電子書籍
TPPも先取り
2015/11/25 16:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:taka☆ - この投稿者のレビュー一覧を見る
農薬散布のラジコンヘリが操作ミスで
体験学習に来ていた小学生に
農薬を浴びせ、小学生は重体になる。
その小学生の父親が農薬の開発者であった。
その農薬は「ほとんど」人間には害がなく
実効性の高い「優れた」農薬と評価されていた。
ただ、ミツバチを大量失踪させ、死に至らせる以外は。
この事件から農薬の必要性、農業のあり方、
あるいは遺伝子組み換えによる
農産物の大量生産・・・など問題が交錯していく。
この作家の著作で仕入れた知識だが
日本の食料自給率は?
こんな設問がよくあるが、
自給率はカロリーがベースらしい。
農作物の収穫量だと勘違いしていた。
この勘違いは農作物の収穫量がどの位かあるのか
という具体的な数字を隠蔽している。
小説に戻る。
農薬を上手に使うことで(それだけではもちろんない)
遺伝子組み換えに頼らない
「安全な」食品を毎日、カンタンに手に入れることが
できる私たちの生活に
アメリカの企業が生産効率を極めて高くした
「安全な」遺伝子組み換え農産物を提供しようと
日本に乗り込んで来ようとする。
「安全な」農薬か?「安全な」遺伝子組み換えか?
小説はその疑問を提議しながら終わる。
小説ではあるが
日本の農業問題、食糧問題を
真剣に考えなければならないと
思わせた一冊である。
作家真山仁はミツバチやカイコを飼うという
「農業」のフィールドワークなどを実際に
行ったらしい。
小説を書くのにそれが必要かどうかの議論は
ここではしない。
しかし、その体験から生み出されたに違いない
小説がここにある。
投稿元:
レビューを見る
農薬・原発・遺伝子操作など、それだけを切り取ってみればないに越したこしとはないが、現代社会にとって全廃するには大きな壁が立ちふさがっているのは現実だろう。
怖いし、難しい内容だからと、知らない・知りたくないではなく、だからこそ理解していくことが必要なんだと痛感させられた。
ただ内容が内容だけに、1冊にまとめるには全体的に物足りなさも否めない。
投稿元:
レビューを見る
日本の農業の行方は・・・
農薬の安全性から、GMO(遺伝子組み換え作物)開発、干ばつによる食糧危機などなど、日本に居ると危機感薄いけれど、問題は山積み。
必要以上に騒ぎ立てる必要は無いけれど、知らないのは罪。
投稿元:
レビューを見る
まだこれ、続くでしょ それまではなんとも言いがたい感じ
どう風呂敷を包んでいくのか
テーマはもうちょっと絞りこんだ方がいいとは思う
それでもなお引き込まれるのはさすが真山仁
あとは現実と理想の間を描くのがうまいなあ、と
投稿元:
レビューを見る
真山仁が日本の農業が抱える課題に切り込む本。
今まであまり興味が無く、なんとなく避けてきたテーマだったが、本書のおかげで興味を持つことができた。
GMO、TPP、世界の食糧不足問題、農薬が抱える課題などなど、難しいテーマが次々と出てきて、その度にネットや本で調べながら読み進めたので、個人的には結構勉強になった。
今後も農業の問題に注目していきたい。
投稿元:
レビューを見る
読了。
日本の農業問題点がよくわかり勉強になった。
ただ問題提起ばかりで、どうすべきかという著者のメッセージが伝わってこないのが残念。
一生懸命現実と向き合っている人を描くのはいいのだけど、それだけじゃ前に進まない。これを機会に自分なりに考えてみようと思う。
投稿元:
レビューを見る
農薬と遺伝子組み換えを巡るドラマ。筆者の『複数業界人を最後にクロスさせる』展開と全体を貫く理想像には相変わらず驚く。面白かった。
投稿元:
レビューを見る
▼何カ所か"農薬は安全”という表現が出てきました。
農薬は安全なのかなぁ〜?
イメージから言えば安全とは思えないんだけど…。
国の基準がクリアしているから”安全”とは限らないのでは?
もしかしたら意図的に基準を緩くしているかもしれないじゃない?
もぅ〜!よくわかんなくなってきました。
例えばお茶については農薬の残留基準値が高いのは、
風味の良さを守るためだそうですが、
それは農薬をお湯に溶いて飲んでいるってこと??
