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オランダ風説書 「鎖国」日本に語られた「世界」
著者 松方冬子 (著)
日本人の海外渡航を禁じた江戸幕府にとって、オランダ風説書は最新の世界情勢を知るほぼ唯一の情報源だった。幕府はキリスト教禁令徹底のため、後には迫り来る「西洋近代」に立ち向か...
オランダ風説書 「鎖国」日本に語られた「世界」
オランダ風説書 「鎖国」日本に語られた「世界」
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オランダ風説書 「鎖国」日本に語られた「世界」 (中公新書)
商品説明
日本人の海外渡航を禁じた江戸幕府にとって、オランダ風説書は最新の世界情勢を知るほぼ唯一の情報源だった。幕府はキリスト教禁令徹底のため、後には迫り来る「西洋近代」に立ち向かうために情報を求め、オランダ人は貿易上の競争相手を蹴落すためにそれに応えた。激動の世界の中で、双方の思惑が交錯し、商館長と通詞が苦闘する。長崎出島を舞台に、「鎖国」の200年間、毎年続けられた世界情報の提供の実態に迫る。
目次
- 第1章 「通常の」風説書
- 第2章 貿易許可条件としての風説書
- 第3章 風説書の慣例化
- 第4章 脅威はカトリックから「西洋近代」へ
- 第5章 別段風説書
- 第6章 風説書の終焉
著者紹介
松方冬子 (著)
- 略歴
- 1966年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。同大学史料編纂所准教授。著書に「オランダ風説書と近代日本」がある。
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紙の本
日本とオランダの関係だけでなく、本書の隠れた主題である17世紀から19世紀までの「東南アジア」について関心をもつ人にも、ぜひ一読をすすめたい
2010/06/06 15:47
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
情報と貿易を軸にした関係であった江戸時代の日蘭関係。日本とオランダという、現在でも実利優先のプラクティカルな傾向の強い二国民の関係を「オランダ風説書」の解読成果をもとに、時系列で通観した本書は実に面白い。
本書の特徴は、海外商品と海外情報を必要とした日本側(=江戸幕府)だけでなく、商品の販売先としての日本市場を独占するために情報を徹底的に活用したオランダ側(=オランダ東印度会社、のちにオランダ東インド政庁)の状況を十二分に押さえたうえの、実に読みやすく、実に興味深い内容の日蘭関係史となっている。
戦国時代を生き抜いて成立した江戸幕府は、現在の東南アジア海域を舞台にした欧州勢力の動きをつねにモニターしていた。武力ではとうてい欧州勢力に対抗し得ないことを熟知していたために実行した「鎖国」のわけだが、「戦わずして勝つ」ために海外情報を必要としていたのである。この点はもっと知られてよいことだ。しかも、様々なソースからの海外情報を付き合わせて、クロスチェックも行っていたようだ。
江戸時代の日本は、朝鮮との「対馬口」、琉球との「薩摩口」、アイヌとの「松前口」、それにオランダ、シャム、清との窓口であった「長崎口」の「四つの口」による「管理貿易」体制が実態であった。だから「鎖国」とあくまでもカッコ書きとなる。そのなかでも、長崎だけは江戸幕府が直接管理していたのは、九州の諸大名のチカラを恐れていたからであり、西洋との窓口を一本化するためであった。
当時のオランダは、世界最古の株式会社といわれる「東インド会社」の拠点をバタフィア(・・現在のインドネシアの首都ジャカルタ)に構えていた。17世紀はオランダの黄金期であり、欧州における貿易と情報流通の中心地であったが、最盛期は意外と短く、覇権は英国に奪われる。
アジアが天下泰平を楽しんでいた間には欧州は激動期に入り、19世紀初頭には欧州の激動によりついにオランダは一時的に欧州の地図から消える。欧州によるアジアの植民地化が本格的に進行するなか、ついに米国主導により日本は「開国」、以後グローバル政治経済の波に再び飲み込まれた日本にとって、オランダ情報の価値は激減し、ついに「オランダ風説書」は廃止される。そして日本は明治維新を迎えることになる。
日本とオランダの関係だけでなく、本書の隠れた主題である17世紀から19世紀までの「東南アジア」について関心をもつ人にも、ぜひ一読をすすめたい。
紙の本
国際交流
2020/01/08 06:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
海外との接触が限られていた時代の外からの情報の収集に躍起になっていたことがわかる。風説書の具体的内容が少ないのが残念。