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電子書籍
タイトルの魔力 作品・人名・商品のなまえ学
著者 佐々木健一 (著)
絵画や彫刻の展覧会で、作品のかたわらには必ずネームプレートが寄り添っている。音楽、小説、詩、戯曲…。いずれにもなんらかのタイトルが付されている(なかには「無題」というタイ...
タイトルの魔力 作品・人名・商品のなまえ学
タイトルの魔力 作品・人名・商品のなまえ学
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タイトルの魔力 作品・人名・商品のなまえ学 (中公新書)
商品説明
絵画や彫刻の展覧会で、作品のかたわらには必ずネームプレートが寄り添っている。音楽、小説、詩、戯曲…。いずれにもなんらかのタイトルが付されている(なかには「無題」というタイトルもある)。では、このタイトル、いつごろからどのように、作品と不即不離の関係になったのだろう。人の名前、商品のネーミングも視野に入れながら、藝術作品におけるタイトルの役割と歴史を考える、刺激に満ちた美学の冒険。
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紙の本
画期的なネーミング論
2002/02/18 18:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:神楽坂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
クラシック音楽では「交響曲第30番」のような番号だけのものより、タイトルがつけられた曲のほうが親しまれる傾向がある。商業的な立場からすれば、意図的に売れるネーミングを試みるのは当然だが、タイトルによって芸術的な価値までが左右されるのは複雑な気分である。タイトルは現代、その作品を象徴するに止まらない魔力を持つに至った。なぜ、タイトルが大きな意味を持つようになったのか。そして、そもそも、作品にタイトルがつけられるようになった経緯は何だったのか。この本の画期的なところは、それを美学という観点で解き明かそうとしていることだ。ネーミングのノウハウ本かと思いきや、内容は深い。
紙の本
タイトルが導くもの、方向づけるもの、その美学的アプローチ。
2003/04/04 12:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本、映画、テレビ番組、はたまた商品にいたるまでタイトルが占める比重はとても重い。商品の場合はネーミングなのだが。
たとえば、かのゴダールの処女作『勝手にしやがれ』。フランス語の原題は『息切れ』である。そのままで、当時の映画青年たちは、映画館へ足を運ぶ気になっただろうか。
タイトルの良し悪しでヒットするかしないかが決まると言っても決してオーバートークではないだろう。現に、あるタイトルが当たるや否や柳の下のドジョウよろしく似たタイトルのオンパレードととなる。競合商品が増えた方が、マーケットは大きくなるのだが、パイの食い合いで、そのマーケットは短命で終わってしまいがちなのだが。
本書は、タイトル、主に絵画、音楽、文学など芸術作品に関するタイトルの果たした使命と歴史について記されている。
まず、美術館でよく見かける光景について紹介している。そこには絵を眺める人々と絵のそばに貼られてあるタイトルや解説などのプレートを読む人々と二派に分かれるという。作者は、前者を審美派、後者を教養派と名づけている。圧倒的に後者が多いような気がする。
じゃあ、なぜ絵を見に行くのに、タイトルを真っ先に読もうとするのか。「タイトルを知らないと不安になる」からだと作者は言う。そして「われわれはタイトルを知る前と後で、画面が全く異なって見えることを経験」で知っているから。要するに「画題=タイトルによって初めて、画面は解読される」のだと述べている。作者はヴィトゲンシュタインのアスペクト(風景相)を引用している。
「わたくしは一つの顔を熟視し、突然ほかの顔との類似に気づく。わたくしは、その顔が変化しなかったことを見ている。にもかかわらず、それを別様に見ている。この経験をわたくしは「ある風景の認知」と呼ぶ」(『哲学探求』第二部 藤本隆志訳)。まさに、言い得て妙である。
しかし、「タイトルは言葉であり、この言葉は鑑賞体験を方向づけ、限定してしまう」のではないかとも。矛盾しているだろうか。否。多くの人は、タイトルがあると、安心するのではないだろうか。またおおよそ短いタイトルに作品が伝えたい世界観が集約されることで、なんとなく意思の疎通が図れる側面も見逃せないだろう。
本書はタイトルにテーマをしぼった新しい切り口で、最後まで、飽きさせることなく読ませる。タイトルやネーミングでお悩みの方にも、啓示となるかも。
紙の本
筋の通ったタイトル哲学
2001/12/14 09:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:白井道也 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一本筋の通った、読み応えのある本だった。最初に想像してたのは、例えば小説ではこんな面白いタイトルがある、商品ではこれ、絵画ではこれ、というような網羅的なものだったけどそうではなく、全編を通して「芸術作品のタイトル」に関しての半ば哲学的な考察だった。絵画のタイトルの歴史に関する記述の分量が多いが、それは絵画にはそもそもタイトルをつける習慣がなかったという特殊性からくるもので、多少難解な部分もあるけど、まぁ面白く読めた。
著者の佐々木健一氏に関してはまったく知らなかったけど、なかなか素晴らしい文章を書く人で、常に文章のテーマを意識しつつ、意識的に脱線しつつ、硬軟取り混ぜて議論を進めていくその力には並々ならぬものを感じた。
最近新書がアホみたいに発売されてて、たいがいは玉石の石なのだけど(最近の岩波新書もどうかと思う)、これに関してはさすが中公新書、という感じでした。
紙の本
テネシーワルツとメリーミルクをご存じ?
2002/01/12 21:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:chita - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルに惹かれて読んでみた。タイトルと言えば、ある物のIDで他との差異を図るものであり、最近ではマーケティングのための、いかにも注目を集めそうな書物のタイトルも多くなったという印象があるが、本書では、タイトルは「なまえ」であって、名前はタイトルではないと書いてある。そうするとタイトル自体の定義は何なのか? 「なまえ」と名前の違いは何なのか? そこが今ひとつ理解できませんでした。
更に、テネシーワルツをご存じですかと聞かれ、メリーミルクについて語られて、ずいぶん前の話題だなあと思ってみたら、著者は昭和18年生まれ。国際美学連盟会長という肩書もあって、美術関連の話題は豊富なのですが、ちょっとジェネレーションギャップを感じてしまいました。