うわぁ飲む気失せるわぁ…
▼農薬・TPP・植物工場…何が良くて何が悪いのか…
日本の国益が守られているのならいいのですが、
政治家や一部の人たちだけの利益になるようでは困ります。
▼あとマスコミも信用できなくなりました。
『マスコミは人の迷惑を考えないで自分たちの都合で取材をする。
それが正しいことだと勘違いしている。
自分たちの思い通りの発言を誘導することしか考えていない』
▼農薬もTPPも遺伝子組み換えも、とにかく心配。
中国による農産物の買い漁りも軽視できません。
あれだけの人口の食い扶持を賄わなくてはならないのに、
中国本土は砂漠化が進んでいて自国では食糧を賄えなくなってきているとのこと。
近い将来、世界で食糧を奪い合う時代がやってくるとの
記述もあり、日本は将来、食糧調達が不可能になるかも
しれないとか…心底怖くなります。
中国産の農産物の有害物質汚染のリスクが高いので、
富裕層などは高くても日本のモノを買っていると聞きます。
早く日本は国内の農産物の生産高を増やして、
日本国内の食糧は自国で賄えるような政策を取ってほしいです。
何とかしなくちゃ、と気持ちが焦ります。
▼中国資本が日本の山林や水源を買い漁っているとも…。
不安で仕方がありません。早く何か対策を取ってほしいです。
▼読み終わる頃には食の問題に関して、心配や不安でいっぱいになってしまいました。
いろいろなことを考えさせられてしまいました。ちょっと憂鬱。
投稿元:
レビューを見る
農業の将来と遺伝子組み換え作物、TTPのことも理解できて読みやすい。タイトルの響きやイメージでもっと暗く、重く、読後の後味も苦々しいのかと思ったら、予想以上の口当たりのよさ!!!真山さんの書き方はわかりやすくてよかったです。
投稿元:
レビューを見る
この本は「プライド」を読んでから読むことを薦めます。農業・食糧の現状と未来が描かれており、こんなことが今起こっているのか!と、自分の無知が暴露しました。。内容としてはもう少し蜂からみが多いかと思っていましたが、もっとマクロでした。
投稿元:
レビューを見る
農業問題を扱った小説です。
農薬のラジコンによる空中散布のコントローラーを子供に渡してしまうという有りえない間違いで、大勢が農薬を浴び、一部重症となるところから始まります。主人公は3人で、1人が農水省官僚で、1人が農薬を浴び、重症となった子供の親で、その農薬開発者で、1人が、農薬を浴びた現場にいて、養蜂業を営み、ハチの一斉失踪から、農薬問題に関心がある人です。
農薬がかかわると思われるミツバチの一斉失踪や、遺伝子組み換え作物の問題(飼料としてはかなり使われているんですね)、農業国での干ばつの増加により各国による食糧争奪戦が始まっていることとその中でなぜが減反している日本など、様々な問題を描いています。農薬の恐怖をあおり、代わりに乾燥に強かったり、虫がつかない遺伝子組み換え作物を取りえれようとする動きや、人口爆発によって生じるであろう(もうすでにきている)食糧確保の困難、食糧争奪戦に向け、乾燥に強かったり、虫がつかない遺伝子組み換え作物を取りえれようとする動き、減反している日本の畑を中国が買いたがっている動きなど、考えさせる内容です。農薬と遺伝子組み換え作物の二者択一など、迫られる時が来ているのでしょうか?
投稿元:
レビューを見る
若手養蜂家、農薬の開発責任者、農水省の女性キャリアが、それぞれの立場から農薬、遺伝子組み換え作物、TPPなど現代の食糧問題、食の安全について攻防を繰り返す。
普段あまり考えることなく過ごしているが近い将来の食の危機を見せられたようでした。
小説なんだけど、ストーリーはおいといて、勉強になりましたといいたい。
ネットやワイドショーから上澄みだけをすくい取った中途半端な知識の持ち主、 という主婦が登場したが、私もそうならないようにしなきゃと思った。
ただ、あの浮気相手との話は要らなかったように思う。彼女はいったい何者?息子の2回目の発作をリークしたのが彼女かと思ったけどそうでもなさそうだし、なぜアメリカへ?実はトニリティの関係者?いや、それなら彼に近づいてもあまり意味がない。ということで、わからずじまい。ただ、色のためだけの登場だったのかしら?
投稿元:
レビューを見る
さまざまな問題が出てきてついていくのに必死。
どれも問題提起で終わり散漫な印象は受けるが、これだけ今の農業や食糧において課題は多いということなのだろう。
知らないでいることは幸せということもあるが、
これらの問題に関して無関心でいてはいけないと思う。
また、マスコミの偏った主張を鵜呑みにして大騒ぎしたり必要以上に怖がったりすることのないようにしたい。
投稿元:
レビューを見る
対立と否定からは何も生まれない。立場を明確にして徹底的に論議をするのも一手段だがディアローグを介した関係性が、ものごとをより良いほうに進めていくのではと感じさせられた一冊。
投稿元:
レビューを見る
真山仁の最新刊。既刊の短編集「プライド」をプロローグとしてプライドの登場人物達が様々な立場で出会い闘っていくという構成。プライドから真山仁は日本の農業政策に切り込んでいて小説とはいえドキュメントとも思わせる内容は圧巻。単純に農薬否定ではなくTPPを前にして遺伝子組み換えも容認せざるを得ないであろう農業の現実を考えさせる。日本の農政は大衆に迎合するだけのくせに権力には巻かれてしまうマスコミや危険と恐怖を煽るだけのように見える市民活動家に惑わされることなくしっかり考えていかなければならない問題でこの「黙示」は意味深なタイトルのように考える糸口と見方を提示しているように思えた。さすが真山仁という1冊。