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お寺の経済学
著者 中島隆信 (著)
意外にもコンビニエンス・ストアの倍近く存在するお寺。一体お寺は何のために存在し、誰がどのような活動をしているのか。戒名や税金などを経済学的視点から鋭く分析し将来像を描く。
お寺の経済学
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お寺の経済学
目次
- 序章今なぜお寺なのか
- 第1章仏教の経済学
- 第2章すべては檀家制度からはじまった
- 第3章お寺は仏さまのもの
- 第4章お坊さんは気楽な稼業か
- 第5章今どきのお寺は本末転倒
- 第6章お寺はタックス・ヘイブンか
- 第7章葬式仏教のカラクリ
- 第8章沖縄のお寺に学ぶ
- 第9章お寺に未来はあるか
著者紹介
中島隆信 (著)
- 略歴
- 1960年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。現在、同大学商学部教授。著書に「大相撲の経済学」など。
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紙の本
方便としての仏教経済学
2005/09/16 10:09
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
葬式のための宗教に過ぎないと揶揄されがちの仏教を、信者にとって魅力あふれるものに新しく生まれ変わらせるにはどうしたら良いか。その方策を探るために、お寺が担う様々な宗教行為を経済学の視点から改めて読み解いていくという趣旨の本です。興味深く読みました。
例えば著者は、お寺と檀家との関係を、宗教サービスを提供する側とそのサービスを購入する消費者との関係に置き換えて見せます。そもそも檀家制度はキリスト教徒弾圧のために幕府が導入した政策です。この制度のもとでお寺は長期的な固定客を確保することができ、また檀家はキリスト教徒である疑いをかけられずに済むというサービスを享受できたわけです。
しかし近代化の過程で、檀家と地域社会との長期的関係が崩れ、それに伴って檀家は寺の固定客ではなくなっていきます。寺の経済基盤は今後弱まる一方です。
新たな信者を確保するためのサービスをいかに生み出すか。そのためには現世利益という、これまで仏教界が難色を示してきたサービスも、顧客ニーズに対応する手段として必要なのではないか、という具合に本書は、経済学の視点から仏教活動に提言をしていきます。
本書にはお墓の値段や僧侶の年収といった生臭い数字が羅列されているのではないかと想像しながら頁を繰り始めたのですが、そういう類いの書ではありませんでした。
慶応大学商学部の教授である著者自身がまず仏教についてきちんと学び、その上で日本各地へ、そしてタイにまで足を運んで仏教関係者を取材したことがうかがえ、その真摯な執筆姿勢に好感が持てます。
仏教には「方便」という用語があります。真の目的のために便宜上用いる手段、という意味です。本書の場合も、経済学的解析は、寺院側のみならず信者側にとっても最も好ましい道を探る上での「方便」といえます。であれば、本書は大変意義深い書物になっていると私は感じます。