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(2010/10/3読了)改めて、日本の社会保障の財政基盤、終わってる・・・。絶対どう考えても、ウチらの老後に年金なんて残ってないよー!泣
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膨大な借金で、孫に責められる悪夢《赤松正雄の読書録ブログ》
862兆円の借金。日本人一人当たり700万円―旧大蔵官僚100人の証言集をベースにしたNHKスペシャル『借金はこうして膨らんだ』は衝撃的な中味であった。ご覧になった方も多いに違いない。昭和40年に前年の東京オリンピックで税収が2000億円不足したことをきっかけに麻薬ともいうべき赤字国債を発行。これがいまや癖になってしまった。いらい45年間、バブル期のつかの間の回復やら、消費税上げの顛末を織り込みながらの検証は見ごたえがあった。大蔵省(現財務省)は責任を果たせず麻薬常習犯となった。罪は大きい。政治の場で生きてきた人間としてもそれを許した少なからぬ責めを負わざるをえない。
たまたまこの放映と相前後して鈴木亘『財政危機と社会保障』を読んだ。財政危機下における社会保障の実に分かりやすい入門書だ。1945年生まれの私と、今年生まれた私の孫とが手にする厚生年金は、相当程度の差がでる。これでは物心ついたころにはうらまれる。「おじいさん、これじゃあ不公平よ」と。
孫や子の世代に真に安心できる社会保障制度を作らずして、何のための政治であり、政治家だろう。この本が打ち出す現実的な答えは、「社会保障関係費の抑制」に軸足を置いた改革である。「消費税引き上げ、保険料引き上げに最大限努力しつつ、同時に社会保障費抑制にウェイトを置いた財政赤字削減策を目指すべき」で、「現実的に、全ての手立てを合わせて『合わせ技一本』を狙うことしか道は残されていない」と。結局は、そういうことだろう。選択肢をせばめてきたのは、他ならぬ政治家、政党である。
ただし、これがいかに困難な道であるかは論を待たない。この本が説く政策を実現するためには、力ある政権の実行力が欠かせない。今のヨレヨレの民主党政権では到底望むべくもない。現実をしっかり認識するうえで、極めて有効な一本のビデオと一冊の得難い本を前にして、秘策に思いをはせる。
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社会保障の面を財政面から論じてあるのが、自分にとって新しい視点で面白かった。
(この本だけではないが)本書を読むと、メディアで分かりやすく言われていることだけで物事を判断するのは危険だと感じる。
財政危機の今、論じるべきは理想ではなく、現実的対応策だ。
政治家はそれを示してほしい。
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身の丈にあった社会保障や、現在の社会保障制度が高度経済成長を前提にしたシステムという主張など納得できるところもあれば、首をひねりたくなる箇所もあり、事実ではないのでは?と思うところもあります。
ちなみに筆者はもともと経済学の分野の方のようです。
福祉分野の方の社会保障についての本も読んだ上で、社会保障について考えたほうがいいと感じました。
この方の主張のみで、社会保障を理解したとは思わないほうがいいと思います。
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医療、介護、保育。
日本を呑み込む社会保障という名のブラックホール。
この国は完全に詰んでます。
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昨年読んだ、「日本で財政破綻はあり得ない」派の本に対して、こちらは「いまそこに迫る危機」派。その根拠として国内資本で日本国債を買い支え続けるのが困難になろうとしているのに、国債が国外資本からは見向きもされない現状を指摘。このままでは借金そのものができなくなって行き詰る。今の菅政権の政策は経済学的に間違っており、著者は医療・福祉・保育の3業界をはじめとする社会保障体制の構造改革による歳出削減がまずは必要だとしている。 財政問題は経済学のトピックのなかでもいまかなり興味のある分野。業界団体の抵抗を排して改革を成し遂げるには強いリーダーが必要だよね、やっぱり。2011年2冊目、読了。
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現在の民主党政権が打ち出す社会保障制度の考え方に警鐘を鳴らす一冊。
現行の税制度や社会保障の仕組み、その変遷が分かりやすく書いてあります。
筆者は「手厚い社会保障を保ち、かつ負担の少ない税率にします!」という持続不可能な政策に異論を唱えており、その代替施策として介護・保育事業への参入規制の撤廃や、税率引き上げ、所得に応じた社会保障を唱えています。
日本の財政が危機的状況なのは周知の事実であるのに、手厚い社会保障と低い税率を掲げる政党に票が入ってしまう選挙制度、国民にも問題があると個人的には思いますが。
著者は問題提起だけではなく、その解決策まで示しており、その解決策の合理的な考え方は勉強になりました。
社会保障を詳しく知りたい方や、今の制度に疑問を抱いている方にお勧めです。
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日本は1000兆円近くの借金を抱えている。しかし、財政は破たんするとかしないとか議論をしている。どちらでも結局借金があることに変わりはないのだから、このままでは借金が増えて行くのは目に見えており、すべきことはおのずと決まってくるのではないだろうか?
