電子書籍
引き込まれた!
2017/03/19 15:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひまわり - この投稿者のレビュー一覧を見る
一気に読んでしまいました。
私の地元の鹿児島に来ていたことにもとても驚きました。
テレビでよくやってる捜索番組?で、外国人の人が「〇〇は△△にいる」って言うのは嘘100パーセントなんだなと笑ってしまいました。知人だとか知り合いだとかインタビュー受ける人も嘘ばっかりなんですね。私は結構そういうの信じてました(笑)
引き込まれて一気に読んでしまいました。
投稿元:
レビューを見る
リンゼイ・アン・ホーカー殺害事件の被告である市橋達也氏が逃亡をしていた2年7ヶ月の間、どこで何をして何を考えていたのか、という自身の手による懺悔の手記です。しかし、多様な読み方ができるものでした。
自分のプライバシーをあえて曝すリスクを犯しますが、僕は、この事件が起こったときに、実際に事件現場の近くにアパートを借りて住んでいたことがある。だから、当時の報道や彼が逮捕されて身柄を千葉県は市橋氏の市橋警察署にに移される際にニュース番組の映像に写った箇所は、実際に僕が当時通勤に使っていた駅で、大変びっくりしたことを覚えている。
この本はイギリス人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさんが殺害された事件の被告である市橋達也氏が東京→北関東→静岡→東北→四国→沖縄→関西→九州と。電車、船、バス、自転車、徒歩で転々と移動した誰にも語ることのなかった2年7ヶ月の逃亡生活をまとめた手記です。この本についてはずっと前から読みたいと思っていましたが、なかなかその機会がなく、先日、やっとその機会に恵まれたので、こうして記事を書いている次第です。
一読しての感想は、なんといいますか…。何通りもの解釈ができる本で、懺悔の記録としても読むことができますし、極限状況下で生き延びるためのサバイバル読本としても読めますし、日頃、僕たちには決して目に触れないであろう、職工として働く人間たちの姿を記録した貴重な記録としても解釈ができます。正直言って、事件を起こして警察の手から逃げ、青森に行くまでの『前半部」はあまり面白くなく、不謹慎を覚悟で言いますが少し読んでいて後悔しました。
しかし、『命短し 恋せよ乙女』で始まる有名な『ゴンドラの唄』の歌詞を彼が手帳に書き始めて以降の後半、彼が大阪は西成をはじめとするさまざまな飯場を転々としながら職工をはじめとする肉体労働に従事する後半部は俄然面白くなります。それは、まだ書くことはできませんが、僕も彼の手記に書かれてあることを何分の一ですが肉体労働をやっていたときに経験していて、日頃、彼らの日常はこうして活字になることはまずないので、そういう労働はいったいどういうものなのかということや、現場に入っての周りの人とうまくやっていく術を文字通り体で体得していく市橋達也氏の姿に感動すら覚えてしまいました。もちろん、彼のやったとことは許されないと踏まえたうえでです。
彼の目の前を通り過ぎていく人間たちのことは、『あぁ、こういう人は確かにいたなぁ』という自分の記憶ともリンクするからなのでしょうね。きっと。そんな彼もやがて、司直の手に落ちる日がやってきます。そのときの描写はあまりにもあっけないものでした。しかし、それが逆に『物語の終わり』にふさわしいのかもしれません。
彼は、この手記で発生した印税は受け取らないのだそうです。被害者の冥福を祈って合掌しつつ、彼の『その後』を案じずにはいられません。最後に、これを読んでから僕は『ゴンドラの唄』を久しぶりに聞きなおしました。この歌詞に共感できる感性があったということは、彼は『人間の心』は失っていないのだと、信じつつ、筆を擱��ます。
投稿元:
レビューを見る
帯にもあるように普通の小説では味わえない不思議な読後感がある。リアリティがありすぎる。リアルな話しだから当たり前なのだが。
しかし著者が著者なだけに賛否両論はあると思う。
読み物としてはとても面白かった。一瞬で読み終わった。
投稿元:
レビューを見る
これが秋に映画化されるらしい。いろんな批評はあると思うけれど、映画化されるとたぶん、警察から逃げている様子がリアルで結構面白くなりそうだ。といっても見るつもりはないけれど。
最後に3名の方の講評が載っていた。彼のファンクラブが出来ていたらしい。確かにイケメンということもあるけれど、どちらかというと日本中を転々としながら、圧倒的なサバイバル能力を発揮して生き抜いた一人の男・・というところがいいらしい。
