっている。あまり期待していなかったが、読み進めるうちにどんどん引き込まれていった。シリーズの中で、一番好きな巻かもしれない。
他の巻は、どちらかというとバラ色のストーリーだが、この最終巻だけは戦時色が濃く、とても暗い。そして大事な人の死にも直面し、とても悲しくなるところがある。
そんな中でも、末っ子のリラが日々成長していく姿が素晴らしい。戦争の中で、今までの楽しい生活が一変し、大事な人をこの世から無くしてしまうといった不幸に直面する。そういった困難を乗り越える中で、初めて人は成長できるのかと思った。
先日、東北地方太平洋沖地震が発生し、多くの人の命が奪われ、各地で深刻な被害が出ている。原発事故も近隣諸国を含めてとても危険な状態だ。こんな理不尽なことがどうして起こるのだろう?平和な日本に起こった危機的な状態。この困難を皆で乗り越えることで、一人ひとりが成長できるはず。リラのように。
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アンシリーズの最終巻。
そして、シリーズの中では異色の巻である。
一つは、物語がアンの末娘リラの視点を中心に綴られていること。
本巻で我々は、アンの心中も、主にリラの視点を通して知ることとなる。
そしてもう一つは、戦争の描写が多いこと。
第一次世界大戦が開戦し、アンの家族もその渦へと巻き込まれていく。
アンが「私の赤ちゃん」と呼び、自らの実母と養母の名をつけた末娘、
バーサ・マリラ・ブライスは物語冒頭では15歳。
「兄弟の中で唯一、なんの野心も持ち合わせていない」リラは進学をせず、かといって「家庭的で、お料理が好きというわけにもいかない」うえに裁縫や掃除も苦手という女の子。家族から子ども扱いされるのにはもううんざりで、社交界デビューを待ち望んでいる。
「人生を味わうですって?わたしなら食べてしまいたいわ」
来たる人生最良の時期をひたすらに楽しみに待つ彼女は、
すらりと背が高く、とても美しい。そしてその美しさを自分でもよく
心得ている、少しうぬぼれ屋さんなところもある。
そんな愛すべきうぬぼれ屋さんのパーティーデビューの夜、
イギリスはドイツへ宣戦布告する。
長兄のジェムはすぐに義勇兵として出征し、村の人々の話題は戦争一色となる。
その慌しい変化の中でリラは「勇敢で、雄々しく、わがままを捨てようと決心」し、
赤十字少女団を結成したり、ひょんなことから赤ん坊を預かって育てたり、
難局に立ち向かっていく。
新聞に戦死者名簿が載るようになり、リラの笑顔も消えていく。
こんな風に暗い娘時代を送らなければならないリラをかわいそうに
思いながらも、その困難の中で成長していく娘を誇りに思うアンの母親としての視点はいつくしみ深く、温かい。
ケネスとリラの婚約を知った時の、アンの寂しさが胸に迫る。
そしてウォルターの戦死。
シリーズを愛しているからこそ、次々と起こる辛い状況の描写に
読み手も胸が引き裂かれそうになる。
あのダンスパーティーから4年。
リラの内面が大きく成長したころ、戦争が終結する。
ラスト一行、このたった一行だけが
この巻で心の底から「よかった」とほっとできる描写である。
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最初に「リラ」を読んだのは、もう40年ほど前。確か中学生の時である。「アン」シリーズが好きで、シリーズ一冊目の「赤毛のアン」から十冊目の「リラ」まで、何度も通してよく読んでいた。
この新潮文庫版は、約50年前に世に出た村岡花子の翻訳に、時代に合わせて一部手直しを加えて2008年に刊行された改訂版である。
舞台は第一次世界大戦下のカナダ。大切な人々が戦地に赴き、不安と緊張の日々が続く中で、十代のリラは、少しずつ成長していく。母アンの、のどかな青春とは色合いの違う、くらく、心沈む毎日。それでも人々は生きていかなければならない。希望やユーモアを織り交ぜながら。そして、その日々は、リラの心に深い色を加えていったようだ。
この本を、初めて訪ねた丸善東京本店の松丸本舗の書棚で見つけた。こんな所にリラが?
その書棚には、東日本大震災を受けて、苦しい日々をどのように生きていくか、といったテーマの本が並んでいた。被災地に住む我々は、あの日以来、逃れることのできない不安と緊張の中で生きている。それは、リラの青春の日々と重なるものだ。
このような視点から「リラ」を見ることができるとは、新鮮な驚きだった。
「リラ」が、「アン」シリーズのうちの一冊、という以上の価値を与えられたようで、古い馴染みの私としては、思いがけない喜びだ。
この時代に生きる若い人たちに、共感してもらえる一冊ではないかと思う。