- 販売開始日: 2013/02/07
- 出版社: 秋田書店
- レーベル: 少年チャンピオン・コミックス
- ISBN:978-4-253-20931-1
ブラック・ジャック~黒い医師~ 1
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ブラック・ジャック 黒い医師 1 (少年チャンピオン・コミックス)
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紙の本
リメイクものとしては結構イイ線いっているかと
2005/05/22 22:30
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
さて、版元の秋田書店、TVアニメ化に合わせてか、ここ数ヶ月、「ブラック・ジャック」というコンテンツの知名度をとことんシャブリ尽くす戦略を採用しておりますなぁ。たとえば、複数の雑誌にまたがって不特定多数の作家にリミックス作品を書かせるなど、あざといといえばあざといやり口だが、そんな中からも結構面白い作品が出てきたりするから、まあ、それはそれで。無論、そうした企画の中からダメ駄目な作品も出てくるわけですが、どのみち、そんな「多数の作家がよってたかって作り上げているそんな企画」なんかより、浦沢直樹が単独でリメイクした「プルートウ」のがよっぽど話題性がある、という皮肉な現実を想起して「どうでもいいや」と思ったりします。
で、そんな中で、何故かモトネタの「ブラック・ジャック」が連載されていた「週刊少年チャンピオン」で、月一連載されているこの作品、実はモトネタの話しに結構忠実なリメイク。でも、作画担当の山本賢治という人が、なにかというと血とか臓物とかを作中に登場させる人だから、モトネタの話しよりは画面に出てくるグロテスク度が上がっています。この人の絵、フォルムの丸っこさ、かわいさと描線のシャープさが好対照な作風で、丸っこい線とフォルムの手塚風の絵とは微妙に趣が異なるのですが、元々「ブラック・ジャック」という作品自体が、ヒューマンな中にも多分に毒を含んでいる作品(なにせ、初めて単行本化された時は、「恐怖コミックス」に分類されていたわけですし)なわけで、そうした「毒」を考慮するなら、作風的にはマッチしているかと。
むしろ、時代的な制約や、掲載紙が少年誌であったところからの遠慮、それに、手塚自身がイマイチ吹っ切れきれなかった(と、予想された)部分にも、遠慮なく吹っ切った描き方をしていて、そのあたり、むしろ単純に、痛快に感じます。
例えば、主役のブラック・ジャックにしてからが、本来なら線の細い二枚目が無理して悪ぶっているいるような風情の原作とは違って、終始イヤな感じのニヤニヤ笑いをしている、ちょっと傲慢な性格にみえるように、描いている。ドクター・キリコには、黒髪つり目メイド服少女の護衛がついているは、猫耳裸エプロン出すは、で、本当に原作が好きな人には到底受け入れられないようなアレンジも若干ありますが、基本的には、「ココまでモトネタと同じだと、リメイクする必要あるのか?」って思うほど、原作には、忠実。
あと、遠景のモブシーンでヒゲオヤジとか御茶の水博士とかトッペイとかの特徴あるシュルエットが確認できるところからも、作画担当の山本賢治は、結構「手塚作品」には敬意を払っていると思う。
まあ、「過去の名作のリメイク」という、根本の企画案自体が安直といえばもそすごーく安直なわけで、そういう安直な企画案に沿いながらもなんとか自分独自のテイストを付加しようとしているあたりは、評価してもいいんじゃないでしょうか。
酩酊亭亭主