また森達也さんの指摘は鋭い。ホストにならないかと誘われた時に断った理由を市橋は「僕には泥で汚れた仕事がお似合いだ」と書いている。でもこれは違って、断った理由はホストとして働いたら一発で市橋とばれてしまうから。確かにこの前後には必死で変装して逃げ回っていることを記述しながら、相反した自己陶酔的な文章をあっさりと書いてしまう。とある。彼の中で断った理由がすり変わっている。確かに。
投稿元:
レビューを見る
不謹慎かもしれませんが、結構面白かったです。
文章の構成や言葉の選び方が的確で、非常に読みやすかった。
市橋容疑者はきっと頭の切れる人物なのだと思います。
そうでなければ、この情報社会の中で2年7ヶ月も逃亡できるわけがない。本文中も割と自分自身を客観的に見ているし、警察の行動にも想像力が働くから、なかなか見つからない。
さて、この本に何を期待するかで読後感は変わってくると思います。
反省文を期待する人にとっては、絶対的に物足りないはず。時々、リンゼイさんに対する思いを吐露する場面が出てきますが、それも心からの反省という風には感じられませんでした。そもそも、反省していればとっくに自首していた訳で、その選択肢は市橋容疑者にはなかったのですから、反省文になりようがありません。
私は特に何も期待していない状態でこの本を開いたので、純粋にサバイバル本として、(改めて不謹慎だとは思いますが)面白かったです。国内にまだまだ、こんなにも身元がバレずに働ける場所があることや、離島で野草を食べて生きていたなんて、男子の冒険心をくすぐるところがありました。
青年がアイデンティティを求めて彷徨い歩くという意味では、ジョン・クラカワーの【イントゥ・ザ・ワイルド】に似ていると思いました。【イントゥ・ザ・ワイルド】の主人公クリスは「幸せは、分かち合えた時に現実となる」と理解しますが、時すでに遅く、餓死してしまう。市橋容疑者はおわりに「感謝」という言葉を出しますが、それはクリスに近い心情だったのではないかと思います。
人目を避け、長期間漂流していた市橋容疑者。その間に人との会話は全くありません。あとがきで香山リカさんが言っていた通り、おそらく殺害事件を起こす前の市橋容疑者も周囲の人間と深く関われなかったのではないかと思います。それが、漂流生活の末に土木現場で働くことによって少しずつ変わっていく。心を開くとまではいかないけれど、独善的な態度が少しずつやわらいでいく様子が読み取れます。
結局のところ、市橋容疑者は人との関わり合いが下手だったのだと思います。もし、彼がこの事件を起こす前に、アルバイトをしていたり、一人旅をしていたら、このような結末にはならなかったのではないかと。人間関係が下手だった昔の自分を思い返し、市橋容疑者の抱える闇は自分が過去に少し持っていた部分だったのではないかと、この本を読んで感じました。
投稿元:
レビューを見る
まず、本著を残した犯罪者の目的が何か。彼自身は、創作や表現にこだわりを貫くタイプでありながら、極めて高い自己防衛本能を逃亡中に発揮している。まあ、大丈夫だろう、という判断をしない。当然、神経は過敏であっただろうが、危険を察知した後、即座に逃げる判断を下し、実践し、僅かなリスクからの回避に成功し続けている。また、整形手術自体が逃げ切る事の表れだ。つまり、本著においても、そのような、自らを不利に追い込む言及をかなりの割合で避けたと考えられる。彼は、下されるべき「罪」からはまだ逃亡中なのである。巻末の精神科医らの評論は、参考にならない。これは、偽りの逃亡ストーリーだからだ。
このような人間が衝動的な犯行を犯すのか。その点に違和感が残る。記述は前段の理由で当てにならないため、推測するしかない。罰への恐怖はあっても、罪の意識は無いだろう。然りと生存のための利害計算もし、論理的な判断ができる。犯罪に走る精神状態。それは、こだわりであり、彼自身の自己防衛に起因する。つまり、殺人に至る前に、許されるだろうと踏んだ、犯罪予備行為が、非回避性を孕むものであったということだ。私の人生は、私のものだという、被害者の発言がどのような状況で発せられたか。社会から自らを守るため、取り返しがつかない事態を回避しなければならない。起点は、その顛末ではないか。勿論、想像の域を出ないが。
罪の意識はない、罰が怖いだけだ。法律とは、そのような心理状態を抑え込むためにも存在する。その隙間に、逃亡が存在する。そこには、誰しもが共感できるだろう。しかし、彼をそのような想像で、情緒的に許してはならない。逃亡が殺人に罪を上乗せしたことを、罰に課すシステムでなければ、社会秩序が保たれないからだ。
投稿元:
レビューを見る
読んでいて、ここまで苦しくなる本ははじめてだった。
著者の記憶がここまで残っていて、文章で詳細に書ける記憶力が凄い。
時折、読んでいる私まで苦しくて涙が出てくる文があり、辛かった。
強く心に刺さるような一冊。
投稿元:
レビューを見る
