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中公新書の昔のベストセラー。
最近文庫化されたようだが、古本屋に行けば100円で手に入る。
ヨーロッパでは肉が主食とされているが、その理由を農地やら社会制度、キリスト教とからめて考察する(本だった気がする)。
昔のベストセラーなので面白さは折り紙つきです。コストパフォーマンスは非常に高い!
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欧米(いわゆるキリスト教文化圏)の思想で
「まったく意味がわかりません」というあたりを
肉食(牧畜)に絡めてスパッと説明してくれます。
ついでに田んぼで米を作る我々日本人の
いわゆる「村社会」「島国根性」というものにも言及しています。
ははあ!って膝を打つことしきりですよ。
やっぱ食は人間を作る源なり。
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食生活と気候は切っても切れない。
当たり前です。
何故、日本人は肉食になれないのか。
さらに、何故日本では個人主義的思想は
そこまで浸透しないのか。
食生活と気候から
そこに住む人々の思想が形成され
それを裏付けるために宗教が形作られる。
既知の事項が多かったけど、
改めて読むとやっぱり面白い。
肉食文化は
動物界との隔絶が必須であった。
その為に宗教の名の下に
さまざまな掟を創り
人間を理性あるものと特別視する。
個人主義の原点も、
現世信仰の原点も、
全ては食から語られる。
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[ 内容 ]
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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[ 関連図書 ]
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ヨーロッパ(本書では広く北米も含む)はなぜ肉食文化なのかを、文化的地理的背景から解き明かし
さらに、肉食文化がヨーロッパ人の思想にどんな影響を与えたかを論ずる。
日本は米、ヨーロッパは肉とパン。
食文化の違いは主に気候と国土条件の違いによるものである。
確かにそうだ。
日本は稲作、ヨーロッパは畜産と麦作。
農業形態が違うのだから、自然、社会構成も変わってくる。
確かにそうだ。
この辺は納得できます。発見もあります。
ただ、ヨーロッパの肉食が人間中心主義や階層社会制の原因だと言われても何だかなー。
食文化や思想・社会制度の日欧比較は納得できるとしても
そこに因果関係があると言い切るための論拠があまりに弱い。
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ヨーロッパの肉食文化と思想の関連についてのお話。キリスト教が、ヨーロッパの人たちがなんでああも排他的なのかわかる。前半は独創的な発想の応酬で面白いけど、後半は肉食との関連がおぼろげにみえる思想の話。面白かったけど後半テンション下がるのがなー
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目次:
はしがき
Ⅰ ヨーロッパ人の肉食
ヨーロッパの家庭料理/日本との肉食率のへだたり/パンは主食ではない/肉食はいつから始まったか/来日欧米人の困惑
Ⅱ 牧畜的世界ヨーロッパ
日本では肉食はぜいたく/牧畜に適したヨーロッパ/ヨーロッパではパンはぜいたく/翻訳に困る「農業」/精肉業者の社会的地位/食生活と思想的伝統
Ⅲ 人間中心のキリスト教
動物を殺す動物愛護運動/人間と動物との断絶/伝統的な人間中心主義/キリスト教の結婚観/いとこ同士は結婚できない/キリスト教と宮廷愛(コートリー・ラヴ)
Ⅳ ヨーロッパの階層意識
「ほんとうの人間」を求めて/ぜいたくは支配者の美徳/現実社会を反映する身分制/立身出世の困難な社会/マルクス主義の背後にあるもの/インドのカースト制度
Ⅴ ヨーロッパの社会意識
パン食から生まれた社会意識/ヨーロッパにしかない村/都市の自由と市民意識/日本に見られない身分制国家/他宗を大いに誹謗せよ/他人のことが気になる
Ⅵ ヨーロッパ近代化の背景
輸出可能な近代思想/伝統への反逆と強い人権意識/伝統と妥協する民主主義/フィクションでなくなった「自由と平等」
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(1973.03.10読了)(1973.01.21購入)
(「BOOK」データベースより)
欧米人は、なぜ動物をと畜して食う一方、動物を愛護するのか?本書は、ヨーロッパ思想の原型を、歴史的・地理的条件に由来する食生活の伝統に求め、それに基づき形成された思想的伝統を明らかにし、日本とも比較しながら平易に説く。食という新しい視点で西洋の歴史を見直す、西洋史学究の問題作。
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日本と欧州の食事環境、日本にとって米が主食としてあり、あとはおかずと言う考えから、欧州にはその線引きが曖昧な理由を、地理的な環境を含めて説明。其処からキリストを基本とした宗教的考えや、階級社会まで発展している。そして、最後に欧州のごっこから独自解釈した日本における自由と平等が蔓延していると言うところまで持っていっている。欧米との残酷や動物への対応の差は未だに変わっておらず、理由を知る上でもこの本は最適かもしれないし、考えの差異が生まれる背景を知れるかもしれない。
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全6章構成
Ⅰ.ヨーロッパ人の肉食
Ⅱ.牧畜的世界ヨーロッパ
Ⅲ.人間中心のキリスト教
Ⅳ.ヨーロッパの階層意識
Ⅴ.ヨーロッパの社会意識
Ⅵ.ヨーロッパの近代化の背景
【1章】
欧米のの食卓には動物の形を残したままの肉料理が平気で運ばれてくるというエピソードからはじまり、日本と欧米の食卓を比較して、ヨーロッパ人の肉食の現状、歴史を中心に記述されている。また、鎖国解禁時の来日した欧米人(ハリスなど)の日本の食に対する困惑が記載されており、イメージも湧きやすくなっている。
