紙の本
彼はなぜ
2002/04/25 09:57
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投稿者:郁江 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1997年 「さあゲームの始まりです…」1通の犯行声明文が日本中を震え上がらせた。今でも記憶に新しい神戸の連続児童殺傷事件。犯人は酒鬼薔薇聖斗…14歳の少年だった。たった14歳の少年がなぜ? 犯人が捕まるまであれほどセンセーショナルに騒ぎ立てたマスメディアが 一斉に沈黙。犯行の理由は分からない。全ての謎は彼とともに闇に葬られた。「透明な存在」彼は自分をそう言った。彼は怪物でも なんでもない この本を読んでそう思った。彼はどこにでもいる普通の少年…何が彼を犯行に掻き立てたのか? その答えは彼さえも知らない。
紙の本
「少年A」14歳の肖像
2001/12/25 13:49
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投稿者:333 - この投稿者のレビュー一覧を見る
世間に衝撃を与えた事件。その犯人は少年だった。少年の素顔を知りたいとは思わなかった。なぜ、少年が怪物になってしまったのかを知りたかった。
本書には答ではなく、それを知ろうとした、足跡が記されている。みんなが性急に求める答は示されていない。それは無意味だから。
紙の本
2001/11/04朝刊
2001/11/08 22:17
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投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一九九七年、日本中に大きな衝撃を与えた神戸の連続児童殺傷事件。犯人である少年Aの審判が終わり、「酒鬼薔薇聖斗」や「透明な存在」という記号だけが残ろうとしている状況を危ぐする著者が、改めて少年の生身の人間像を検証し直そうとしたルポルタージュだ。学校や家庭の周辺だけでなく、警察、弁護士、精神科医、更生に携わる人々にも取材し、普通の少年が「怪物」へと変ぼうしたプロセスを描き出している。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001
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「その家もまた、高台にたっている。」
という書き出しで始まる、高山文彦氏の、
神戸連続児童殺傷事件のルポ第2弾です。
この本もまた、すばらしい。
第1弾の地獄の季節の発売が、1998年2月ですが、
それから8ヶ月後の1998年10月に発売されたものです。
予断ですが、両方とも、文庫版で2001年に発売されているので、私はそちらを読みました。
この本は、事件の舞台となった、
神戸須磨についてのレポートが多いのが特徴です。
その土地との関連性について、考察している部分があって、それが興味深いです。
また、両親の著書に、少年Aと父親が、
父親の実家である、鹿児島の奄美のどこぞの島に行ったときに、当時誰も住んでいなかった、
父親の実家をみて、
「将来はここにすんで…」
みたいな事を言っていたと書かれているのを読んで、
その島にも取材に行った様子が書かれています。
うる覚えですが、少年Aは、その場所にお店をつくって便利にするんだ、、、とかいっていて、
「大変奄美が気に入った様子だった」ということです。
なんか、その気持ちも、すごくよくわかるから、
少年Aの犯した罪が、よけい悔やまれる。
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高校生か大学生のときにふらっと手に取った本。あの事件を色々な視点から調べていて、客観的な知識とはなりました。他にも加害者少年の両親が書いた本もあったけれど、あれは言い訳本ですね。
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あんまり「少年A」について知らなかったし、少年心理みたいなのに興味があったから読んでみた。なかなか良くできたルポで、興味深く読めました。少年Aはかわいそうな少年だと思ったし、自分も人を殺すかもしれないな、と思いました。
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そこまで言っちゃっていいのかと思った。いささか少年Aを擁護しすぎな気もする。仮定にしては逞しすぎる想像も覆い。筆者が気取りすぎだとも思う。
そしてまた、この本を見ていると異常犯罪犯と芸術家は紙一重だという言葉が頭から離れなかった。狂ってみた時、狂ってしまった時、彼(彼女)はほんの小さなことで、どちらにも転ぶ。芸術家の中には「普通」に従うことは出来るのにあえて従わない者や、芸術家にとって命にも等しい芸術性を損なわない為にあえて自分の異常を治さなかったという者もいる。周りと違う感性は芸術になるうる。私は芸術家(作家)になりたいのだが、確かに狂わなくなることを恐れる節もある。それはエネルギーでもあるから。
話が飛んだが、これが事実なら、少年Aは社会に出てももう問題のない人間(自分の中でバランスをとって共存している人間)になっている。しかし、これからもその不安定さ故に異常犯罪の犯人となる人は生まれ続ける。作中にあったように、やはりこれは人間が生み出した、夜も無理に明るくするような自然生活に背いた科学の影響があるように思えてしまう。
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少年A、彼がなぜあんな事件を起こしたのか?彼はどんな人なのか?彼のまわりの人たちはどんなだったのか?等々
彼と彼をとりまく何かとは何なのかを知りたくて、この本を買いました。
私が驚いた事は、むごい殺戮をした人物であるけれども、死について深く考察していた人でもあることだ。
人間とゴキブリ、素晴らしい人間と忌まわしいゴキブリ、ゴキブリ以下の人間、人間以上のゴキブリ
ゴキブリは人間以下なのか?人間以上なのか?それとも同等か?
人の命とゴキブリの命、ゴキブリも人間と同じひとつの大切な命か?
それとも、人間もゴキブリと同じくだらない命なのか?
ゴキブリと比べるなんてヒドイ!
