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秘密の花園
インドで両親を亡くしたメアリは、英国ヨークシャーの大きな屋敷に住む叔父に引きとられ、そこで病弱な従兄弟のコリン、動物と話ができるディコンに出会う。3人は長いあいだ誰も足を...
秘密の花園
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秘密の花園 (光文社古典新訳文庫)
商品説明
インドで両親を亡くしたメアリは、英国ヨークシャーの大きな屋敷に住む叔父に引きとられ、そこで病弱な従兄弟のコリン、動物と話ができるディコンに出会う。3人は長いあいだ誰も足を踏み入れたことのなかった「秘密の庭」を見つけ、その再生に熱中していくのだった。『小公女』の作者が、淡々としかし力強く綴った、大人が読んでこそ胸に響くアメリカ児童文学の傑作。
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紙の本
記憶の中の『秘密の花園』を払拭する新訳。
2007/08/11 22:59
18人中、18人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:求羅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大人になって『秘密の花園』を手に取ることに、なんとなく気恥ずかしいものを感じるは私だけだろうか。
『秘密の花園』は、バーネットが子ども向けに書いた児童文学作品である。私がこの作品を初めて読んだのは、小学生の時。「子どものための世界名作文学」シリーズの中の一作で、『ひみつの花園』として集英社から刊行されていたものだ。
私が子どもの頃読んだものは、読みやすいように物語が短くまとめられていた。だがそのことを差し引いても、本書は私が覚えていた『秘密の花園』とは別モノで、驚いた。
まず、主人公のメアリの様子を描写する冒頭から違和感を抱く。淡々とした文体が続き、“かわいげのない子供”・メアリが、ここで強く印象づけられる。私の記憶の中のメアリは、もう少し可愛い女の子だったはずなのだが・・・。
本書では、メアリや病弱なコリンのわがままぶりが容赦なく描かれ、バーネットが単に子どもを“純粋で無垢な存在”と考えていないことが分かる。このあたりは、巻末に優れた解説があるので、多くは触れない。
ただ、私はこの作品を、「10年間閉ざされていた庭を子どもたちが甦らせることで、家族の再生も果たす」という幸せなお話と解釈していたのだが、物語はもっと複雑で、「こんなに奥行きのある作品だったのか」と目が覚める思いがした。
例えば、メアリや叔父、息子のコリンの孤独な心の内の根底に、逃れようのない“死”が横たわっていること。あるいは、生命力の象徴である庭は、同時にコリンの母親の死をも思い起こすという逆説。
本書では、“生”と“死”が混然一体となって存在する。荒れ果てた庭の再生が可能だったように、たとえどんな不幸に打ちのめされたとしても、そこから再び甦る力も、人間の中には宿っている。
コリンは「魔法」という言葉を用いているが、それが「生命力」というものなのだろう。この作品を読んで、心にあたたかいものが広がるのは、自分の中にある、計り知れない力の存在に気づくからなのだと思う。
訳者あとがきによれば、原書は意外なほどそっけない文章なのだという。「大人が読む作品として、手加減なしの文章で『秘密の花園』を翻訳することにした(P.503)」との思惑通り、児童書というより、大人の心を打つ作品に仕上がっている。
読後、気になって手元の『ひみつの花園』を読んでみたが、やはりメアリはもっと可愛く描かれていた。コリンの癇癪も控えめである。同じ作品でも訳が違うと、伝わる雰囲気はこれほど異なるのである。「今さら『秘密の花園』なんて・・・」と思っている人にこそ、是非、読んでほしい新訳である。
紙の本
贅沢な育ち方でも楽しくない子供たち。現代の子供にも通じる、子育てについて考えさせられる。
2007/10/19 10:56
13人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
我儘に育ち、突然両親を失った少女が叔父の家に引き取られる。急にまったく違う環境に放り込まれて成長する子供、というプロットは、同じ著者の「小公子」「小公女」と似ているところではあるが「秘密」「花園」という言葉のせいか、想像をかきたてる「児童文学」である。
