紙の本
きっかけ
2016/05/26 17:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽにょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
おじいさんの残した一つのオルゴールを通して、小学生が人と触れ合う物語。その中には広島や知覧といった日本人が考えなくてならない戦争のことにも触れる。
旅を通して少年が成長する物語でもある。
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命の大切さを切実に語るとてもいいお話なんでしょうが。。。
詰め込みすぎのエピソードが押し付けがましい。
オルゴールに纏わる物語が薄れてしまったのも残念だな。
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同じ団地のおじいさんからオルゴールを鹿児島まで届けるよう頼まれた小学生のハヤト。オルゴールの処遇をめぐり、ハヤトは大阪に暮らす父に休みを利用して相談に向かう。
この作品も朱川さんらしい登場人物への温かい視点、そしてオルゴールをめぐっておこるちょっと不思議な出来事が、美しい結末へ綺麗につながっているように感じます。
この作品の一番の読みどころはオルゴールをめぐってハヤトが成長していく姿でしょう。初めの方こそなかなかのいけ好かないガキなのですが(笑)初めての一人旅、大阪での出会い、鹿児島までの旅を通して彼はさまざまなものを目にし、考えそして人間的に成長していくのです。
新幹線に乗るのにドキドキするハヤトの様子を読んで、初めて一人で電車に乗って都市部の映画館まで行った自分を思い出しました。そういう懐かしさを誘うところもあれば、原爆資料館や戦争のことなど改めて思い出さなければいけない、と思うことや人とのつながりなどハヤトに教えられることもたくさんありました。
ハヤト以外の登場人物たちもよかったです。悪い人がいない、という意味で安心して読めるのですが、それぞれ胸の中に葛藤や苦悩を抱えていて、それらをハヤトがどう受け止めるのかも注目すべきところ。
個人的にはハヤトの同級生の真面目な少年通称「リアのび」(リアルのび太の略)が好きでした。こういう友人が近くにいるってホントに大事だと思います。
大人が読んでもいろいろ考えるところのある小説だと思うのですが、小・中学生が読んでも得るものがたくさんある小説だと思います。語彙や心理描写もそんなに複雑ではないし、自分自身その頃に読んでいたかった小説だなあ、と思いました。
本って各年代によって好みが分かれるところだと思いますが、この本はあらゆる世代の人が読んでも何か大切なものを残してくれたり、心を温めてくれる本ではないかと思います。
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知らないものに思いをはせることはできない。知ることで「考える」ことができ思いを寄せることができる。まずは「知る」「体験する」ことをめんどくさがらないでおこう。知らない世界を知ることで、いろんなこと、身近な心にも気づくかもしれない。
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もうすぐ小学5年生になるハヤトの成長物語。
前半は離婚,給食費未納,孤独死,いじめなど
あれこれ詰め込んであってもやっとする。
後半のサエとハヤトの会話や
終盤のトンダじいさんとシズさんのエピソードは
良いなぁと思った。
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少年の成長物語でした。
小学生の頃に味わったことのある両親の不和感。
そんな事態にはならなかったけどずっとしこりとして残ってしまったのを思ってもハヤトのストレスは相当だろうな。
過去やある事実を知らないから関係ありませんなんて言えない。
人にはそれぞれ意見があって理解し合えないこともある。
それ等を理解出来たのは自分はいつだったか。
小学生ではないな、確実に。
物語だけど、あの場所ですれ違った男性の意見は私には思えないし。
ちょっと駆け足になっている感じもするけど、
これは子供のいる親の方々に読んでもらえたらいいのかもなあ、
なんて思いました。
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まっすぐに、本当に面白かったです。
小学生のハヤトの新鮮な感動や感覚がそのまま伝わってくるようで、純粋な気持ちになれました。
朱川湊人さんの描く子どもが好きです。というか、子どもが出てくるといきいきとした描写になる感じが楽しく、いつも主人公が小学生だと分かった瞬間「ヨッッシャ!」と思います(笑)
このお話に込められた主題が本当に素敵で、読むことを通してそれぞれに感じ取ってほしいと思うから、私の可愛い5年生のみんなにおすすめして、読んでもらっています。
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男の約束を果たすため、東京から鹿児島へ旅する少年の成長物語。
人は一人では生きていけない。支えあってこその「人」である。よく言われることだが、その実感は本当のピンチの時に知ることができる。
生まれてきたからには、本当に死にたいと思う人はいない。少年が、福知山線事故現場、広島平和記念資料館、知覧特攻平和会館で感じた「生きる」ことの尊さ。
大きなテーマを読みやすく、そして心温まるストーリーに仕上げた作者の力量が素晴らしい。私も我が子を旅に出そう。
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旅のストーリーとしては際立っているものではないと思いますがやはり戦争の遺恨を残す場所を廻りラストの盛り上がりはジ~ンとしますね。
