紙の本
不思議な世界<ファンタジウム>へようこそ
2009/03/03 15:38
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぱせりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公の少年は難読症という障害を持つ天才マジシャン。
こう書きますと、障害を抱えた少年がけなげにマジックの世界で身を立てていく話かと思われますが、主人公の良はどこまでも淡々としています。
コンテストの時も「少年マンガのように勝負に燃えろよ」といわれても「え、なんで?」とこたえるくらいに。
難読症というのは、知的能力は普通かむしろ高いにもかかわらず文字の読み書きが非常に困難に感じる障害なのですが、良は難読症であるために本もマンガですらほとんど読んだことがないと思われ、それゆえ思考が他者に向かうことなく自己の内面に向いたのではないのかと感じさせられたエピソードです。
それほど、良の内面に対する思考は深く、物語とマジックの世界に奥行きを与えます。
杉本亜未は昔から「欠けたもの」をもつ人たちを描いてきたように思います。
その「欠けたもの」を埋めようとするのか、「欠けたもの」は「欠けたもの」として受け入れようとするのか、人によって解決法は違うのでしょうが、「ファンタジウム」を読んで、なにかが「欠けた」状態にどうしようもなく惹かれてしまう自分を自覚しました。
良は自分を「何かが欠けた」状態とはおそらく思っていない。こちらが思っているだけなのですが、時折見せる良の思いのほか子供っぽい表情に勝手に救われてしまうのです。
ところで良の保護者になる北條英明が一流大学卒の会社員とはいえ、都心の高層マンションの上階に住み、レクサスに乗っているという辺りがすでにファンタジーな気がしますがマジックという常ならざる世界で不思議を生み出していくにはパトロンはこれくらいでないといけないのでしょうか。
紙の本
心の動きが丁寧に
2021/04/02 11:42
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんの気無しに読み始めたのだが予想もしない傑作マンガであった。ハンディキャップを持った子供の成長物語 といえばそれまでであるが、主人公の そして周辺人物の気持ち 感情 心の動きが丁寧に描いてあってとても心地よい。と奇異な才能であるだけに その才能を利用して一儲け企む なんていう誘惑も出てきそうだが、暖かく しかも真剣に主人公をもり立てようとしているとこが良い。
紙の本
時代を先取りした名作
2020/03/14 17:16
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投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
発達生読み書き生涯(ディスレクシア)の少年とサラリーマン主人公の出会い。少年のほうが世慣れていて、サラリーマンの方が世間知らずというのがミソ。
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マジックのスバ抜けた才能を持つ少年は難読症だった。少年と出会い、日々の生活で埋もれていた夢を思い出した社会人のお話。マジックシーンがすごいです!!
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だいぶ前から気になっていて、ようやく本屋さんでめぐり合いました。
期待通り、面白い!
昔の作風とは全然違うけれど、味があって好きだなあと思います。
マジック好きな方に是非。
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杉本亜未先生と言えば「独裁者グラナダ」は短いながら本当に傑作で、なんでこの人BLジャンルにいるんだ?と常々疑問だったので、一般誌で連載してくれてすごく嬉しかった。
天才少年マジシャンの話、と聞くと「今時マジック漫画?」とツッコミを入れたくなるところだけど、主人公の長見良は難読症なんです。
難読症は、知能に全く問題はないのに、読み書きだけが困難という学習障害の一つとして、近年トム・クルーズが自分は難読症だと告白したことで話題になりましたね。
しかし、このマンガの主題は、別に「学習障害あるけど負けずに頑張ってますよ」ということではないんですよね。「他人と分かり合えない孤独」を表現する手段として難読症を描いている。
良は、自分を見出して様々な面倒を見てくれる北條を信じて頼っているけど、その北條でさえ、本当の意味で良の障害がどういうものか理解できてない。でも、良はそんなことで絶望しない。
信頼している相手でも、理解し合えないことはある。理解できない相手とも、信頼し合うことはできる。
新聞か何かの受け売りですが、<共感>とは結果ではなく、<共感しようとする>努力のプロセスが最も大切だと私は考えています。人を救うのは、自分と違う人の心を想像する温かさと、わかろうとしてくれる人の存在であって、他人同士が全てを理解し合うのは不可能であり、またその必要もないのです。
様々な苦労や努力、周囲の厳しさも優しさも、希望も絶望も、魔法のように感動的で美しい良の手品を形作る土台なのですね。
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懐かしい! と思ったのは昔『アニマルx』を描いていた方なんですね。設定が上手い。いい話です。
マジックのシーンも見せ場として充分に魅力的。やっぱり漫画表現はいいなと思いました。どうでも良いけど、二巻が売ってないんだよな。
早くみたい!
