読割 50
電子書籍
カネと文学―日本近代文学の経済史―(新潮選書)
著者 山本芳明 (著)
明治時代、文士は貧乏の代名詞だった。日露戦争や二度の世界大戦という激動の時代に、その状況はどう変化していったのか。痛ましい生活難をしのぎ、やがて社会的地位を獲得、ついには...
カネと文学―日本近代文学の経済史―(新潮選書)
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
カネと文学 日本近代文学の経済史 (新潮選書)
商品説明
明治時代、文士は貧乏の代名詞だった。日露戦争や二度の世界大戦という激動の時代に、その状況はどう変化していったのか。痛ましい生活難をしのぎ、やがて社会的地位を獲得、ついには億を稼ぐ高額所得者が輩出するまで……。日記や書簡、随筆に綴られた赤裸な記録をもとに、近代文学の商品価値の変遷を追うユニークな試み。
著者紹介
山本芳明 (著)
- 略歴
- 1955年千葉県生まれ。東京大学大学院博士課程人文科学研究科国語国文学専攻課程単位取得退学。学習院大学文学部教授。著書に「文学者はつくられる」など。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
カネと文学
2022/02/16 10:19
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家の収入という点に着目することで、社会における作家の役割や出版産業の発展、文化における文学の位置などを論じている。横光利一の「純粋文学論」のあたりは出版文化というより文学論に近く、とても面白かった。
紙の本
文学はいつから食える様になったのか
2022/03/06 15:31
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:文学少年A - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本近代文学は明治とともに始まり現在まで続いているが、明治の初めは作家といえば貧乏の代名詞のように言われていた。しかし1919(大正8)年に入ると状況が一変する。高等教育機関の創設や読者層の拡大によって、作家に莫大な印税収入が入り、新聞、雑誌などのマスコミも小説、随筆、エッセイ、講演集を作家に依頼するようになる。しかし、1927(昭和2)年の昭和恐慌により不況に陥った。
経営危機の改造社の山本実彦が乾坤一擲の大勝負として「現代日本文学全集」を一冊一円で予約販売してみると多くの購読者が集まり大成功し、経営危機を脱出する。改造社の成功を受けて、多くの出版社が円本を刊行して発売していった。しかし、結果的に円本の購入により読者層の財布のひもを固めてしまい、出版社の倒産や破産が相次ぎ、出版業界が不況に陥るようになった。
作家も影響にもろに被り、文学で食っていくために出版社の前で社長や担当者が出ると原稿を抱えて直談判して、週刊誌に掲載するように懇願するが、相手にされず良くても原稿料だけ貰って帰ってしまう。しかし、作家は新聞や雑誌などのマスコミを中心に新文化運動を提唱するようになる。
戦後にはいり、作家が芸能人、映画俳優とともに新聞の高額納税者ランキングの常連となるようになる。