いい話だと思います。
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顔見知りのおじいさんの頼みを聞いてオルゴールを遠方まで届けることになったハヤト。お金欲しさに安請け合いした。それがきっかけで、大切にしなければならない友達、人それぞれの考えや事情、人の親切や愛情などいろいろなことを学ぶ。
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『かたみ歌』を読んで、たいへん気になりながらも、ようやくの2冊目です。
母親と公団住宅で暮らす小4のハヤト。
同じ住宅に一人で暮らすトンダ(東田)じいさんとは、あいさつを交わす程度の知り合いなのだが、ふとしたきっかけから「一生に一度のお願い」を託される。
それは、預かっているオルゴールを鹿児島に住む人に届けてほしいというもの。
ハヤトが大人になってからでも構わないと言われたが、交通費として手渡されたお金を使ってしまったことから、妙に後ろめたくなって・・・。
春休みになって、ハヤトが大阪で暮らす、離婚した父親の家に遊びに行くと、そこには若い女性がいて、お腹には赤ちゃんが。また、アパートの隣人・サエさんと思わぬいきさつから広島へ旅行することになって、遂には鹿児島へと向かっていく。
10歳の春休みにハヤトが出会う小さな、しかし本人にとっては衝撃的な事実や事件のあれこれに、ハヤトの思いが伝わってきて胸がつまる。与えられるぬくぬくした暮らしの中で、これらの事件のたった一つすら経験しないで済む10歳(多くの子ども達はこちらだと思うけど)と比べて、かなり早い段階で人生の苦みや痛みを味わったことになる。
けれどハヤタには、共に歩いてくれる人や励ましてくれる人、見守ってくれる人がいて、実は愛情に囲まれ幸せな姿もそこにはある。
子どもは子どもなりに、深く感じ考えているものだ。大人の気配を察知し、大人が悲しむのを回避したいと願っている。時には拗ねてしまったり、自分の感情に身を任せねばならないときもあるけれど。
登場人物の誰もが、なんらかの苦しみを抱え、それでも笑う。現実を受け容れることが難しくても、それを無かったことにはしない強さも持っている。
共に旅をするサエさんは特にいい。
ハヤトを子ども扱いせず、彼を理解しつつもわかったふりはしない。真正面から向き合ってくれるのだ。ハヤトにとっても、彼女と出会ったことで大人への扉が少し開いたのではないか。
また、級友のシンジロウとの関係も大きく変化していく。ハヤトはクラスの雰囲気を決定する中心的なグループの側にいて、自分の気持ちよりもそこからはじき出されない振る舞いを常に要求される子供の世界。
そこには属さないシンジロウを空気の読めない、見下すべき存在と感じていた持ちが、鹿児島への旅の中で変わっていく。子供じみているのはむしろ自分たちで、芯があり勇気を持っているのは、シンジロウのほうではなかったか?
閉ざされた世界に存在する自分の目の前に、大きな世界(広い社会)が現れる。経験によって知が啓かれ、見通しがきくようになると、今までの殻を脱いで一回り大きくなれるようだ。
「スタンドバイミー」を思い出させてくれる、男の子の成長物語。それと異なっているのは、手本となる素敵な大人が大勢出てくるところか。
最後の最後まで、魅力的なお話。
解説もまた、いい。
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子供は外(社会)との関わり合いにより成長する。大人と関わり合いを持つ事で新たな扉を開く事が出来る。かわいい子には旅をさせろ。と言うのは本当だな。
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もっとも好きな作品かな。ちゃんとオルゴール渡せたし、子供なりに両親のこと理解できたし。
そして、自殺じゃないよ。心の病で亡くなったんだよって言葉がすごくよかった。そうだよね。そう思う。
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主人公の小学校4年生の少年が、近所のお爺さんに頼まれ、東京から鹿児島にオルゴールを届ける話。
大阪に住む離婚した父親とその再婚相手のミチコさん、そしてその友人で少林寺拳法三段の女性サエさん。そうした人に助けられながら目的地を目指します。
最後の頃にちょっと霊的な雰囲気のところがありますが、朱川さん得意のホラーではありません。
福知山線の事故、広島の原爆、鹿児島の知覧、重い話題も多いのですが、全体には軽いイメージです。少々子供向きの雰囲気ですかね。ややキャラが立ちすぎていたり、予定調和的なストーリーも感じますが、全体には読みやすく爽やかな話でした。
改めて気づいたのですが、講談社文庫の紹介には「親が子どもに読ませたい本。」とありますね。確かに、教育的と言うか・・・。
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(「BOOK」データベースより)
「実は前から、ハヤ坊に頼みたいことがあってなぁ」東京に住む小学生のハヤトは、トンダじいさんの“一生に一度のお願い”を預かり、旅に出る。福知山線の事故現場、父さんの再婚と新しい生命、そして広島の原爆ドーム。見るものすべてに価値観を揺さぶられながら、トンダじいさんの想い出のオルゴールを届けるため、ハヤトは一路、鹿児島を目指す。奇跡の、そして感動のクライマックス!直木賞作家による感動の成長物語。
我が家で大流行している朱川湊人の作品の中でも異例の長編で、いつも短編か連作なので長編はどうなのかなと若干心配していましたが、結果杞憂でした、とても良い本でした。
少々作者の顔が透けえて見えるような部分があり、素直に読めない部分も有りましたが、やはりこの叙情性はとても心地よく最後は朱川マジックに掛かっていました。