紙の本
モノやサービスの値段の決め方がよく分かる
2010/08/21 11:24
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
意外でインパクトのあるタイトルである。最初に見たときは「?」と思ったが、著者は「クルマの販売方法が大きく変わる可能性」があることを感じている(はじめに)。実際にヤマダ電機では大阪で販売を始めているという。コスト競争や販売経路の多様化によりクルマが家電と同じ道をたどる可能性があると彼は考えている。
従来、クルマは資産と考えられてきたから、それなりの価格が付けられ、その仕組みが維持されて来たと思うが、そんな時代も崩壊するのであろうか?日本人のクルマ離れも進んでいる。単なる移動手段としか考えない人もいる。安い海外メーカー製品の大量流入もありうる。電気自動車の時代が近づき、電機業界が自動車製造に参入する可能性もある。家電と同様な製品と見られる時代がすぐに来るかもしれない。
本書はモノやサービスの値段の決め方を生活者視点で、分かりやすく解説している。世の中のからくりがよく分かるだろう。社会問題にも触れており、考えさせられることも多い。第1章はクルマの価格、第2章はサービスの価格、第3章は価格差、第4章はオークション、第5章は教育コスト、第6章は規制が引き起こす意図しない悪影響などをテーマに書かれている。民主党の高速道路無料化政策の影響なども検討している(2章)。
第5章と6章では、教育コストやCO2排出権価格など高すぎる価格を下げるための提案を行なっている。例えばCO2の「排出権取引の導入の際に、非正規雇用の増大に歯止めをかける効果を持つ政策を提案」しているが、それは投機の過熱を抑える効果もあるとしている。排出権取引で一儲けを企む金融機関があるとのこと(おわりに)。排出権価格に連動する仕組債なる金融商品が売られているそうだ。それはリスクを消費者に押し付けて、利益は金融機関に入る仕組みだという。日本は排出量削減に世界で一番熱心というが、そうした問題をよく検討した上で取り組まないと国益にならない。
第5章の教育コストは子を持つ親には切実である。そこで掲げられた提言は日本の学歴社会を根本から見直そうとするものである。「学歴社会というしくみをなくす方向での教育制度改革」の必要性を説いている。それは子育て家庭の教育支出の増大から解放し、生活水準を高める。そして子供を産んで育てやすくなり、少子化対策にもなる、という。少子化対策と教育制度改革、企業の雇用対策、採用活動のあり方などは一体の問題として捉えて、考えていく必要がある。
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■経済(乱読)
?NBは宣伝や販売促進のために巨額のコストがかかる。それに比べて、PBは宣伝や販売促進コストがなく価格を下げることが出きる。
?空港会社事情:空席があるのなら、安い価格で一人でも乗せる。
?ランチは人が混んでいるからこそ、効率を上げることができ価格を安く押させることができる。
?クルマも電気店のように、さまざまなメーカーが横並びに売られてくる。
?レストランがランチタイムの営業をするのには、稼動率の変動が安定的なランチタイムの売り上げによって、一定量の収入ラインを維持しようという狙いもある。
?中国での偽ブランドが銀座を潤す。中国人は自国でブランド商品を買うのに偽もではないかと?という感情がわく。そのために、銀座でブランドを買い、レシートは保証の証となる。
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車、学歴、環境問題、ジェネリック医薬品、オークションなど身近な題材を通じて、いつもと少し違った視点で価格のカラクリを解き明かす一冊。価格差を利用した裁定取引を回避しつつ、いかにしてターゲットにあわせた価格設定をしかけるかということを幕末の金銀の取引、プリンタの話などを通じて、分かりやすく書かれていました。なかでも面白かったのは、入札タイプのオークションが引き起こす「勝者の呪い」、それが引き起こす入札価格の下落、これを回避するセカンドプライスオークションのしかけに関するお話です。ゲーム理論的な要素を入れて分かりやすく説明されており、なるほどを思わず納得してしまいました。コスト積み上げ方の価格設定になりがちと悩んでいる方にお勧め!
