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航空大革命 10年後に航空市場が倍増する
著者 著者:秋本 俊二
日本では格安航空会社の就航が相次ぎ、世界的にも航空業界の再編が進んでいる。テクノロジーやサービスの進化でますます便利に、快適になる航空業界の未来の姿を、わかりやすく解説す...
航空大革命 10年後に航空市場が倍増する
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航空大革命 10年後に航空市場が倍増する (角川oneテーマ21)
商品説明
日本では格安航空会社の就航が相次ぎ、世界的にも航空業界の再編が進んでいる。テクノロジーやサービスの進化でますます便利に、快適になる航空業界の未来の姿を、わかりやすく解説する。
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紙の本
日本は空もガラパゴス
2013/10/13 13:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:でんしゃずき - この投稿者のレビュー一覧を見る
出版から1年以上を経た本書だが,この間の本書に関係する出来事であるボーイング787の原因不明の「非」初期故障続発や,名暗分かれた―ただし現時点において勝者はいない―LCC3社の業績発表という,予想外とも言える事態の推移を鑑みても読むに値する本であった。そして私が思い出したのは,平成1桁後期の航空業界における「新規参入」だった。「あの頃」と「今」でも国内交通という意味においては「我が空」は「本質的には変わっていない」と本書で気付かされた思いである。
興味深いのは本書に収録の,某LCC社長インタビューの発言である。彼女は,自社のライバルを鉄道やマイカーと位置づけている。出資先からすれば,そして別の本で私が知った「本来のLCCが狙った顧客層」という面では,「模範回答」である。だが,本書を読んで行く内に私は「日本国内の交通」という面からすれば,欧米豪という「LCC先進国」のやり方では日本には合わないと思った。日本でLCCをビジネスとして成立させるのであれば,ライバルは「既存の航空会社」でしかないのだ。
なぜか。過去45年ほどを振り返れば,国民所得の向上,全国規模・長距離旅客輸送の面で唯一のライバルと呼べた旧国鉄の「サービスの改善が乗客に意識されない,驚異的な運賃・料金値上げ」という「自滅・利敵行為」これらを総合して言えば,航空運賃の「相対的値下げ」により,日航・全日空といった「普通の航空会社」が今にして見れば,自ずと「発祥の地における」ロー・コスト・キャリア化して行ったからである。区間にはよるものの,ほぼ敵を駆逐した彼らは逆に利用者の不満を招き,前述の規制緩和による新規参入では「低価格」が期待された。しかし,参入した中で実際に飛行機を飛ばすには至っても,独自路線を「飛び続けている」のはわずか1社に過ぎない。従ってLCCの「設立理由」も「存在意義」も我が国においては「最初から他国に前例など無い」と思われる。仮に我が国において「飛行機に乗ったことがない人に乗ってもらうために低価格で飛ばす」という戦略は,私からすればあり得ない。そんな時期はとうに過ぎたからである。もし,そうしたいのであれば,「調布―松本」や「八尾―名古屋」に就航させるしかないだろう。むろん,低価格でなければならない。そもそも国内線に,すし詰めすれば500人以上搭乗可能なジャンボ・ジェットを就航させていたのは日本だけである。また羽田―新千歳は世界一の旅客数を誇る航空路なのだ。
日本は国内航空も独自の発展を遂げたガラパゴスといえる。
案の定とは思わないが,彼女の率いるLCCも「低空飛行」状態にある。
飛行機の本ではあるが,空を飛ぶような文字通りの「夢」の様な話はない。しかし,「起業」や「企業経営・戦略」そして,「我が国にとっての新規ビジネスモデル」を行うのであれば,何を学ぶべきなのか示唆してくれる,読み得な1冊となった。
紙の本
危機はこれまでもたびたび起こっていた
2020/08/10 12:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
2020年8月10日現在、航空業界は新型コロナウイルスによる影響で過去最大規模の苦境となっている。といっても、これまでも9.11テロやリーマンショックなど、様々な種類の問題を解決してきた過去がある。今回の感染症も収束に向かえば復活するのかもしれない。それは、9.11のときにもう航空業界は終わりではないだろうかと思ってしまったところから発展してきたことを思えば、不可能ではないのかもしれない。
LCCによる低価格でのフライトが普及していけば、航空需要はさらに増えることが容易に予想できる。日本におけるLCCの普及は、海外に比べると進んでいないが、安くできるのであれば成長余地があるということだろう。しかし、日本の空港には発着枠の問題がある。すなわち、羽田空港においてはこれ以上量を増やせず、成田空港であっても既にかなり需要過多となっているのではないか。
そもそも、空港の発着枠は政治的に決められてきた日本の仕組みがおかしいのではにないか。かつてはJALに、JALが破綻して民主党による再建がされてからは、当時の恨みからか自民党がANAに優先的に羽田空港の発着枠を配分してきた。そうではなくて、純粋にオークションのような形で行う方が、当然利用者の利便性が増す形となるだろう。それでは地方空港が存続できなくなるのではないかという批判があるのかもしれないが、そもそも日本には無駄な空港が多すぎるのだ。そのような空港を淘汰する意味ではむしろ好都合だろう。
“地方路線といえでも、やはり「自由競争」が原則である。どうやっても利益が出ないのなら、その路線からの撤退もやむを得ない。(中略)航空輸送という本業で収益を上げられなければ、活動も先細りになり、いずれは運航停止に追い込まれるのも目に見えている。”(p70)とあるとおりだ。本書の指摘する通り、エアラインには公共交通手段としての側面もあり、社会的使命を果たす必要があるのは確かだ。しかし、それだけを強調してきたが故に、JALは破綻したのではないか。
本誌の具体例として載っている静岡空港は、静岡県がJALに1億5000万円の運行支援金を支払ったとある。こういったことは地元で判断すべきだし、地元が金を出すべきだ。そして本当にこのお金は静岡県にとって有益なのだろうか。ただ自県に空港があってほしいというプライドで空港を維持しようとしていないのだろうか。県の税金を使って残すべき空港であると本当に考えられるのだろうか。少なくとも、国が補償すべき問題ではない。自治体が損をしてでも見栄で残したいのならばそうすればよい。それで自治体の財政が破綻して、地域が衰退するなら自己責任だ。
本書が登場した当時はB787とA380がまだ、どちらの成功がはっきりしていなかったようだ。現在では燃費効率の悪いA380は淘汰されてしまった。直通便を好むのは当然の流れだろう。一方で、B777クラスの需要があると思われる日本の「羽田-新千歳」や「羽田-福岡」などの用途に使用されるべき機体は新しいものがないのが残念だ。日本では、このあたりが最大の需要路線なのだから、新しい快適な機体が早く開発されると良いと思う。