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demand-creating innovationというアイデアの提案。やはり言いたい事は最後の「ケインズとシュンペーターをどう統合するか」だね、経済学説史の本というよりは。でも、僕のような能力値の低い院生には、英語でしかも経済物理系のマクロ動学論文なんてとても読めるはずもなく・・・。
中身は普通に読み物としても面白い。
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ケインズとシュンペーターは、実は同い年生まれ。マクロ経済学の発展に多大なる影響を与えた両者は、生前まったく交流がなく、相互に批判しあう関係であったという。
ケインズ経済: 一時的な有効需要の不足を財政・金融政策で解消しようという“短期の理論”
シュンペータ経済: 創造的破壊とイノベーションによって、経済成長を実現しようという“長期の理論”
著書吉川洋教授は、この二人の理論を綜合する「需要創造を通じた経済成長理論」の主張者だが、本書ではその立場を封印し、それぞれの思想や理念を、初心者でも理解可能なように丁寧な説明がなされているという。
少子高齢化が進展する中で、日本の経済成長に対する悲観論も多い中、マクロ経済を考え直すガイド役となる。
日経新聞書評 千代田区立図書館蔵書
アダム・スミスの見えざる手、この洞察は精緻な数学的分析に裏打ちされているのではない。彼が提示したのは経済についてのひとつのビジョンである。ケインズとシュンペーターも示したのはビジョン。
一国経済全体の活動水準は生産性要素、技術水準などのサプライサイドではなく、需要の大きさで決まる。工場の稼働率低迷や失業が発生する理由を解明した。不況は需要不足から生まれるのだ。
資本主義の本質は、企業家によるイノベーションに基づくダイナミズムにある。静態的な資本主義は、形容矛盾であり、動き・変化のない資本主義経済は存在しない。
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ケインズとシュンペーターを比較しながら、二人の経済学を紹介。
ちょっと難しかったり、面白くなかったりする部分もあるのですが、シュンペーターについてよく知ることができてよかったです。
「(シュンペーターの挙げる『企業家の動機』)第一は『私的帝国』ないし『自己の王朝を建設しようとする夢想と意思』。第二は『勝利への意思』あるいは『成功を獲得しようとする意欲』。第三が『創造の喜び』である」
「長期的にはわれわれはみな死んでしまう(In the long run, we are all dead.)」
「ゾンバルトの議論の特徴は、『贅沢』の元をたどっていくと結局のところは女性の力がリードする『恋愛』こそが『贅沢』を生み出す源泉だった、という明快な結論にある」
「賃金は『公正』『正義』の観念と切り離せないのである」
「本当に存在するのは循環そのものなのだ(Real is only the cycle itself)」
「現在では全ヘラス(ギリシア)にわたって子供のない者が多く、また総じて人口減少がみられる。そのため都市は荒廃し、土地の生産も減退した(中略)人口減少のわけは人間が見栄を張り、食欲と怠慢に陥った結果、結婚を欲せず、結婚しても生まれた子供を育てようともせず、子供を裕福にして残し、また放縦に育てるために、一般にせいぜい一人か二人きり育てぬことにあり、この弊害は知らぬ間に増大したのである」
↑紀元前二世紀半ば ポリビオス
…
写していて気がついたのですが、誤字がやけに多い。
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『いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ――有効需要とイノベーションの経済学』(吉川洋、2009年、ダイヤモンド社)
有効需要政策を打ち出し、不況時には政府による公共投資を増やして失業率を下げ、マクロ的に新たな需要を生み出す必要性を説いたケインズ。これはディマンドサイドでみた経済学であり、戦後の成長の各国の経済政策に採用された。
一方、ミクロで見た場合の個々の企業のイノベーション(新結合)が新たな発展の原動力とするシュンペーター。彼によれば、不況すらイノベーションには必要だという。
本書は『いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ』という題であるが、お互いに相入れない二人の経済学の巨星の歴史をひもとくのが大部分を占めている。
2007年秋のサブプライム問題以後、2008年の「100年に一度」ともいわれる経済危機に際して、ケインズ経済学が「世界中で復活した」という記述がある(p.252)。本書には1980年代以降の経済の流れは記述にないので、少し補う。
ケインズ経済学は戦後、世界の多くの国で経済政策に取り入れられたのであるが、1970年台のスタグフレーション以後は衰退していった。その点、現代に至るまで興隆していったのが新古典派経済学である。いわゆる「ネオリベラリズム(新自由主義)」と呼ばれる政策パッケージであり、1980年以後は民営化や規制緩和が世界中で進められた。しかし、行き過ぎた規制緩和は不透明な投機マネーの流れを生み出し、その果てが今回のサブプライム問題とそれに付随する国際経済危機である。
この国際経済危機に対して、ケインズ経済学が復活したという。例えば、2009年1月に就任したアメリカのオバマ大統領は、総額8250億ドルの財政出動を発表するなど、ケインズ経済学への回帰が見られるのだ。その中でもオバマ大統領が「グリーン・ニューディール」を打ち出しているところが興味深い。何故なら、「ニューディール」というのは1929年の大恐慌を克服するために打ち出されたケインズ経済政策だったからである。
では、シュンペーターについてはどうか?