市橋が裁判対策に書いている感の強い、ノンフィクションとフィクションの中間のような中途半端な文章。色々と嘘が含まれているような気がする。
記憶が妙にクリアすぎるし、自己弁護的な脚色と思われる回想が散見される。
投稿元:
レビューを見る
なんというか、まるでロードムービー的な小説のようだ。
「なぜ人を殺したのか」
「人を殺した人間のメンタルはどのようなものか」、
といったことはあまり描かれていないが、
逃亡中の生活やそこに関わる人々の暮らし、
捕まるかもしれないという切迫感はとてもリアリティがある。
本人は賢く、タフで、行動力もある。
一般常識もわきまえ、プライドが高く、
かっと切れやすい性格も自覚している。
要はどこにでもいる人間だ。
殺人は加害者も被害者も人ごとではないということのようにも感じる。
話のおもしろさは★5つ、
懺悔という意味で書いたなら★2つ。
事実を正確に手記にしたようでありながら、
描写が妙に克明だったり、本人の美学が多分に
含まれていたりと、脚色はかなりあるように思える。
関係者にとっては、本人の点数稼ぎともとれる
この本の出版は複雑かもしれない。
個人的には満足した一冊。
投稿元:
レビューを見る
逃亡中の記憶をただ綴っただけの本。犯罪に至った経緯や考えなどは一切なく、ただ逃亡過程のみ。到底理解できない。書かれていることのどこまでが真実なのかもわからないけれど、優しさや人情に触れてもなお、逃げたいと思い死にたくないと願った彼の心はやはり、壊れている。後悔はあれど、反省はない気がする。
投稿元:
レビューを見る
犯罪そのものには殆ど触れず、逃避行を鮮明な記憶で辿る。真面な人でないのは明らかだが、何度も警察の捜査網を振り切り、ほぼ無人の島で自給自足生活を続けるサバイバル能力はなかなか凄いものがある。この手の本に対して、サムの息子法適用を日本でも求める声があるが、遺族への弁済を目的とする場合、判断が難しい。
投稿元:
レビューを見る
警察官を振り切って自宅マンションより逃走した日から逮捕されるまでの2年7ヶ月、どこでどのような生活をし、何を考えていたのか。
北は青森まで、そして四国、沖縄、関西、九州の各地を電車、船、バス、自転車、徒歩で転々と移動した。
英国人女性殺人事件で逮捕・起訴された市橋達也が「逃げたあと、捕まる」までを綴る。
投稿元:
レビューを見る
2017/6/16読了
犯人が主体になると、変に感情を入れ込んでしまうからいけない。
殺人をしたうえで逃亡をし続けた「悪者」だということを
しっかりと認識したうえで読み進めていくべきなのだ。
ただ、逃げる目的は「さらし者になりたくない」
という極めて自分本位のもの。
これだけでよくもまあいばらの道を走り抜けたものだ。全国を駆け巡り、2年7か月も生きてきたものだな。
そのバイタリティは本当に驚愕する。
「執念」すら感じる。
なぜ被害者を殺したかとか、自分のことについてはほぼ触れておらず、逃げる日々、時に働き、時に様々なことを思い、が少しだけ挿入されるだけの逃亡記。
この日本でこれだけ生活できる、というのもすごいというか、受け皿が存在しているというのも、ある意味救いなのだろうか。
彼は冷静で、時に怒り狂うこともあるが、客観的に自分を見ることができる。
ただ、自分で整形や抜糸をしようとしたり
ネコと奇妙な生活をしてみたりと、時折くるっている場面が見受けられる。
どんな人生でどんな過程でこうなってしまったのか
正直言って、手記の中ではわかることはできない。
ましてや、お遍路で被害者が生き返ると本気で思ってしまったりと、正気じゃない言い回しがところどころにある。
よくよく考えてみればとことん狂っているのだ。
逮捕されてから、今、彼は何を思うのかは知らない。
狂気の中で逃げている人はもしや我々の近くに存在しているかもしれない。
「読み物」としては、なかなかに面白いものであった。
ゴールデンスランバーをふと思い出してしまったり。
ただこの手記は許されたものではない。
投稿元:
レビューを見る
アマゾンの感想では評価が低く、エゴが目立つとあったが
この人は本当は繊細なんだろうな、と思った。
感謝を知らない、と文中にも何度かでてきてどんな幼少期だったんだろうと思った。
意外だったのは、逃げてるとき見つからないように変装したり、警察が見えるとすぐに職場を後にして逃げたりしてるくせにディズニーランドには行ってること。
よくわからないな。
まぁ、こんなことをする人の気持ちは一般の人には分からないか。
投稿元:
レビューを見る
賛否両論あり、内容も脚色されているだろうし、創作の部分もあるだろうが、本物の殺人犯が逃走した時の心理は興味深い。沖縄の島と大阪での土木作業を何度も行き来したようだが、いつか捕まることは十分わかっていたはずだ。なんとも後味が悪い本。でも最後まで読んでしまった。