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ベリーショート
著者 谷村志穂 (著)
放課後の教室、休み時間のおしゃべり、川沿いの通学路――「昨日、私は一年と三か月ぶりに学校へいった」。片想い、ともだち、いじめ――切なくて心が痛くなる。17歳。「大した悩み...
商品説明
放課後の教室、休み時間のおしゃべり、川沿いの通学路――「昨日、私は一年と三か月ぶりに学校へいった」。片想い、ともだち、いじめ――切なくて心が痛くなる。17歳。「大した悩みがあるわけじゃないのに、生きてるって大変なことだって、この頃思う」。ピュアで多感な高校生のリアルな日々を、小さな物語に紡ぎだした26篇。甘酸っぱいベリーの味がするショート集。
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紙の本
穏やかでやさしい目線が、色んなことを掬いあげてくれる。
2010/12/17 23:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
26の掌編は、ベリー類の名前で分類されている。
ストロベリー、ラズベリー、ブルーベリー、クランベリー。
ジャムの名前みたいだが、
まさしく摘みたての果実を甘酸っぱく閉じ込めたような感じ。
主人公はいずれも高校生の女の子、男の子。
彼らが目にした、一瞬のできごと。
まだ何にも染められていない心のうごき。
友達とのあれこれ、恋、いじめ・・・・・・。
きれいだったり、歯がゆかったり、羨ましくもある。
とても好ましく思ったのは
周囲を取り巻く大人たちの大半が魅力的に描かれていること。
彼らを偏見のない目でそっと見守っていること。
両親や教師がこういうふうでいてくれたら
本当にあの時期を生きやすく泳げるだろうなぁ、と。
じぶんの考えている選択肢以外にも
もっと色々あるのだと、視野を広げられそうで、
魅力的な大人に囲まれた彼らが羨ましいのである。
暖かな余韻を残す話が多いのだけれど
「冬の青い蝶」、「雪ウサギ」、「往復書簡と花と詩と」は
じんわりと沁みてきた。
「往復書簡と花と詩と」は
治療を終えた患者と医師の手紙のやりとり。
医師が出した返事の最後に、
さようならは、医師から患者への最高の挨拶だ、
という趣旨が認められていた。
とてもはっとした。
わたしが高校生だったら、
この本をポケットに入れて持ち歩きたい。
ほんの一瞬だと気付いていない、大事なその渦中にいるとき、
やさしい気持ちになれそうな気がするから。
じぶんの世界が少しひろがるような気がするから。