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この作品はすごくいい。
俺の中で今の所2009上半期BEST1。
主人公と相棒の年齢差、主人公の持つ障害など
難しい心理状態が違和感なく描写されていてすごいし、リアルを感じる。
是非、見てみて。
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書店の試し読みで1巻だけ!難読症の天才マジック少年のお話、とあまりなじみのない題材なのですが読み始めると本当に面白くて、そのままわーっと1冊を読み終わってしまいました。骨太で小気味よくて、泣けて、マジックもの云々というより、漫画としてすごくおもしろかったです。主人公の良くんがとても魅力的。
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15才の天才マジシャン・長見良と、その才能にほれ込んだサラリーマン北條のサクセスストーリー。
難読症というLD(学習障害)のために学校や社会になじめなかった良にとって、マジックはかけがえのないもの。
北條は良の才能をもっと大きな舞台で活かして成功させてやりたい、と思っている一方、良にとってはマジックは他人と競争して勝ち上がったり、優劣をきめるものではなくて、ただ楽しむもの。
それでも、いままで周りにいなかった初めて自分を認めてくれた北條を信じて、だんだんとマジックの広い世界へと踏み出してゆく。。
理不尽な大人たちの言動や学校のいじめではどこかすれていて、ふてぶてしいくらい堂々としている良でも、
北條の前では、ただの子供の表情を見せたりするところがなんだか可愛い。
既刊4巻。続きが気になります。
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アニマルXの作者がモーニング2で連載してたとは!!
びっくりしたのもあり、アマゾンレビューで好評だったのもあり、読んでみたところ、
評判どおりの面白さでグイグイと物語に惹きこまれました。
マジックだけではなく、障害者や周りの大人たちのメンタルにも焦点をあてていて、
非常にリアルさを感じます。名作になる予感が!
ただ絵柄が地味なので最初はとっつきにくさがあるかもしれません。
私は好きですけど…。話題になってほしいですね。
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某情報番組で三浦しをんさんが絶賛していたから読んでみました。
読んで正解でした。
祖父にマジシャンを持つ青年と、その弟子で難読症の少年の物語。
少年がマジックで人々の心を魅了していく場面は見物です。
読んでいて今にも本の中から出てきそうな勢いとテンポよいリズムには心躍ります。
また、難読症ゆえの問題もあり、深く考えさせられます。
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すごくすごく素晴らしい作品!もっと広く読まれて欲しいと思う作品の一つです!
良くんの達観ぶりが哀しい。北条さんと出会えて幸せだったと思えるような、そんな日が来ればいいと思う。良くんにとっての幸せを、一緒に分かち合ってくれる、北条さんがそういうひとであったらいい。
だから北条さん、もうちょっとしっかりしてくれ! 1巻の時点では、頼れる人かな、と思わせてくれてたのに、どうしちゃったの北条さん。でも北条さんの悩みもわかるので、どうにかして2人でまた一緒に歩んでいける展開になればなぁ、と私は願ってる。良くんにとっての幸せを叶えてくれるひとが、北条さんであればいいなぁ、と私は願ってる。
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4巻まで読了。マジックの漫画て面白いのか?と侮って読み始めたら、読む手止まらず。マジックの良さはもちろん難読症という病気を知る意味でも、読む価値あり。13歳の主人公の達観ぶりがなんとも…。
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天才的な手品師が主人公という、過去にないマンガ。
綺羅びやかなステージの様子を描ききってるところがいい。ストーリーはもうすこしひねってほしいかもです。