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無印は西友のPB(プライベートブランド)だって知ってました?
イオンの「トップバリュー」とおんなじの自社が開発して、ブランド化したもの
新幹線の中で買うコーヒーと駅のホームで買うコーヒーとでは、どちらを買った方がおとく・・・など。
知らないと損をしてしますことが満載です。
大学生にお勧めなのは。娯楽にかかせないもんほ”車”の買い方まで掲載!!!
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面白い。とても、経済センスを磨く上での基礎になる。
生活経済学を身につけるきっかけとなりうる。
08年12月07日195743より更新
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スタバではグランデを買え!
とともに経済学を身近なところから学べる本。
この2冊で経済学部や同系統学部以外の人は経済学の基礎を学んでみるといいと思う。
経済学部はその学問の性質上偏微分を含むレベルの数学を要し、多くの大学でも数学は結構使われることと思う。
にもかかわらず、この本は「機会費用」、「限界費用(書中では追加コスト)」といった概念をせいぜい小3レベルの算数までしか使ってない。
他の学部の生徒にとって経済学はおそらく取りたいけれども数学ばかりで理解しづらい、敬遠しがちな科目だと思う。
この本を読んでからならば、基本的な考え方は学べるので理解もしやすいだろう。
経済学部の生徒でも、この本を読むことで特にミクロ経済学の考え方が理解しやすくなるだろう。
ただし、個人的には正社員と派遣社員について書いている5章には違和感があった。
詳しくは書かないが、その身分の安定性、または身分を追われる時に少しではあっても保障がされていることが正社員になる意味であると私は考えているので、
「正社員と派遣の賃金格差は、職務内容が同じならば是正されなければならない」という筆者の意見には全くもって反対である。
また、そのような意見は正社員になることのインセンティブを奪うものだと考えられるため、経済学という目で見たとき、それは間違っていると私は考える。
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超良書でした。
前著『スタバではグランデを買え!』の続編とも言える、価格を題材に取った内容になっています。
金融の世界を分析するためによく使われる考え方を中心に、具体的な企業の戦略に当て込んで、その中身をわかりやすく説明してあります。
■サービス業は稼働率を高めることがポイント
■労働者はお金を稼ぐために働き、企業は金を払い労働を買う
■規模の経済性
■高くても買う客には高く売る、安くないと買わない客には安く売る
■プライベートブランドの安さの秘密は追加コスト
■大手保険会社は今後益々割高になる
■オートバックスやヤマダ電機で車販売
■ランチの採算は客単価でも原価率でもなく、稼働率
■ランチの売上は安定収入
■稼働率に応じた価格設定
■都会は高く、田舎は安く
■中国偽ブランドの横行は、日本ブランド店の利益を増やす
■1000円札のオークション
■学歴社会の表面上の評価と本当の評価
■高学歴=親などの教育投資が多額なこと
■雇用が不安定なので、身軽な生活スタイルはある意味有利
■麻薬は成年が持っていても犯罪、タバコは持っていても犯罪ではない
■結局、税収を増やしたい政府の思惑を隠すものでしかない
■緩い排出権の設定
■既に金融機関が、将来の排出権価格の上昇を期待して排出権を買い集めている
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身近な経済問答のような本でした
知っていることは知の確認
間違って覚えていたことは あぁ ちがったのかと訂正
わからなかったことは あぁ そうだったのかと知の拡大
前作よりも
現状への提言的な部分が多かったように感じた
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日常生活に登場するモノやサービスの価格はどの様にして決定するのか?を筆者の提言も交えつつ解説。外国人労働者の問題の説明として、一物一価(同じ商品には同じ値段)が成立しない時には、安い方で買って、即高い方で売って利益を得る取引、裁定(取引)が成立するとし、その例としてイタリア製品が中国人労働者の移動によってコストを削減している状況を取り上げる。他にも囚人のジレンマを元ネタにした缶チューハイの値下げ戦争や逆にジレンマを回避している日本のジェネリック製品の現状を、?追加コスト、?サンクコスト(埋没コスト)、?追加コストの3点より説明し、価格引下げでは収入を取れない為に、値下げをせずに不幸に陥らずに済んでいると説明する。他にも、高級レストランのランチが追加コストで見れば安い理由、NBとPBの価格決定のメカニズム(=前者は広告宣伝費が上乗せされており、後者は大量発注と現金払いでコストダウン)、大学の授業料や排出権取引を市場取引の考え方で説明し、提言も行っている。お薦め。