一瞬でもそう思ったのなら・・・、もう一度考えてみませんか?
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すごく興味がある事件なので、すすーっと読みました。
朝から読むものじゃないかもしれないですが。
少年の、主に行動が細かく記されています。
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人が犯罪に走るのは環境のせいだと思っていたけれど、この本を読んで、よくわからなくなった。
確かに環境にも原因はあるけど、それだけじゃ片付けられないな、と初めて思った。
環境だけに原因を求めるとすると、どの場面でどうしていれば、彼の性的対象は分化されて、異性へと向かうようになっていたのか…
少年Aの同級生や教師の言葉も引用されていて、いろいろと考えさせられた。
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ジャーナリスト・高山文彦の著書。
膨大であろう資料と取材、そして彼なりの洞察力・想像力で描かれたであろう、事件の世界。
「ごくありふれた」に見える一家庭の、そうとは気づかないような歪みの中で育った少年A。
唯一、自分にとって子宮・母体的存在であった祖母の他界(小学5年)を境に、自分の唯一を奪った「死」とはなにか、という闇に踏み込む。
はじめはカエルやナメクジの解剖。
そして、猫への虐待、惨殺。
猫の惨殺を実行する中で、性的衝動に目覚める。
「殺衝動」の目的が、祖母を奪った“死”とは、という闇から、性的欲求を満たすもの、へとシフトしていく。
なぜ人を殺してはいけないのか?という疑問をもつ時期を経て
ヒトラーを敬愛し、
またサルバドール・ダリと同じであるという、直観像素質者―眼に映ったものをを形から色、数まで克明にありのままに記憶してしまう、またその映像をいつでも好きなときに思い通りにビデオのように再生できる能力、天才に多い―の持主であり、
普通、に馴染めず爪弾きにされていく少年は、
人を殺してもいいのだ、という自分の世界、自分の論理に漬かり込んでいく。
9歳、10歳の少女二人をショックレスハンマーで暴行し、一人は死亡に至る。
それから二ヵ月後、件の殺害。
少年院での更正プログラムの中、初期は「死にたい、死にたい」としか言わなかった少年は
中期は、「(自然とだけ向き合うようなかたちなら)生きてみても」
後期は、「(社会とかかわる形で)生きていけるのだろうか」
と意思が変わってきたという。
殺害事件前、人を殺したら死刑になるから殺してはいけない、と殺人衝動を抑え続け、
自分の世界を創り上げ、犯行に至ったときには、自分の思想に則り殺害をした、だから正々堂々と死刑になるのだ、と思っていた少年が。
著者の元には、少年Aを敬愛する内容や、自分も続きたい、といった内容の手紙が少年少女から寄せられているという。
世間の評価を見ていても二分されているように思う。
どうしようもない殺人鬼だ、育てた環境が悪だ、殺してしまえ、出てくるな。
少年の心の闇、歯車の動き間違い、ひとの心、精神とは。
解説にて、宮部みゆきが述べる。
直接な当事者でなければ何の責任も担っていない私たちが、事件について、安易な結論に達してはいけない。
「少年Aのような部分はどんな人間の中にもある」「彼は自分に似ている」「彼の気持ちが理解できる」「彼も可哀相な人間じゃないか」などの言葉であっさり整理してはいけない。
このような著書を読んで事実について知ることができるからといって、そこに解りやすいストーリーをつけてはいけない。
人間の中の未知の怖ろしい部分について、知ったかぶりをするのはもうやめよう。恐れ憚ることを思い出そう。そういったことが今一番欠けているのでは。
「解らなくていい」。
私はこの本を読んだ端的な感想として、
この少���の心に触れてみたい。と思った。
世間の二分されている意見としてはきっと後者だ。事件を知れば知るほど前者的意見がもてなくなるのは、自覚している自分の異端さからか?
被害者サイドの手記を読めば、また何か、生まれるのだろうか。
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事件現場近くの住民・捜査関係者への取材、捜査資料、現場付近の取材を通じて得られた情報をもとに書かれている。時系列で事件当時の出来事、少年Aの行動・言動が追われており、戦慄を感じる。
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母親が悪いとは書いてはいないが、それを匂わす文章が多い。
少年Aの精神面は確かに母親の影響も大きかったと思うが、それ以上にもっと大きな何かがあった気がしてならない。
しかし少年Aを一番客観的に見た書籍はこの本だと思う。
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ブックオフにて百円で購入。遠い昔のように思える「酒鬼薔薇」事件の少年の内面に迫る。子育ての失敗がモンスターをうみだす。今の世に改めて突きつけてもよい作品だろう。
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少年法改正のきっかけとなる事件。酒鬼薔薇聖斗事件。
平成が酒鬼薔薇聖斗ならば、昭和においては、永山事件。少年事件の、最たる判例といえば、このふたつの事件となるのだろう。それは裁く司法側にとってもそうらしい。
わが子が非行に突っ走った経験をもつ親ならば、この本を震える手で汗ばむ指で頁をたぐることになるだろう。こうなってはならない、こうならないようにしなければ、とココロに誓いつつ、共依存の道へ加速していくのではないか。誰でも、こうなる危険がある、とはもちろんいえないのだけど、絶対こうなることはない、否定100%でいられないものがつきまとう。なんだろう。きっと、親としての自信のなさが、否定できないのかもしれないなあ。こわい本です。