子供の頃に読んだ「子供向け」の翻訳がどうだったかの記憶はもうないので比較のしようもないのだが、この光文社の新訳はきちんと大人も読める文章に訳されている。淡々としているのに容赦ない、子供の性格描写。移り変わる自然を描写する美しい文章。子育てに関する格言のような鋭い言葉。大人になって読んだほうが味わえる部分がたくさんあることがわかった。
主人公メアリは、はじめ不機嫌で可愛げのない「つむじ曲がり」の性格と書かれている。お話もなんだかじめじめと始まる。その中に「人は笑うとずいぶんいい顔になるのだな、と思った。」といった文章がきらり、と現れ少しホッとさせられる。お話が進むにつれ、この「きらり」が増えていき、ホッとがにこり、にこりがくすり、くすりがあはは、と楽しく引きこまれていく。子供にも楽しいお話だったはずである。コマドリなどの野生動物との交流、広い庭や古い屋敷の探検もわくわくさせられる。
だんだん明るくなってきたメアリが、もう一人の我儘で不幸な少年コリンと対峙する場面は「正しい喧嘩」を見るようだった。「コリンの父親は、息子が起きているときに会いにくることはめったになかったものの、息子が楽しく過ごせるよう必要なものを惜しみなく与えていた。けれども、コリンは少しも楽しそうではなかった。コリンは望むものをすべて与えられ、望まないことは何ひとつ強いられずに育ってきたようだった。」「子供にとって最悪なのは、一つは何も望みどおりにならないことで、もひとつは何でも望みどおりになっちまうことだって。」これらの言葉は、現代の子供たちにも当てはまる部分が大いにあるのではないだろうか。(この頃は大人になっても、望みどおりにいかなくてぐずってしまったり病気になってしまう「子供」が多すぎるし。)
この物語の子供らのように、自然の中で喧嘩をしながら育ったほうが良いのかも知れない子が今でもたくさんいるに違いない。ただ、この物語のように「安全な野外」がもう望めない。どうすることがよいのか。大人になった
今読むと、そんなことも考えてしまう。
子供の頃「少年少女文学全集」などで子供向けの翻訳を読み、なんとなく記憶にある本はもう一度読んでみたらよいものが結構あるかもしれない。この本もそんな一冊だった。
光文社の古典新訳シリーズは「ちいさな王子」「飛ぶ教室」など、そういった「読み直し」のチャンスを大人にくれるとても楽しみなシリーズでもある。
電子書籍
すばらしい再生の物語
2017/01/31 08:24
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ME - この投稿者のレビュー一覧を見る
2017年始のNHK ラジオの朗読がすばらしく上手でこの本を読んでみる気になった。朗読ではメアリが変わっていくにつれて声の調子も変わっていくが、本を読んでいてもはっきりと分かった。自然や鳥、動物、人間、生きていることはすばらしいと思わせる本である。
紙の本
アメリカの児童文学を代表する大傑作です!
2020/05/11 11:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、19世紀から20世紀の初めに活躍したイギリス生まれのアメリカ人小説家フランシス・イライザ・ホジソン・バーネットの代表作です。内容は、イギリス植民地時代のインドが舞台となっており、官吏の一人娘メアリー・レノックスが、仕事人間の父と遊び惚ける母に放任され、我儘で気難しく、孤独な少女に育ってしまうという物語です。ある日、悪性のコレラの流行により両親や使用人たちが急逝、父の同僚に発見されたメアリーは、イギリスのヨークシャーに住む、血の繋がらない伯父クレイブンに引き取られることになりました。メアリーは 伯父の家で病弱な従兄弟のコリン、動物と話ができるディコンに出会います。そして、三人は長いあいだ誰も足を踏み入れたことのなかった「秘密の庭」を見つけ、その再生に熱中していきます。果たして、メアリーや少年はどうなっていくのでしょうか?アメリカ児童文学を代表する大傑作を、ぜひ、味わってください。
電子書籍
半世紀を越えて
2017/01/26 02:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くうとん - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学校低学年の時夢中で読んだ大好きな本、それを原文からの翻訳で読めるなんて本当に感動です。今こうして作者の生い立ちにも触れ、大人の感覚で読んでまた、少しだけ違う花園も大好きになりました。少女の頃のワクワクした記憶を思い出しながら、大人にこそ楽しんで欲しい本だと思います。