社会保障という聖域に踏み込んだ良き本である
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「身の丈にあった社会保障」を目指すべきという、とてもシンプルな主張。センセーショナルな表現を排しながらも、筆者の危機意識がはっきりと伝わってきます。年金・医療・介護・保育…デリケートですが、この国がまっすぐに見据えなくてはならない課題群=社会保障。すべてお金がなければ回らない=財政問題です。
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「社会保障の不都合な真実」と両方読みました。2010年の7月、9月と同じ時期に出版されています。この本の方が読みやすいですが、生活保護については触れられていません。
この本のメリットは、一人の学者が、年金、医療、介護、保育所、(生活保護)という社会保障全般について論じていることである。通常はそれぞれの専門家が独自の視点で書いているので、社会保障に含まれている共通した課題がわかりにくいし、細部にこだわりすぎて論点が不明確になっているものも多い。是非、多くの人がこの本を読んで、社会保障関係費を抑えないと日本が破綻することに気がつくべきだ。
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現在の社会保障の問題は、高度成長を前提として、制度疲労を起こしていること。すなわち、参入規制、価格規制による護送船団方式、多額の公費投入、業界団体と官僚、政治家の利権保持。
協力なリーダーシップを持って変えていく人がいなければ、日本は変わらないと思わざるを得ないし、これから先、変えなければ日本は日本としての態をなさない。
これを書いてくれた著者に感謝したい。
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社会保障と財政。その両方の分野にやってくる危機の実態とその対処法を明らかにした本。
900兆円を超える額の日本の国債の95%は内国債であり、1400兆円あまりの個人資産によって買い支えられている。そのため日本が直ちにデフォルトに陥ることはまずないと思われる。
だが、少子高齢化を迎え、社会保障費が膨れ上ってくることを考えると、このままのペースでの債務比率拡大は危険である。景気が上向いた時点で財政再建をすることが欠かせない。
全体として医療、保育、介護など社会保障に関わる分野の規制緩和と構造改革を進めるべきという論調が強い。その前提の下で、著者は日本の社会保障制度の特徴として、
① 国民皆保険
② 職業別の制度分立(厚生年金と共済年金など)
③ 賦課方式(財源を現役世代が拠出)
④ 過度の公費依存
⑤ 高コスト体質
⑥ 強い価格規制・参入規制
⑦ 政治的圧力を行使する業界団体
⑧ 天下りの多さ
といったものを挙げる。多くは高度経済成長期に構築されたシステムである。
例えば菅首相は今年の参院選に臨んで消費税増税で「強い社会保障」という指針を掲げた。税収で医療・介護産業に財政支出することで産業とGDPの両方の成長をするものある。
だが、著者はこの分野は競争や参入の規制が強く、財政支出を行っても社会保障費が浪費される可能性が高いことを指摘する。同時に規制緩和と構造改革で潜在成長率を上げる方が良いと主張する。
所々頷けるところはありましたし、社会保障分野にはメスを入れるべき部分は多い。だが、規制緩和と構造改革ありきの論調には少し首をかしげてしまった。
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普段から社会保障のことに関心がある人にはちょっと物足りないかもしれない。解釈にもちょっとすんなり肯けないようなところもあるが、財政問題から社会保障全般について、読みやすくてよくまとまっている。・特別会計とは別に、社会保障関係費というのは歳出があり、実際はこれが国からの補助金として使われる。が、公費を投入して社会保障を運用しているのは実は先進国ではまれなケースで、通常は積み立て方式にせよ賦課方式にせよ、独立採算が基本。社会保障関係費が支出されている結果、支払い者である政府としては参入規制や価格の抑制といった方向にすすみやすくなる。・管内閣が進めようとする強い社会保障政策については、日本全体で見ると使途がかわるだけでGDPは変化しない。また、ほとんどが人件費なので工業産業のように技術革新につながらない。社会保障制度が整備される結果、高齢者が安心して消費が増えるというのも幻想(介護保険の時にも貯蓄率に変化なし)だし、貯蓄の取り崩しによってかえって金利上昇を招く。・保育については、無認可保育所に通園している児童や最初から入所を諦めている人たちの数が入っていないので、待機児童はほとんどいないという統計になっているが実態を反映していない。0歳児一人当たりのコスト60万に対して保育料は2万円とここでも投入が行われており、参入規制を緩和しようと言う動きには業界からの反発がある・今後とるべき道としては給付の制限か消費税のアップのどちらかしかない。また、平行して規制の撤廃も進めるべき
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1970年生まれの著書の本。
作者を年代で分けるのは、ある意味では先入観かもしれないが、難しい話をわかりやすく語る世代が次々と生まれてきていることを実感した良書だった。
財政危機や社会保障については、それぞれの専門家がいろいろな歴史、他国との比較で述べることはあるが、全体を俯瞰して、その問題性を指摘している点は非常によいと思った。何か魔法のような処方箋があるわけではなく、メリット・デメリットを比較して、国民がどのような方向に進むべきなのかが問われていると思うが、そのための議論が決定的に欠けている。
政治家が選挙のために、耳に痛い言葉を封印して、その場その場で政策を決めてきたツケが今、すべての原因だと思う。
議論のためにはまず同じ土俵にのるための資料などが必要であり、そのような資料を新書1冊で提示している。
まずは騙されたと思って1冊読んでみることをお勧めします。議論はそれからでも、いくらでもできますから。
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現在我が国が抱える財政問題に社会保障の問題を関連させて論じている。現在の両者の問題を包括的に理解するにはもってこいの著作。