紙の本
情報の経済学がわかる。
2004/05/19 00:37
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:健忘 - この投稿者のレビュー一覧を見る
2001年度のノーベル経済学賞は、アカロフ、スペンス、スティグリッツの3氏が受賞した。受賞理由は「非対称情報下の市場経済」の経済分析に貢献したことによる。この理論、昨今、情報の経済学として流行っている。要約すれば、市場において、情報の完全性が成立しない場合、具体的には、中古市場や保険など不確実性が存在するときの経済分析である。この不確実性という状況が80年代以降、経済のグローバル化の拡大とともに注目されてきた。その状況を分析する経済学として、受賞したのであろう。
本書は非対称情報の経済を、伝統的な経済学の限界を指摘することから解き明かしていく。そして、伝統的な理論である完全競争市場では、市場の失敗や貧困問題の解決などの経済問題は生じなくなる、と述べる。ここに現実とのギャップを見て問題を提起し、完全競争市場の前提となっている“情報の完全性”を非現実的な前提だとして、非対称情報の世界での市場経済を解説している。その過程で、非対称情報の経済学を構築した3人の経済学者のうち、スティグリッツ教授の理論を紹介している。本書の特徴としては、従来の情報の経済学がどちらかというとミクロ理論を中心に論述されていたのに対して、マクロ理論の領域にも踏み込んで、失業問題や賃金の下方硬直性、貸し渋り問題なども非対称情報の経済学で分析しているのは目新しいところだろう。また、昨今、議論されている、コーポレートガバナンスの問題やモラルハザードの問題も論述されている。
本書は大学一年生などに解説したものを、ビジネスマン向けに通勤電車で読めるように書き下ろしたという。確かにこの手の本の中ではやさしい部類だと思う。しかし、3章までと4章以降ではレベルが違う。4章以降はどちらかというと経済学をある程度マスターした人が読むと良いと思う。このようなレベルの違いはあるにしても、この分野の入門書としてはお薦めの一冊だ。
紙の本
おおよそミクロ経済学のあらましがわかっていることが望ましいのと思います。
2016/04/20 22:57
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投稿者:simon.n - この投稿者のレビュー一覧を見る
20世紀後半ころから勃興しはじめ、近年かなり注目されるようになってきた情報の経済学の入門書と言えると思います。ただ、経済学初心者にはとっつきづらいかもしれません(そもそも初心者の方はこのジャンルにあまり手を伸ばさないのかもしれませんが)。
私自身学校のミクロの講義では市場の競争環境について「情報の対称性」という観点では習わなかったため大変参考になりました。よくよく思い出すと、たしかにミクロ経済学では金融機関が出てこないけど、そういうことだったのかという発見がありました。このジャンルに興味のある方にはおすすめできるかなと思います。このレベル感であればこのくらいの数式でも十分に理解できるのではないでしょうか。
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スティグリッツの教え子の藪下さんが書いてます。情報の経済学を簡単にサラッと勉強できます。ちゃんとした教科書としては不十分かもしれないけど、手軽に読めました。
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ノーベル賞を受賞したスティグリッツの功績を称えるためのような本。内容としてはレモンの市場や保険においてのモラルハザード等々を説明している。スティグリッツの説明以外は、標準的な経済学のテキストの中からタイトルの部分を抜き出しただけの内容。
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モノの価格は需要と供給の関係で決まると経済学は言う。でも実際に値段が決まる過程ってホントにそれだけかなあと疑問に感じる人は多いはず。本書は売り手と買い手の情報格差からそういう疑問に答えてくれる。経済学は初めてという人にも分かりやすく、入門書にもなる。
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経済学という堅苦しいイメージを持って読むと読みやすさに驚くはず。シンプルにかつ重点は丁寧に新経済学理論を教えてくれるこの本。偏見を持たずに読めば、大体は理解できると思う。情報によってより左右されやすくなってる現代社会において、古典派経済学理論やケインズ経済学は時代遅れだと言っている。情報がいかに大事か、情報がいかに市場に影響を与えるかを紐解く事ができる。スティグリッツ著の入門経済学と合わせて、読んでおきたい一冊。
