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みにくいあひるの恋 2 死にぞこないの人魚姫
八月一日。学校にみんなで泊まって共同生活をする『夏期特別学級』が始まった。そんななか、陀衣とあひるが前よりも親しくなっていること――図書室で一緒にいたり、病院に連れさられ...
みにくいあひるの恋 2 死にぞこないの人魚姫
みにくいあひるの恋 2 死にぞこないの人魚姫 (MF文庫J)
商品説明
八月一日。学校にみんなで泊まって共同生活をする『夏期特別学級』が始まった。そんななか、陀衣とあひるが前よりも親しくなっていること――図書室で一緒にいたり、病院に連れさられそうになったあひるを陀衣が助け出したりしたことは、生徒たちの興味の的になっていた。お騒がせ女王・遊菊は、「二人を理想の公認カップルにしようじゃないか」と言い出して、あひるを怒らせてしまう。だが、遊菊の本当の目的が、あひるの『病』を克服する薬探しだと知って、陀衣はあひるの恋人役をつとめながら遊菊に協力することに。一方、陀衣の『妹』の茜子は、陀衣があひるに関わることに深く傷ついていて……。せつない思いが交錯するピュアなラブストーリー、第2弾!
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紙の本
理想と現実の狭間で揺れる想いと生じた亀裂
2009/12/30 23:17
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
前巻でのピュアと呼ぶにはあまりに無垢で透き通るような世界にたった一滴、しかしやけに重みのあるコールタールのごとき墨汁が垂らされたみたいな、そんな淀みのある内向的な心情が赤裸々に綴られた第2巻である。『恋の病』、『兄と妹(姉と弟)』といった設定に『恋人』たる他人との恋愛が加わってぐるぐる悶々とした行き場の無い感情が否応なく燻っていく展開。蛇衣にとっては『妹』たる茜子と『恋人』たるあひるは別物、きちんと話し合えば解り合えると理想的に考えるのだが、女性陣、特に茜子の心情はそんな簡単なものではなく、もとより多少壊れ気味のヤンデレなこともあって激しい嫉妬を覚えながら自虐的な思考も働かせてしまう。あひるはあひるで茜子のことを気に掛けながらも現状の蛇衣との関係に居心地の良さを覚えてしまう。この3人の理想と現実が交錯していくのだが、みんながみんな真面目というか人が良いのでどんどん自分を責める方向で悩んでいく、出口の見えない事実を知るにつれて悩みを深めていく展開に読み手も同調して何とも言えない閉塞感を覚えていくのである。そして、『恋の病』を治す特効薬が登場する。これがまた非人道的な不気味さを湛えたもので、本巻が醸すほの暗い重さを助長していく。サブタイトルにある「人魚」が、ある条件を満たして“生まれ変わった”存在として出てくるのだが、この辺りの展開は、あとがきに『現実を逸脱するような超展開はないので』とあるものの、かなりの超展開だと思う。そして実にやるせない結末を迎える。何だかいろいろと切なくてキツイ話だなぁ~というのが本巻の印象となろう。解決せずに次巻へ続くのでなおさらである。決して明るくないながらも新たな想いを胸に進み始めようとする蛇衣と茜子に対してあひるは思いっ切り置いてけぼりという哀しい結果を受けて次にどのような展開を迎えるのか、不安と期待が交互に膨らむばかりである。