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「ならずもの国家」異論
著者 吉本隆明 (著)
イラク戦争とは何だったのか、その占領に追従する自衛隊派兵は、日本に何をもたらすのか。さらに北朝鮮による拉致問題、長引く不況……混沌の本質を思想界の巨人が喝破! 日本人と世...
「ならずもの国家」異論
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「ならずもの国家」異論
商品説明
イラク戦争とは何だったのか、その占領に追従する自衛隊派兵は、日本に何をもたらすのか。さらに北朝鮮による拉致問題、長引く不況……混沌の本質を思想界の巨人が喝破! 日本人と世界の行方が一読で鮮明にわかる。
著者紹介
吉本隆明 (著)
- 略歴
- 1924年東京生まれ。詩人、批評家、思想家。著書に「共同幻想論」「最後の親鸞」「超資本主義」など多数。
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紙の本
国家は宗教の最終形態。これが基本。昔もテロをやったし、今度もテロをやっている。それがアメリカ。アメリカ人は全然進歩していない。
2004/02/06 01:42
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イッペイ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は自身の戦争体験から、アメリカは徹底したテロの国であることに何の疑いも持っていない。イラク戦争で急に狂暴になったわけではないという確信。911がテロだとすれば、サダムに対する攻撃はもっとひどいテロなのだ。
しかし、アメリカのもうひとつの顔も著者は重視している。それが自由と民主主義である。第二次大戦後、アメリカが日本に持ち込んだ自由と民主主義を目の当たりにして、軍国少年であった著者は、心から「無条件降伏」したことを告白している。
評者もおもうのだが、暴力支配と自由主義の許容はアメリカの持つ二つの顔だ。今イラクで滅茶苦茶な暴力支配を追求する一方で、大規模な反米デモを許している。もし日本がイラクを占領していたら、まず集会とデモの全面禁止を布告していただろう。ここがアメリカと日本の決定的な違いなのだ。格の違いとも言える。
しかし、アメリカが導入する自由と民主主義は度量であるよりは実利であり、十分に計算されたプレゼンテーションではないだろうか。このようなプレゼンテーションは圧倒的な暴力装置を背景としてはじめて実行できるものではないだろうか。かつての軍国少年の敗北感はアメリカの実利主義の勝利だったのではないか。
本書は全体として、テレビ感覚で気軽に読める。最後に出てくる「幻想の共同体」以外に難解な表現は一切無い。重たいテーマが軽いノリで語られているのである。話題は拉致問題に始まり、金正日とは、イラク問題、天皇制、石油、軍隊、景気問題へと展開する。そしてシメは「国家と個人」である。
文は人なり。著者の文体からにじみ出てくるのは、人が生きる知恵であり、幸福になるために必要とされるしなやかさである。
ぼくたちはもっともっと自由であってよい。究極のものとしては、個人の国家からの自由である。個人がすっぽり包み込まれているようなアジア的な国家観は幻想以外の何ものでもない。ぼくたちが自由であることで、イラク戦争についても、不況克服についてもよりましな答えが出てくるはずだと著者は語る。まったく同感である。