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ノーベル賞経済学者スティグリッツの弟子筋の方による、「情報の非対称」についてやさしく解説した本。ミクロ経済の知識がなくても読めるように、最初に需要・供給曲線の説明があるなど丁寧。
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現在、経済学・経営学の両分野から注目を浴びている情報の経済学の紹介。その理論の貢献者の1人であるスティグリッツのお弟子さんによる本。この理論は従来の経済学(新古典派経済学)と対比すると、その特徴がよく分かる。それゆえこの本でも所々で従来の経済学の見方がおさらいされており、非常に理解しやすくなっている。
ただ、あくまでも新書レベルなので、この分野の「雰囲気」は伝わってくるが、それ以上に勉強したいと思うなら、やはり「スティグリッツ経済学」シリーズ(東洋経済新報社)を読むべきなのだろう。
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この本を読むと,何故世界は不合理かということがよく分かってくる.それを自分の人生にどのように活かすか?ということを考えるようになる.
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これまでの経済学の限界
そして新しく出てきた経済学について
やさしく理解出来た?
ちゃんと読めばね!!
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新古典派経済学の仮定を覆す1冊。
スティグリッツ経済学の入門書です。
経済学の勉強を始めたくらいの人でも簡単に読めます。
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情報の非対称性という概念を知りたい、と開発経済の先生に聞いたらお勧めしてくれた本。
薄いし、読みやすい。
「新しい経済学」とよばれるこの分野が、スティグリッツやアカロフといった開拓者の途上国での経験をもとに生まれた、という原点を知って、
いままでの経済学で説明できない不可解なことがらは新しい経済理論をつくって説明しようとするのが経済学者なんだなぁ、とわかった。
そして自分のとりたいアプローチは経済学ではないなということも直感できた。
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モラルハザードや逆選択について簡潔にまとめられている。
これからの時代、人の行動を経済学的に分析することはより重要になってくるはず。
半歩進んだ視点を大切にしなければ~
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現在我々が直面する保険や中古車市場の問題に関しても売り手と買い手の持つ情報のズレが存在する。これらの問題は情報化社会・成熟社会で必然的に起こる。情報の非対称性により変化する需要供給曲線の説明も簡単にされている。
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簡単で物凄くわかりやすく書かれているのはいいんだけど、タイトルに「入門」とか一言入ってたらもっと良かったし星5だったと思う。
伝統的な新古典派ミクロ経済学の限界を提示して、スティグリッツと非対称情報の経済学の略歴、そして非対称情報の経済学の解説って感じ。
確かに今習ってるミクロ経済学の理論では現実を描き出すのに限界があるんだろなってのわかる。まぁ今は教科書で非対称情報下での動きもモデル化して載せてるけど。
非対称情報の経済学ではモラルハザードと逆選択がメインなものなのかな、この二つをさまざまな例を挙げて説明。保険や中古車市場ってのは有名な例さね。
また安定性や公平性と効率性を同時に達成するのは非常に困難で、どちらかを優先するならどちらかを犠牲にしなければならないって当たり前の話も深みを持って納得できた。
日本の雇用制度にもそれなりのメリットがあること、そして制度が「ナッシュ均衡」であるとゆうのも新しい視点。
そして非対称情報の経済学をマクロにも応用して、効率賃金理論や屈折需要曲線、金利と非対称情報についてなども勉強になったし。
またこの本を通して初めてバランスシート不況とゆうものをおおまかに理解できた。
日本に必要な改革は単なる規制の撤廃だけではなく、情報の非対称性をなんとかすることとインセンティブを高める租税制度などもっと考えなきゃならないことがあるんだとも実感。