紙の本
息苦しさを感じるのは失敗を恐れて枠の中でしか生きられないから
2007/08/06 22:50
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの「サバイバル」というのはこの国で、またグローバル社会の一員として、我々個人がどう生き残っていくかを、意味している。仕事や友人、恋愛やお金、国際政治など10のトピックについて、「したたかに、そしてしなやかに生き残っていく方法を分かち合」うことを著者は狙っている。様々な問題に対して、「逃げず、そして流されることもなく」、「まともに生き残る道」を考えている。
本書はある女性誌のポータルサイトの連載をベースに書かれた本であるが、各章の初めにはサイトに寄せられた10才代から40才代の「みんなの声」が掲載されている。政治学が専門の著者がそうした声を取り上げながら、現状の分析を述べ、それらの問題にどう対応していったらよいか考えを述べている。
今の日本には「他人のことにいちいち構っていられないというムード」が広がっていると言う。「他者への無関心と無慈悲さ」とも言い換えている。行き過ぎた個人主義が日本にも広がっているのか、日々の生活に汲々として余裕がないのか。人と人との結びつき(横のつながり、絆)が弱い、分断している、とも言える。
これを書いているのは参院選の投票日であるが、もし投票しても何も変わらないと考えているのであれば、ただ文句を言っているだけではなく、何とかよくしようと智恵を絞り、声を上げなければ何も変わらない。それが著者も言っている「今の社会が変だと考える、同じ意見の人々が連帯して、智恵を出し合いながら社会を変えていこう」ということだ。
ところでその選挙であるが、毎回の選挙戦で行なわれる各TV局の報道合戦はなんとかならないものだろうか?各局がライブ感のあるエンターテインメント(お祭り?)に仕立てようと工夫をしているようだが、そのパワーを選挙結果の報道(当日)だけでなく、別のところへ回せないのだろうか、と思う。第5章ではそんなマスメディアについても考えている。
「みんなの声」を読んでも分かるようにみんな不安を抱えて生きている。出来るだけ不安をなくそうと努力し立ち向かい、あるいはそこから逃避して、サバイバルしているのだ。恐怖や不安に立ちすくんでいても時間は過ぎていくだけ。そんなの関係なしに世界は動いている。大事なのは自分の力を信じて少しずつでも足を踏み出していくことだ。
投稿元:
レビューを見る
姜 尚中ですから。と言う理由で購入。かなり簡単にすらすらと読める。姜 尚中の良いところは、気張らずに、すごくさわやかに知的に物を言うところ。かっこいいっす。いろんなところに納得しながら読んだ。が、まだすっきり頭に落ちてこない文も多少あり。もうちょい自分の中で考えないと、咀嚼できません。横の繋がりが大切。ってのが、中心となる言葉かな。「自由なのに息苦しいのはなぜですか?」「仕事は私たちを幸せにしてくれますか?」「どうしたら知性を磨けますか?」あたりが特に良かった。
投稿元:
レビューを見る
R25で宣伝されていて、著者の文章が分かりやすく、内容にも興味があったため、購入。
10の項目に分かれており、それぞれについて著者が意見を述べる形式。
平易な言葉を使っていて、とても理解しやすくすらすら読める。
特に、10章「どうしたら『幸せ』になれますか」に共感。
人格と結びつかない幸せはない。
快・不快は幸福の基準ではない。
現代は幸せの求め方が他者志向型になっているが、人間のパーソナリティを少しずつ強くしていかなければ、幸せには結びつかない。
そうすると、初めて、不確実性に伴う不安というものを抱きしめて生きていける。
不安のない自由はないのだから。
他にも、「知性」の章が面白かった。
投稿元:
レビューを見る
初めて読んだ姜尚中の著作。内容は解かり易く中でも最終章は秀逸。
ただ自分の読書力が無い。頭を使うことを避けただ楽に、楽に読もうとしている・・・。
本の内容以前に自分の読書力を鍛えないと自分の読書人生にとって大きな損失。
■現代社会では快・不快が幸福の基準になりがちです。
…しかし本当の幸福はその時の気分によって計られるものではないのです。
■ここで大切なのは彼らが幸せなのはその生活が決して諦めや成り行きの結果辿り着いたものではなく“足りる”と言う事を自分の人格の中に見出しているからです。
■人格と結びつかない幸せはないと言うことです。意外とこれは真理なのではないか。
投稿元:
レビューを見る
勘違いしてはいけないのは、この本は決して本そのものに価値があるわけではなく、ただひとえに姜尚中が書いたという事実に価値があるのです。あまりにも綺麗にまとまりすぎていて、その思想性も美しすぎるのでは?と首を傾げたくなる気持ちもある。しかし、姜尚中という洗練された存在はサイードから受けるような知性と崇高な印象を私に与えるのです。姜尚中の生き様とか、歩んできた歴史がほんの少しでも垣間見られるのが私にとっては価値があった。「パブリックな個人として存在する」ことができたら、多くの人はもっと快・不快から切り離された幸福を内発的に見出していくことが可能なのではないかと、私自身も強く思いました。
投稿元:
レビューを見る
女性向けポータルサイトの連載を纏めた新書。
単に、
快/不感の問題と
幸/不幸とは
まったく別のものである
という洞察には納得。
著者の真面目なお人柄が、文章全体に滲んでいます