ただし、p.11において、「日本とヨーロッパの肉食率を大きくへだてるのは、食生活パターンが、主食と副食を区別するか、しないかの一点につきる」という箇所には全面同意しかねる。著者は、「日本の肉食≒欧米化はままごと」というように記述しているが、現代ではさらに欧米化は進んでおり、パン食の割合もますます増えている。調べてはいないが、日本の食卓のイメージは特に都市部において変わりつつあるだろう。ファストフード店やスーパーマーケットの総菜コーナーが充実し、特に大学生などの下宿生はこれらの利用割合が非常に高い。そう考えると、日本でも必ずご飯粒を食べる、あるいはパンを食べる(主食的活用)というふうには必ずしもなっていないのではない現状が大いに想像できる。また、そもそも朝食を抜いたりすれば、主食副食の区別などできるわけもない。本書が出版された時分ではその説明が可能だったかもしれないが、少なくとも現在の様子にはなかなかあてはめられないのではないだろうか。
【2章】
pp.48-49にもまとめられているが、ここでは、主食と副食を区別しないヨーロッパの食生活パターンが、どのような条件のもとで確立したかを見た結果、ヨーロッパが牧草適地であり穀物栽培に向いていなかったために、穀物生産力は高くなく、低い生産力を維持することが大変だったことを明らかにしている。そして、そのように特有な風土的、自然的条件が社会的条件をも規制していることを、パリの中央市場や中世都市の肉屋組合の地位の高さから説明している。
面白いと思ったのは、よく日本の農業はその手間などから"gardening"と形容されがちなことである。日本と違い、欧米の農業とは、広大な耕地を整備して種をまき、収穫までは特に手を出さないものが農業"agriculture"なのであると筆者は記している。ここは日本と欧米の風土の違いを表している興味深い話だと思った。
【3章】
この章が一番興味深い。
なんでも筆者は、欧米の動物愛護団体は動物を飼えなくなると安楽死を勧めるように、殺すことより苦痛を与え続けることを悪しき者と思っているとし、動物屠殺と矛盾していない思想としている。詳しくは見れば分かるが、欧米の動物愛護はすべてそのようなタイプだというふうに考えている節がある。
しかし本当はそうではない。たしかに、筆者が言うように、動物の苦痛を第一に考え、苦しみ続けるくらいなら殺して楽にしようといった考え方は存在している。特に近年になってその考え方は、「動物福祉(動物福利、アニマルウェルフェア)」とよばれ、ラディカル���動物愛護とは一線を画している。
ちなみに、ラディカルな立場は「動物解放論」、あるいは動物権利を守るものとされ、いわゆる過激な愛護団体の活動の背景にある思想と考えられている。この立場が日本にはなじみにくいのは世の中を見ればわかるだろう。
動物解放論は様々な論者がいるが、大きく分けて、功利主義をベースとしたピーター・シンガーの立場と、義務論をベースとしたトム・レーガンの立場の2つが存在すると思う。
ここで詳しく記載することは難しいが、これについては伊勢田哲治の『動物からの倫理学入門』に詳しいのでそちらを参照されたい。
ともかくここでは、筆者の文章の整合性を高めるために、無理やり動物屠殺と動物愛護思想を両立させている気がした。別にこんなことしなくても4章や5章、6章などの社会階層やそれらが付随した人間中心主義が欧米と日本の差異に深く結び付いているとすれば十分だと思ったのだけれど・・・
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和食における米と洋食におけるパンの位置付けが異なっていることを、日本の米と欧米の小麦の生産方式を比べながら解説する。フランスでは豚の頭から臓物まで食べるのは、日本のようにおかずがなくてもとりあえず米を食べれば満たされる食生活と違い、パンばかり食べるわけにはいかず、家畜が身近であったという食料事情がある。
後半はヨーロッパの社会制度が中心で、肉の話はどこにいったのかといいう印象。
著者は大正11年生まれで初版は1966年という一昔前の本。
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西欧人の肉食の習慣から、彼らの生活意識や思想的伝統の形成を解き明かそうとした本です。
ヨーロッパでは、高い肉食率を維持するために、人間と家畜との間の断絶を極端なまでに強調する人間中心主義が生まれたこと、そして、こうした人間中心主義が、ヨーロッパ思想の根底だということが論じられています。さらに、ヨーロッパ人の階級意識や社会生活についても、同じ観点から考察がおこなわれています。
人びとの生活と精神との間にある種の照応関係が見いだせるというのはよくわかるのですが、本書を読むと、生活が人びとの意識を規定しているという決定論的な立場が背景にあるのではないかと感じてしまいます。しかし、肉食の習慣がヨーロッパの精神的伝統を決定しているというのは、言い過ぎではないかと、個人的には思います。
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人獣の境をヨーロッパ人が気にしているというアイデアはもっともだが、食人に対するかの人らの観念に触れられなかったように見え、残念。
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ヨーロッパ人の思想的背景には、動物と断絶した極端なまでの人間中心主義、社会的階層間の断絶がある。穀物が育ちにくい気候で、身近な家畜をメイン食材として屠殺してきた歴史的理由によるものである。
昭和41年の本で、結構重要かつ基本的な西欧に対する認識だと思うのですが、その後あまり意識されてこなかったのは何故なんでしょう。漸く最近になって、のように思うのですが。
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ヨーロッパでは、人間と動物の間に、はっきりと一線を課し、人間が上位である。
人間は、家畜と常に違うというところを見せる為に、ヨーロッパでは、一夫一婦制なのであり、聖職者に至っては、異性に触れない独身が尊ばれる。
これに対して、日本では、あらゆる物が神となる。動物も例外ではない。動物と人間の距離が、それほどないのだ。
日本昔話を読んでも、なんと動物が出てくる話の多いことか。
ヨーロッパで、動物は人間に食べられるために、神が作ったものだという。なんと、自分勝手な人種なんだろうか。
日本人に産まれて良かった。