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「スタバではグランデを買え」の著者が新たに出版した日常生活に見られる経済の仕組みを解説した本。
小難しい経済用語や経済の仕組みを日常の商品に照らし合わせることにより、一般の人でも分かりやすく理解できるようにした本。 前著の「スタバでは・・・」も面白いタイトルであったが、今回も目を引くタイトルである。 最初本書のタイトルを見たときに、将来的な話として、合理性を追求してゆくと家電量販店がクルマを販売するようになる、という意図が込められているのかと思ったが、実は大阪の方ではクルマを販売する家電量販店があるらしい。 ちょっとびっくり。
同じものが2つの異なる価格で市場に出た場合に1つの価格に集約してゆくという裁定価格。 PB商品が品質が同じままコストが安い理由を説明した追加コストなど、身近に感じる事例が満載。 日ごろ漠然と見ていた価格の仕組みが経済学をもって解明されるのが気持ちよい。(逆に、大学などで使う経済学の本は何故あれほど小難しく書かれるのか不思議だ。)
もし本書がシリーズ化するとすれば次のタイトルは何だろうか? 楽しみである。
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レストランのランチの採算(利益)をみるうえで一番大切なのは、客単価でも原価率でもなく、客席の稼働率なのです。
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経済学を日常のテーマに沿って分かりやすく説明。
思いっきり簡単にした例を使っての説明は、
理系で経済学を学んでいない私にも分かりやすかった。
特にプリンターの本体とインクの価格設定の関係と、
正規医薬品とジェネリック医薬品の価格についてが、
自分にとっても身近なテーマで分かりやすかった。
ただ、経済学部卒の人とか、
経済学に詳しい人からすると物足りないかも。
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●未読 「スタバではグランデを買え!」続編
p.286★損益は糾える縄の如し(吉本佳生ブログ)
http://yoshimoto-yoshio.cocolog-nifty.com/blog/
《オークション3種》(ファーストプライス・オークション×2 セカンドプライス・オークション×1)
(ファーストプライス・オークション×2)
p.148【1.イングリッシュ・オークション:低い値付けから始め、最高値を付けた人が落札するが、競っている間に冷静さを失い、予算を超過した価格を提示してしまう・終了までに時間がかかる事もある、などの短所有り。】
p.149【2.ダッチ・オークション:1.とは逆に高い値付けから始めて下げて行き、「この値段なら出せる」と思ったら挙手。1.より冷静さを失いにくく、また終了も早い事が多いという長所があるが、短所としては「勝者の呪い」に捉われる。】
p.152【「勝者の呪い」:「もっと安い値段でも落札出来たのでは?」という疑いが拭えない事。】
(セカンドプライス・オークション×1)
p.153【3.セカンドプライス・オークション:ファーストプライス・オークションの短所をカバー出来る仕組み。
『1番目に高い値段を付けた人が、2番目に高い価格を支払って商品を買う』。
→「これ以下の値段では他の人の物になってしまったのだから」と自分を納得させられ、「勝者の呪い」から逃れられる。】
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提供する価格とコストについての考え方について身近なクルマや大学の授業料など
から説明されています。
身近な所からなので読みやすいです◎
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クルマは家電量販店で買えって言われても・・・
この作者の理論や理屈が正しいのはわかりますが、実際にそのとおりに生活できるのかと問われれば、それは難しいねって話ばかりです。