投稿元:
レビューを見る
(2008/5/5読了)ここのところ何冊かまとめて姜さんの本を読んだが、悪くはないけどいまいちピンとこないまま終わる感じ・・・。一つ収穫があるとしたら、今起きていることを見る「眼」を養うには、干物という古典が有効だということ。『権利のための闘争』とか、『職業としての政治』とか読み直そうかな〜とちょっと思った。
投稿元:
レビューを見る
うーん、期待していただけに。
あまりにも一般的すぎて、あまりにも大衆を狙いすぎていて外している感がある、ように感じてしまう。
次に期待。
投稿元:
レビューを見る
本書には、「この国でしなやかに、したたかに、
そしてまともに生き残っていく」手掛かりとして、
自由、幸せ、紛争、平和、等に対する著者の考えが示されている。
有名な政治学者から人々への助言ということで、
国際社会や日本の社会における彼の見地から
何か学べることがあるのではないかと手に取った。
平易な語り口で読みやすいが、それが逆に物足りなく感じてしまった。
日本社会の構造やそれに対する一考察というものはなかった。
きっと答えは自分で見つけ出せということなのだろう。
学びに値するものは得られなかったが、
著者が“人とのつながり”“対話”“自らの頭で考えること”を
大切にしてほしいと願っていることは伝わってきた。
「人間」とは「人」の「間」と書く。
他者とのコミュニケーションこそが人間そのもの。
本書での著者の言葉であり、本書の通底に流れる言葉である。
投稿元:
レビューを見る
出会いは非常に大切なわけで、
その出会いの多くをもたらしてくれるのが、仕事だと。
確かに、仕事では色々な人に会える。
その中で成長させてもらっていると思う。
仕事って、本当に大事だなあと。
悪い事ばかりではないなと。
投稿元:
レビューを見る
若い世代に向けて、これから生きていくために仕事や友達や結婚についてどう考えたらいいのか、政治や社会の話を振られても変に同調したり反論したりせず、自分の考えを伝えるにはどうしたらいいのか、というようなことのヒントになる本。
姜さんの本を読むのは初めてでしたが、読みやすく、弱い立場に立たされた人たちを切り捨てない優しさが素敵だなと思いました。
投稿元:
レビューを見る
【17】
現代日本の抱える様々な問題をわかりやすい切り口で紐解いて説明してくれている点はありがたいが、如何せん1つのテーマに対する詰めが甘いと思う。
【読書終了:07/07/30】
投稿元:
レビューを見る
近頃世の中で話題になっている事について、世の中の考えに対し著者本人の考えを述べている。
①「お金」を持っている人が勝ちですか?
②「自由」なのに息苦しいのはなぜですか?
③「仕事」は私たちを幸せにしてくれますか?
④どうしたらいい「友人関係」が作れますか?
⑤激変する「メディア」にどう対応したらいいの?
⑥どうしたら「知性」を磨けますか?
⑦なぜ今「反日」感情が高まっているの?
⑧今なぜ世界中で「紛争」が起こっているのか?
⑨どうしたら「平和」を守れますか?
⑩どうしたら「幸せ」になれますか?
という10トピックを話題にしている。読んだ所感としては、言っている事が的を得ているなー、と言う事。。けっこう考えが似ているなー、と思う点も。情緒に流されることなく、冷静に分析し考えこまれていると思う。
うーん、やっぱり新書は読みやすい。
投稿元:
レビューを見る
「悩む力」と一緒に上司から借りたのですが、こちらのほうが、断然読みやすかったです。
web連載に加筆したものということで、文体が話し言葉で非常に一般的なことばで綴られています。
2006年刊行ということで、現在からは多少、時代の流れを感じます。
4年前と変わらず、(それ以上に?)不確かな時代ではありますが、本のタイトルどおり、そんな時代を生き抜く「ヒント」ぐらいにはなりそうです。
自分についてや、他者と自分との関係や、勉強のことや、社会について・・・悩み多き高校生にお勧めしたいかな、と思いました。
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
いじめに苦しむ子どもたちや、悩みを抱えた大人たちなど、毎年、三万人以上が、自殺に追い込まれている。
そして本当に怖いのは、この社会で共に生きる他者への無関心と、無慈悲さの蔓延だ。
「悪人」だけが跋扈しているわけでもないのに、一体なぜなのか。
また、相談機能を失ったこの社会で、どこにも逃げられず、頑なにもなりきれないフツーの人たちは、どうしたら漠然とした息苦しさから解放されるのか?
注目の政治学者が、幅広い世代から寄せられた声に誠実に向き合い、この国でしたたかに、しなやかに生き抜くための方法論を提示した、現代日本の必読書。
[ 目次 ]
第1章 「お金」を持っている人が勝ちですか?
第2章 「自由」なのに息苦しいのはなぜですか?
第3章 「仕事」は私たちを幸せにしてくれますか?
第4章 どうしたらいい「友人関係」が作れますか?
第5章 激変する「メディア」にどう対応したらいいの?
第6章 どうしたら「知性」を磨けますか?
第7章 なぜ今「反日」感情が高まっているの?
第8章 今なぜ世界中で「紛争」が起こっているの?
第9章 どうしたら「平和」を守れますか?
第10章 どうしたら「幸せ」になれますか?
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]