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神々のプロムナード
著者 鈴木光司 (著)
もうおまえとは暮らせなくなった――日曜日の夕方、テレビも点けたままの状態で姿を消した松岡邦夫。妻の深雪に相談された友人の村上史郎は、邦夫を捜し始めた。すると続発する不可解...
神々のプロムナード
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神々のプロムナード (講談社文庫)
商品説明
もうおまえとは暮らせなくなった――日曜日の夕方、テレビも点けたままの状態で姿を消した松岡邦夫。妻の深雪に相談された友人の村上史郎は、邦夫を捜し始めた。すると続発する不可解な失踪劇との関連性がちらつく。その陰にはある新興宗教組織の存在が……。世界を混沌の淵へとみちびくミステリー大作。(講談社文庫)
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紙の本
超リアル
2007/05/25 13:09
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
鈴木光治さんの代表作と言えば、やはりリング関連のシリーズであろう。ハリウッドで映画化されるほど、非常に話題になったシリーズである。他にもいくつかホラー物は書かれていて、どれも大変話題になった作品ばかり。何しろその魅力は「リアル感」だと思われる。もちろん全くのフィクションではあるけれど、他に類を見ないリアルさを、どの作品にも感じる事が出来る。だから鈴木さんのホラー作品は、他のどのホラーにも無い恐怖感、背骨の芯から、ぞわわわわわ・・・っと湧き出すような怖さがあるのだ。コケ脅しではない、真の恐怖が味わえる。
ではホラー以外はどうかというと、これまたフィクションながら妙にリアル感がある。例えばいわゆる「ファンタジー」にカテゴライズされるだろう、「楽園」。時空を超えた神話の世界、なんだけれども。その愛情の交わり具合がものすごくリアル。だけにすんなりと胸に落ち、物語の世界に入り込めた。
さて本作はどうかというと、いわゆるホラー物ではない。新興宗教の内紛が基本的な舞台となっている。だがここでも、やたらリアル感があるのだ。とにかく、人物描写が細かい。どのキャラクタも徹底的に書き込んで、きっちりと立ててしまう。物語に直接関係の無い者(例えば電話番の女性)までプロフィールを入れ個性を持たせ、人格を為させてしまう。こういった事の積み重ねによって、鈴木作品は非常なまでのリアルさを得ているのだと思う。
だが。本作品においては、この書き込み具合が諸刃の剣になってるように感じた。男女が大人の関係になってしまうまでの心の妙の書き込みは、恋愛物には必要だろうし、仕事仲間の生い立ちや将来かなえたい夢の詳細な書き込みも、立身出世物?には必要だろう。しかしミステリ物で、本筋に関係ない部分に、そこまでの描写が必要だろうか。
結果、どうもテーマがイマイチ入って来ない。男女の妙なのか友情のあり方なのか宗教の力を訴えてるのか逆なのか。最後の10ページほどで、全てを力技で説明してしまうというのも、なんだか無理くり説明を与えてしまった感。ラストもちょっとスッキリしない。
運悪く、本作品が初回発表になる際に、あのサリン事件が勃発してしまったのだという。その影響で、本作品大幅に内容変更されたとの事。そのせいか多少各所に無理を感じたりする。元のプロットを無理クリ変更してしまった結果だとしたら、大変もったいない事であるなぁと思う。