思うに、今日の日本は少子高齢化に伴う人口減社会への突入、あらゆる面での国際化を迎え、内的・外的に大きな変革期にある。このような変革期において、日本は科学技術に重点的に投資していかなければならない。新技術を開発し(科学の成果)、それを産業・経済活動に活かすこと(技術の成果)、すなわちイノベーションが今日の日本には必要なのである。新しい需要を生み出すためのイノベーション。まさにシュンペーターが指摘したことが今日の日本にもあてはまるのである。
(2009年6月19日)
(2010年5月22日 大学院生)
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同時代に生きたケインズとシュンペーターを比較論じたもの。
丁寧に読めば、得るものが大きそうなんだが。。。
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一見矛盾する二人の経済学。なぜ両方が必要なのか?
今、直面する経済問題について、2人の天才が遺したものを振り返る。
2人の処女作に始まり、ターニングポイントとなる戦争・恐慌、また彼らの名著を紹介し、
彼らが行き着いた考え・理論に触れる編年体といった構成だ。
まず彼らの主張を見ていくと
<ケインズの主張>
一国経済全体の活動水準は、供給側ではなく、需要の大きさで決まる。
言いかえれば、不況は需要不足によって起きる。
<シュンペーターの主張>
企業家によるイノベーションこそ、経済発展の要である。
またイノベーションは不連続であり、好況を生み出すものだが、
新しい均衡への調整(不況)が必要であり、不況なくして、経済発展はなしという。
お互いの注目すべきところを書き出すと
<ケインズメモ>
ケインズは投資が最も重要視されるべきものであるという。
→投資が孕む不安定性こそ、資本主義経済の変動すなわち景気循環の主因という。
投資が著しく落ち込めば、貨幣数量とは独立にデフレの原因となる。
投資が増えれば、GDPはその乗数倍に上昇する。
インフレの下で企業が行う事業はギャンブルとなり、投資の効用が劣化する。
→棚ボタで得た儲けは、心理的均衡を破壊となり、日本でいうバブル紳士に成り下がる。
「付和雷同」が正解となるゲーム。それこそが金融市場の本質。
<シュンペーターメモ>
1929年の世界恐慌は、第一次世界大戦後のイノベーションによって必然的に起きた不況だ。
金利は、あくまでもイノベーションの結果として生まれる実物的変数である。
イノベーションによって新しいモノが生み出されるから、需要が飽和することはない。
下記に示すマンキューの入門経済学で基本的な知識を漁ってからこの本に挑んだが
やはり経済学を専攻としていないので、わからないところだらけだった。
ちょっと経済をかじったくらいの人には、おススメできない内容となっています。
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20世紀前半の偉大な2人の経済学者の考え方を、その人となりを含めて解説した。ケインズは有効需要の不足を経済政策で解消する理論を提示したのに対し、シュンペーターは創造的破壊とイノベーションによる経済成長を論じた。日本経済との関係性は明示的には論じられていないものの、学ぶことが多い本である。(日経・福田慎一:2009/12/27)
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昨年の日経による、「経済学者に聞いた今年のベストセラー」みたいな企画で上位だったため、読んでみた。
タイトルは「いまこそ、~~学べ」となっているが、
金融危機後の世界経済に対して、二人の思想を用いると、
どういったアイディアが出てくるかという点の議論は意外と少なかった。
ただ、それを補って余りある、同い年生まれの
ケインズとシュンペーター両名の人生をたどりながら、
それぞれの思想を解説していく手法は読んでいて素直に面白かった。
経済の知識が多少いるかもしれないが、
(自分はそこまであるとは思わないけど)なんとかなるレベル。
最終章 二人の遺したもの (タイトルからすると、ここがもっと分厚い内容かとおもってた・・・)より、
「昔からあるモノやサービスに対する需要は必ず飽和する。」この点は両者とも一致している。
ここからが違う。
「ケインズは需要不足は与えられた条件だとして、政府による政策を考えた。」
「シュンペーターは、需要が飽和したモノやサービスに代わって新しいモノを作り出すことーすなわちイノベーションこそが資本主義経済における企業あるいは企業家の役割なのだと説いた。」
これは接点がないということではない。
二人の思想をつないでみると、
「有効需要の不足こそがマクロ経済の成長を阻害する。そういった不足を解消するイノベーション(需要創出型、Demand-Creating Innovation)こそがまさに、資本主義経済の根底を支えるものではないか。」
という主張が出来るという論調。詳細は載っていないww
この話をもっとほれればいいのに。でも、単純に読み物として面白かった。
以下、シュンペーターの考えの中での、「銀行家の重要性」についてのメモ。
新結合(イノベーションのこと)は、言ってしまえば「ベンチャー」
だからこそ、資金の出し手が必要。それが銀行家。
「銀行家は『新結合の遂行を可能にし、いわば国民経済の名において新結合を遂行する全権能を与えるのである。彼は交換経済の監督者である』」
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まず、自分の知識がたりず、理解しきれていない
とはいうものの、それは承知で購入した
問題はその内容であり、
『~~に学べ』というわりに、ほとんどが彼らの経歴云々に費やされている
実際、本書の目的は彼らの経済学を統合して現代社会に応用する
というものだったはずなのに、それに対するページは最後の10数ページほどしか割かれていない
それなりに学ぶところはあったものの
お金を返してほしい
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内容はともかく、もっとわかりやすく書いてほしい。
学べっていっているのだから、前知識が無い人にもわかるように。
ト、2010.27-29
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ケインズとシュンペーターの経済学の話
ケインズとシュンペーターの経歴から入るところから始まるので、ケインズとシュンペーターがなぜその学説を導きだしたかなどは、分かり易い。
ただ、この題にある
『今こそ』というところが、あまり触れられていない。
ただただ、ケインズとシュンペーターに関する本で、キャッチを売れるように作ったなという印象。
でもケインズとシュンペーターに関することは、これ一冊である程度わかると思われるので、経済学の常識としては一読の価値あるのかなと思う。
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吉川先生の素晴らしさが凝縮されている珠玉の一冊。本当の知識人はこういう文章を、読み手を惹きつけるように書けるものなのだろう。僕も先生のような人になりたい。興味深いテーマと、綺麗な日本語に痺れるが良い。
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同い年のケインズとシュンペーター、その違いと交差点を、経済書らしからぬ読みやすい構成で楽しめた。
s:企業家は単に生産要素を結合して生産活動を組織化するだけでなく新結合(イノベーションと呼ぶ)を遂行する
k:貨幣改革論
企業家を成金に変える事は資本主義に致命的な打撃を与える。それは不平等な報酬を許容する心理的均衡を破壊するからである。
k:一般理論 穴を掘って埋めるといった
無駄な公共投資ではない。Wise Spending
s:景気循環論 不況と回復は経済の進化のプロセスにおいて不可欠
ケインズは需要不足は与えられた条件だとして政府による政策を考えた。シュンペーターは需要が飽和したモノやサービスに代わって新しいモノを作り出すこと、すなわちイノベーションこそが資本主義経済における企業あるいは企業家の役割だと説いた。
2011.04.17
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ホントこういう事を大学時代にもっと勉強しとけば良かったと後悔しながらも大人になった今だからこそ面白い!!
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ケインズは主張した。豊かな社会が到来すれば、有効需要不足により「豊かさの中の貧困」が発生すると。人々は豊かになれば、もはやモノを欲しがらないからだ。
シュンペーターは言う。イノベーションこそが資本主義の枠を拡大し、需要を喚起し、資本主義そのものを発達させてきたと。
この2人を組み合わせることで、「需要創出型」のイノベーションができるのではないかと成長モデルを作ったのが筆者である。
その筆者が、なぜ今、ケインズとシュンペーターなのかという問いに対する解説をしたのが本書。